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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第一章:始動の春
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EP8.三つ目のクエスト


 週明けの月曜日、いつも通りの時間に家を出て学校へ向かいながらぼんやりと考え事をする。

 内容は当然、どうしたら強くなれるかだ。

 てか、そもそも何をどうしたら魔法とか使えるんだろ。


「もはやいっその事、使うだけで最強パワーアップ!みたいなの無いかな…。無いよなあ…」


 ボソッと出た呟きを自分で否定する。

 そりゃあそんな都合良いもんある訳…待てよ?これから俺達はたくさんの異世界へ行く。もしかしたらそこに…?


「…ま、そう都合良くはいかねえよなぁ」


「何が都合良くいかないの?」


「うわっ!びっくりさせるなよ涼海」


「さっきからずっと声掛けてたのにずーっとぶつぶつ独り言言ってたのは群星君じゃない。で、どうしたの?」


 やっべ、全然気付かなかった。

 ただまぁ、流石に守って貰ってばっかりってのもカッコ悪くて嫌だし強くなれる方法を涼海に聞いてみんのもありか。


「いや、どうしたら強くなれるのかなって…」


「?別に私達は充分強いし、群星君が強くなる必要ある?」


「分かってねーなー。幼馴染の女の子二人に大事に大事に守られてるなんてあんまカッコよく無いだろ。

…少なくとも自分の身ぐらい自分で守れるようになりたいし、大体お前ら二人を誰が守るんだよ?」


「守って…くれるの?」


「ったりめーだろ。守ってもらってばっかりってのは性に合わないんだよ。対等にいたいんだ、俺は。…それに、昔言ったろ?俺が守ってやる、って」


 昔っから何もできない割には強がりな俺は2人に対して「俺が守ってやる」とかなんとか言っていた。

 ならせめて肩を並べられるくらいには強くならなきゃ昔の俺に顔向けできねえしな。


「そ、そう」


 涼海はそれだけ言うとそっぽを向いてしまった。…てか結衣乃は?


「なあ、そういや結衣乃は?」


「え?あ、あぁ、結衣乃は今日は委員会だから先に行ってるって」


「成る程、そゆことね。……所で涼海、なんか近くない?お前」


 何故か俺のすぐ隣に並んで歩く涼海。どのくらいかというと、肩と肩が触れ合う距離にいる。

 正直周りからも見られるし、歩きづらいんだが。

 すると、涼海は少し赤い顔で「別に良いじゃない、幼馴染なんだし…」と言う。

 …そういうもんかねぇ。その後は特に気にするでもなく、学校に着き、教室に向かう。

 俺と涼海は同じクラスなので結局一緒に行くことになるんだがな。


 そして昼休み。いつも通り一人で飯を食おうとすると、涼海が俺を呼ぶ。


「どーした?」


「結衣乃が呼んでるの。ちょっと来て」


「?しゃーねーなぁ。分かった、今行く」


 腹減ったな…なんて思いながら涼海に着いていく。

 すると、人気のない4階にやってくる。

 そして、その中の空き教室の一つに結衣乃はいた。


「こんなとこに呼び出してどーしたんだよ」


「お、来た来た。ってすずちゃんまだ説明して無かったの?」


「あっ、忘れてた。クエストが来てるのよ、今」


 そう言うことね。早く言ってくれりゃ良かったのに。


「じゃあ今から行くのか? 弁当食えてないんだけど」


「うん。まぁ、向こうで食べれば良いじゃん」


「それもそうか。仕方ねぇ、行くか!

あっ、そうだ!俺の鍵でもいけるよな?」


「うん。複製元の鍵とのクエストを共有できるから」


 一回やってみたかったんだよね、あれ。

 青色の鍵を呼び出し、例によって何となくで意識を向けると、鍵がワームホール状に変化する。


「お〜。教えてないのによくできたね」


「まぁ、何となくな。さて、行こうぜ」


「うん」


 ワームホールに入り、意識を失う。そして、目が覚めると豪華な部屋にやって来る。

 周りの人も俺達をざわざわとしつつも見ている。

 そして、王と思わしき老人が話しかけてくる。

 結衣乃との会話の内容によると、この世界では少し前から正体不明、神出鬼没な敵、黒き霧によってたくさんの犠牲が出ているとか。

 すると、涼海は少し困ったように言う。


「…このタイプの敵が一番厄介なのよ」


「そんなに強そうなのか?その黒き霧って奴は」


「いや?強さ自体は不明だけど、こういう居場所や正体が不明な相手は時間がかかるのよ」


「あー、そう言うことか。じゃあまずは手掛かり集めからか?」


 俺がそう聞くと、結衣乃が頷き、口を開く。


「そ、だから暫くはこっちに居なきゃいけないって訳。だからとりあえず城下町の宿を三部屋とって貰ったの」


「お、サンキュー」


「どーいたしまして。さ、早速行こ?」


 こうして、俺にとっては三番目の世界でのクエストが始まった。


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