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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
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EP84.装甲石


 セルラと共に南の都市、ハイワーを目指し始めて早一日が経った。単独でのクエストは初だったので結構緊張していたが、まさかの知り合いがいたことや、二回目の世界であることもあって思ったよりもスムーズに進行していた。

 途中敵が差し向けたであろうキメラと交戦したが、今の俺にとっては大した脅威ではなく、撃破出来ていた。


「なあ、セルラ」


「はい、勇者様」


 馬車に揺られながら俺が語り掛けると、セルラは気品を感じさせる所作で座りながら、軽く首を傾げる。


「そう言えば、まだ敵についてあんまり詳しく書いてなかったから、知りたくて」


「そうですね。…前にもお話しした通り、マドサイエはキメラ軍団を生み出してこの国の支配を目論んでいます。それを可能にしたのは、悪魔的とも言える彼の頭脳の優秀さと、それによって生み出されたハイエンドモデルのキメラ達です」


「ハイエンドモデル?」


 聞き逃せない単語に、俺は思わずセルラの話の途中で質問を挟む。


「ハイエンドモデルは、簡単に言えば人間と同等の知能を備えたキメラです。戦略的に動く分、通常よりも厄介な存在でもあります」


「成る程な。今の所は交戦してないけど、そんなのもいんのか」


「ハイエンドモデル達はその高い知性を利用して、国の宝物庫を襲撃して、そこに仕舞われていた様々な宝具を盗み出したりしています」


「宝具?禁断の果実みたいな凄いアイテムがあんのか?」


「はい。古の魔法が込められた装備だったり、禁術の記された魔導書だったり、色々あります」


「そんなヤバそうなの盗まれてんのか。…例えば、どんなのが盗まれてんだ?」


 何となく興味本位で宝具について聞きつつ、俺はかつて戦ったネロマの世界でも変換の指輪が盗まれたりしているし、強い力を持った道具が争いになると狙われるってのはどこの世界でも変わらないのだな、と思ったりしていた。


「今言った魔導書の他には、最強の槍・グングニルや、破戒の弓と言った代物…後は“現し身の鎧”を収納した装甲石とかですね」


「なんか凄そうなのばっかりだな。…最後の装甲石ってなんだ?」


「装甲石は、この国の魔法道具の一種で、甲冑や剣などの装備を一式纏めて収納しておき、使用者の意思に従って一瞬で取り出し、装備させられる石です」


「へえ、じゃあ装甲石そのものが珍しいってより、中身が大事ってことか」


「そうなりますね。…あの装甲石に入っている現し身の鎧は古の魔法が込められた魔法武具の中でもかなり強力な物で、鎧そのものが意思を持って主人あるじを選び、その持ち主の心や、能力に沿ってその特性を変化させて最適化するという特殊な鎧なのです。ですが100年前、邪王と呼ばれた者がそれを使って大暴れしたことで以来、誰もまともに扱えない悪の鎧となってしまったのです」


「成る程な。聞けば聞くほど厄介そうだ」


 そんな話をしている間に、俺達はこの日泊まる予定の宿に辿り着く。

 そして、この宿での騒乱が、この先の展開を大きく左右することになろうとは、俺とセルラは露も知らなかったのだった。

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