EP86.ハイエンドキメラ
「爆炎魔撃砲!!」
剣義の放った火炎弾がキメラ達を焼き払い、難を逃れて突撃してしたキメラに対して薄く冷気を纏わせた聖剣で斬撃を浴びせて傷口から凍てつかせる。
「だあっ!」
「やるじゃねえか」
剣義の聖剣による斬撃と、狼男ハイエンドキメラの手に持った戦斧による斬撃とがぶつかり合う。
「中々強えな。…けど、俺には勝てない!」
「ぐっ!」
斬撃の応酬に打ち勝ち、剣義が狼男ハイエンドキメラを吹き飛ばすと、狼男ハイエンドキメラは舌打ちをして懐から宝石を取り出す。
「くっ…!こいつ、手強いな。こうなったら…アレを…!」
「何する気だ?」
「なっ!?ぐあっ!」
狼男ハイエンドキメラの背後に瞬間移動して念動力で吹き飛ばすと、剣義は宙を舞った宝石をキャッチする。
「何だ?これ…ってうわっ!!」
剣義がキャッチした次の瞬間、突如として宝石が輝き、その光は剣義の身体を包み込む。
「あ…?ってうわっ!何で俺、甲冑なんか着てんだ…?まさか、これが装甲石なのか…?」
光から解き放たれた剣義は、黒塗りの甲冑に身を包んでいた。
「そ、それを返せ!」
「断る。…ってか、お前らだってこれ盗んだんだろうが、よ!」
「ぐぬああっ!」
剣義は狼男ハイエンドキメラの言葉をバッサリ切り捨てて念動力で吹き飛ばして地面に叩き付ける。
「魔力が強化されてる…!聖剣と合わせればめっちゃ強くなれるんじゃ……」
そう考えて剣義が聖剣の力を発動しようとするが、何故か何も出来ない。
「えっ…?何で、魔法を増幅出来ないんだ?…なら、剣戟流星群!」
しかし、光剣は一本たりとも出現しない。
「祝福の翼!聖なる癒光!…クソッ、駄目だ!身体強化すら出来ない…!」
「何だか分からないが…隙ありィ!」
「仕方ねえ、ここは…氷炎魔撃砲!」
剣義は聖剣の力を使うのを諦め、手を翳して破壊エネルギーを発射する。
「グギャアアアッ!!!」
「!…なんだ?威力が明らかに増してる……」
今まで通りに放ったはずが、これまでを大きく上回る威力を発揮した氷炎魔撃砲によって、狼男ハイエンドキメラは一瞬で消滅させられる。
「…兎に角、キメラ達は殲滅した。戻るか」
鎧を戻す方法が分からず、剣義は甲冑を着込んだまま宿へと戻る。しかし、そこにはセルラの姿は無く、代わりにタコの足のような物で身体をぐるぐる巻きにされている人達の姿が。
「えっ!?何があった!」
「もう一体の…透明化するハイエンドキメラが現れて…セルラ様を攫って行かれたのです……。我々もお守りしようとしましたが、全く敵わず…ッ!」
「もう一体居たのかよ!どうする…。どうすれば……!」
想定外に次ぐ想定外に、剣義は思わず苛立ってしまうが、自身のそんな心を省みて落ち着かせようとする。
「いや。今は怒ってる場合じゃない。…セルラを、助けに行かないと…!」




