EP89.課題点
「…後3日、後3日でアイツに勝てる方法を探さなきゃならない。…それに、セルラも助けに行かなきゃならない。…やることは山積みだな」
俺は現し身の鎧の化身だというもう一人の俺との戦いに敗れ、その攻略法を残り3日で考えなければならなくなった。
「聖剣の力を使えない状態でどうアイツと戦えば良いのか、だよな。…けど、アイツの目的は俺を倒すことではない。それに、俺を甚振って愉しんでるわけではなさそうだから、勝ち目はあるってことか」
情報を整理しながら、俺はそう呟く。
俺がアイツに勝てるとすれば、それはどういう方法だ?アイツと俺は何が違う?アイツに出来て、俺に出来ないことはある。ならその逆は?アイツに出来なくて、俺なら出来ること…それが勝負の鍵になるんじゃないのか?
まずは、俺とアイツの戦力を纏めてみよう。アイツの戦力は基本的に俺が使える能力全般だ。つまり、使える技は爆炎魔撃砲、氷結魔撃砲、氷炎魔撃砲、業火炎聖斬、吹雪氷聖斬、聖天星覇斬、聖天銀河斬、激流舞突、念動力、瞬間移動、障壁、祝福の翼、天裁雷鳴波、聖なる癒光、剣戟流星群ってとこか。
この内、攻撃魔法は爆炎魔撃砲、氷結魔撃砲、氷炎魔撃砲、天裁雷鳴波の四つ。
爆炎魔撃砲は炎を操る魔法で、氷結魔撃砲は氷や冷気を操る魔法。この二つは魔法の中でも基礎として用いているものだ。
氷炎魔撃砲は相反する二つの属性を混ぜ合わせることで相殺し、純粋な破壊エネルギーを取り出して放つ魔法。魔法側の最高威力だな。
天裁雷鳴波は雷属性の魔法で、暗雲を召喚して、そこから稲妻を降り注がせる技。技のスピードは魔法の中でもトップクラス。けど、相性の関係で他の技と比べた時にどうしても威力で劣ってしまうのが欠点か。
次に聖剣を用いた斬撃技は業火炎聖斬、吹雪氷聖斬、聖天星覇斬、聖天銀河斬、激流舞突、そして少し特殊だけど剣戟流星群の六つ。
業火炎聖斬と吹雪氷聖斬はそれぞれ聖剣に爆炎魔撃砲と氷結魔撃砲を纏わせた技で、攻撃範囲や汎用性では元の技に劣るけど、接近戦ではかなり有用な技だ。
聖天星覇斬は俺の技の中でも最強の威力を持つ、まさに切り札。真正面に突撃して斬撃を叩き込む大技だ。飛行能力を得たことでより速度が上がった。
聖天銀河斬は聖天星覇斬の派生系で、移動せずにそのまま回転斬りを放つ技。威力では聖天星覇斬に劣るが、複数の敵にも対応出来る、汎用性重視の技だ。応用することで飛ぶ斬撃にもなる。
激流舞突は水属性の魔法を扱えるようにするために聖剣に纏わせ、それを回転させることで勢いを高めて刺突を放つ技。その回転する動きを利用して防御にも応用可能な攻防一体の技だ。
剣戟流星群は聖剣の力で光剣を生み出し、発射する技。最近習得したばかりの技ではあるけど、威力、範囲ともにトップクラスの俺の使える技の中でも最上級の大技の一種だ。汎用性も高く、特訓の末に5本までなら細かい動作も可能なくらいの精密なコントロールが効くようになった。
攻撃以外の技は念動力、瞬間移動、障壁、祝福の翼、聖なる癒光の五つだ。
中でも念動力、瞬間移動、障壁は元は同じ系列の魔法で、念動力は遠くの物を引き寄せたり、自身の体を浮かせたりといった形で扱える汎用性の高い技だ。瞬間移動は相手の隙を突くことに優れた技で、移動にも便利。最近は魔力を放って届く範囲であればどこでも飛べるくらいには上達した。障壁は念動力の応用技で、念動力で空気と魔力を固めることで相手の攻撃を防げる壁を生成する技だ。
祝福の翼は光の翼を生み出して飛行する技。かなりの高速移動が可能であり、戦闘をより多次元的に行える。これが今も使えればハイワーに向かうのも簡単なんだがな。また、生み出した翼を盾代わりに使うことも可能。
聖なる癒光は対象を回復させる光を放つ技。単に肉体を回復させるだけじゃなく、体力を回復させたり、毒やデバフを解除する効果がある。ただし、細菌を「殺す」作用はないのでウイルスや菌には効果が無い。飽くまでも身体を正常な状態に戻す技で、俺達の中では貴重な回復手段となっている。
「…これらの手札を活かして、どう奴に勝つか……だよな」
そこで、俺は課題点を考える。現在最も問題となっているのは聖剣が使えないということ。だが、アイツは聖剣由来の能力を行使出来るので、そのハンデをどうひっくり返すかが鍵になるが…。
そこまで考えて、俺はあることを思い付く。…一か八か、やれるだけやってみよう。




