表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第四章:決意の冬
72/111

EP72.失いし者


 …目の前に広がるのは火の海。その中で数多くの人々が逃げ惑い、苦しんでいる。

 その様子に、僕は思わず口角を上げる。順調だ。順調に、力を身に付けている。

 そう、この状況を作り出したのは僕…メテス・クロノオだ。


「うわああ!!お前のせっ──」


 背後から剣で斬り掛かってきた男の言葉を遮り、その胸に大穴を空ける。

 僕の背中から伸びた大蛇の頭が噛み千切ったからだ。


 世界一つ滅ぼすのにかかる時間はどんどん早くなっている。──けど、まだ足りない。この世界もハズレ(・・・)だ。

 彼等や、それに匹敵する存在が居ない。彼等…忘れもしない。剣義君、涼海さん、結衣乃さん、リンさんの四人。今までで一番手強かった相手であり、僕の目的を果たす為の鍵となり得る存在。


 彼等と戦い、その中の一人、結衣乃さんの妨害で僕は自身の目的である無限回廊への侵入を果たすことは出来なかった。

 結果として結衣乃さんが無限回廊に閉じ込められることとなったけど、あの場所の特性と本人の強さを鑑みれば、確実に彼女は生きてるだろう。

 そして彼女を取り戻す為に残った彼等も無限回廊への道を欲しているわけだ。


 つまり、僕達は互いに敵視しているが、互いの目的の為に互いを必要としているということだ。

 彼等との戦いの後、僕は多くの世界を巡り、滅ぼして来た。

 途中で空間に干渉出来る敵の能力を奪えたのは良かった。どっかの世界で得た、力を魂ごと奪える禁術。

 それのお陰であの頃よりも手札は増えたし、時間停止を使って時間に干渉している間に空間に干渉することで、世界間すら移動することが出来るようになった。


 そうして様々な世界を巡り、彼等を探しつつ、力を増やしていた。

 世界を滅ぼす、ということはそれだけ多くの魂が得られるということ、それが僕の狙いだ。


 自分のやってることは人の道を外れた行為なのかも知れない。異常なのかもしれない。それでも、僕は自分の進む道が間違いとは思わない。

 どんなことをしてでも、彼女を、メイを取り戻すとあの日誓ったからだ。


 メイ=コートア。それが僕の幼馴染の名だった。物心付いた時からずっと僕達は一緒に居た。

 そんなある日、彼女(・・)は異界へ渡る力を手にし、そのことを()に打ち明けた。彼等には余計な警戒を持たせない為に、より強く同情を誘えるように僕が最初に「鍵」を手にしたように伝えたけれど、実際には彼女が先に鍵を手に入れていた。


 彼等には知る由もない情報だろうけど、鍵の分体を渡した状態で本来の鍵の持ち主が命を落とすと、オリジナルの鍵は分体を持つ人間の元にやって来る。つまり、今僕が持っている鍵は元々メイの物だ。


 おっと、話が逸れてしまったね。

 さて、異界へと渡れるようになったメイと、そんな彼女に着いて行くようになった僕。

 彼女と過ごした冒険の日々は楽しかった。…けど、止めるべきだったんだろうね。


 そうしていれば…きっと…。


 そんな生活が何年も続いて、そしてあの日、僕は彼女を失った。

 ifもたらればも叶いはしない。けれど、僕の発現させたこの力と無限回廊さえあれば…叶えることが出来る。


 だからこそ、僕は止まらないし、もう…止まれない。メイを救う為なら、取り戻す為なら、他の何を消し去ったってどうだって良い。最後に…僕と彼女が残ってさえいれば、それで。

 そして今日も僕は、メイと再開する未来を思い描きながら世界を滅ぼし続ける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ