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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
90/111

EP90.囚われのお姫様


 ハイエンドキメラに連れ去られたセルラはハイワーにある古城で縄に縛られて幽閉されていた。


「私を捕らえてどうするつもり?」


「ハッハッハッ。私は君を気に入っていてねえ。是非!私のお嫁さんになってはくれないだろうか」


「お断りします」


「おや?なんでかな?」


「まず私には心に決めた方がいますから。それに、そもそも私はあなたが嫌いです」


 求婚に対し、セルラは毅然とした態度で断る。それを聞いたハイエンドキメラは一瞬驚いたような様子を見せる。


「いやはや…自分の立場を分かってないのかな?君は。…まあ良いさ。時間はある。ここから好きにさせれば良いんだからね」


────


 一方で剣義はハイワーへと辿り着いていた。


「しかし、勇者様。まだ約束の日まで2日あるのですよね?力を最大限に発揮出来ない状況で果たしてセルラ様を助け出せるのでしょうか?」


「…とは言え、向こうの状況が分からない以上、先延ばしには出来ない。一応、策は考えてある。…だから、皆は普通のキメラ達の相手を頼む」


 剣義はそう言うと、装甲石を起動して現し身の鎧をその身に纏うと、そのまま古城へと突入する。その姿を兵達は見送り、剣義の侵入を阻もうと集まりつつあるキメラ達に向き合う。


「……早速尖兵のお出ましか」


 剣義は目の前に現れた蛇と蜘蛛のキメラの群れを前に臨戦体勢に入る。


「一気に燃えろ…爆炎魔撃砲!」


 剣義が手を突き出すと同時、激しい火炎が放たれてキメラ達を焼き尽くす。


「…先を急ぐか」


 尖兵を瞬殺した剣義はそのまま先を目指す。すると、ある程度まで進んだところで何者かが剣義目掛けて猛スピードで突撃してくる。


「おっと…今度はデカブツだな」


 剣義に攻撃を仕掛けたのは牛と犀のキメラであり、剣義は咄嗟に障壁を展開して弾き飛ばし、壁にぶつける。


「これでどうだ」


 剣義はキメラがぶつかって砕かれた壁の破片を念力で持ち上げ、そのまま集中砲火を浴びせ、絶命させる。


「この部屋か?…天裁雷鳴波」


 剣義はやがて、人の気配のする部屋の前へと辿り着く。

 そして、剣義はその部屋の扉を発生させた稲妻で粉々に砕いてこじ開ける。


「おや、随分と無粋な入り方ですね」


「…セルラ、無事で良かった」


「勇者様!助けに来てくれたのですね!」


「無視とは頂けません…ね!」


 中で待ち構えていたハイエンドキメラは剣義に軽くスルーされると、激昂してタコの触手を伸ばして剣義を狙う。


「甘いな」


「何!?」


「セルラ、下がってろ」


「はい!」


 放たれた触手に対し、剣義は気にする様子もなく瞬間移動で回避し、セルラの傍に現れてその縄を小さな炎で焼き切る。

 解放されたセルラは部屋の奥へと下がり、剣義はハイエンドキメラに向かって一歩歩み出る。


「へっ!失せろ!」


「……消えたか」(タコとカメレオンのキメラっぽいからな。となれば…)


 ハイエンドキメラは姿を消す。そして、それを見た剣義は冷静に状況を俯瞰すると、鎧に付いた真紅のマントを手に持ち、翻す。


「氷結魔撃砲」


「なっ!!どうなっている!?」


「これは…見えない壁?」


「障壁を張っといただけだ」


 剣義が冷気を帯びさせたマントを翻したことで冷気が広がって床全体が凍り付き、ハイエンドキメラは強制的に位置を割り出される。一方で効果範囲にいたセルラは剣義の展開した障壁によって護られる。


「…トドメだ。氷炎魔撃!」


「うわっ!?うぐぅっ…ぎゃあああああっ!!!」


 剣義は念力でハイエンドキメラを浮かせ、そのまま自分の方へと引き寄せると、氷炎魔撃砲の破壊エネルギーを右脚に発生させて纏い、横蹴りを放つ。その一撃を受けたハイエンドキメラは断末魔の叫びを上げて絶命し、消滅する。


「セルラ、大丈夫か?」


「は、はい。勇者様。…ずっと思ってたのですが、その鎧は?」


「これか?これは現し身の鎧。色々あって手に入れてな。まあ、詳しい事情は後で説明するよ。まずはここから出るのが先決だ」


「はい!」

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