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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第四章:決意の冬
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EP68.大晦日クエスト


 クリスマスも過ぎ、世間はあっという間に年末年始という雰囲気になっていた。


 そして今日は12月31日…大晦日である。

 大掃除を終え、年末番組をダラーっと見よう、俺がそう思っていると、涼海からクエストが入ったとの連絡を受け、現在は四人で異世界に行っていた。


「…ったく、大晦日までクエストとはな…」


「向こうはそんなの知らないもんね」


 剣義のぼやきに、涼海は苦笑いして答える。


「サクッと終わらせて帰ろうぜ」


「だねっ」


 この世界におけるクエスト…それは、近頃墓場から勝手に死者が出て来て暴れ回っている、という事件が起こっているらしく、その解決だ。


「…死者か。随分気味悪いな」


「しかもこの国で厳重に封印されてるっていう宝まで盗み出しちゃったみたいだし」


「あー、なんだっけ、なんとかの指輪ってやつだろ?」


「…変換の指輪だな。説明では力を別の力に変える特殊な指輪…らしいな」


「強力だけど危険だからって封印されてたんでしょ?

そんな大層な物を、敵から取り戻したらそのままくれるって言うんだから太っ腹だね」


 ニコニコ笑顔でそう言うリンに、三人は少し固まり、リンにその真意をどう伝えるべきか考える。


「…ん?どしたの?」


「いや、リン。多分な、俺達は異世界からの救世主という立ち位置だから指輪を扱いこなせる可能性もあるし、最終的にこの地を去る」


「つまり、体よく厄介払いに利用されたわけだ」


「え!?そうだったの…?なーんだ」


「とは言え、強力な戦力にはなりそうだし、こっちとしても得ではあるけど」


 そんな会話をしつつ、俺達は今、墓地に潜んでいた。


「…にしても辛気臭い場所だな」


「しっ!失礼でしょ。…王様達の話では、ここが今夜狙われる可能性が高いそうだけど」


「ここは国の兵士達が埋葬されてるらしいしね」


「数々の手練れもいるって場所なんだろ?」


「既にこう言った兵士達の墓地が四ヶ所襲われてるそうだからな」


 四人でヒソヒソと話しつつ、墓地に身を潜めること四時間。

 流石に眠くなってきた剣義、涼海、リンの三人が眠気と戦っていると、レーダーを展開して周囲の様子を窺っていたシュウトが三人に声を掛ける。


「…!多人数の不自然な気配を感知した。…恐らく来るぞ」


「…!」


「国の読み通りか」


「漸く出番ってわけね!」


 シュウトの言葉に、三人とも眠気は覚め、一気に臨戦態勢に入る。

 剣義は聖剣を構え、涼海は無敵の加護を発動させ、リンは黒い片刃の剣を取り出し、シュウトは両腕をマシンガンに変化させる。


 そして程なくして、墓地の入り口に多数の人影が現れる。

 やがて月明かりに照らされたその姿は、ボロボロの防具を着て、同じくボロボロの武器を手に取った虚な目は人間達だった。


「!」


「ん?何であいつ等…肉体があるんだ?」


「埋葬の前に火葬してるはずだけど…」


「まあ、倒せば良いだけの話だ」


 無言でジリジリやって来る兵士達に剣義達は同時に突撃する。


「はあっ!…ん?これって…」


「一体どうなって…」


 戦い始めてすぐ、剣義達は異変に気付く。

 四人の攻撃によって倒されていった兵士達が、次々と肉体を失って骨だけになったのだ。


「こいつ等…力も人間離れしてるし、何かおかしいな」


「…考えられるとしたら、誰かが死体にある程度の力を与えて操っている…つまりは死霊術の類を掛けてるってとこかな」


 リンの言葉に、涼海が続ける。


「ってことは、その操ってる張本人をどうにかしなきゃいけないってこと?」


「如何にも!」


「え?」


 突如としてやけに重苦しい声が、周りに響く。四人が声のした方を向くと、そこには揺らめいているようにも見える人影が立っていた。


「誰だ、テメー」


「我が名はネロマ=クンス3世!偉大なる死霊術使いである!」


「つまりはあなたの仕業ってこと?」


「その通りだ!」


「わざわざ姿を現すなんてね!」


「速攻で倒す!はあっ!!」


 剣義が念動力でジャンプを補助して素早くネロマに近付き、斬撃を放つが、その太刀筋は何故かすり抜けてしまう。


「…なっ!」


「!攻撃をすり抜けた?」


「なら…爆炎魔撃砲!」


「無駄さ」


「くっ!これも駄目か」


「まさか…実体が無いのか?」


「ご名答。私には実体が無い。君達に私を倒すことは不可能だ。

君達は中々強そうだからね、ここで殺して僕の兵団に加わってもらう」


 ネロマがそう言うと、一人の兵士が進み出て、手から火炎を放つ。


「何だ!?魔法か?」


 剣義が冷気を纏った聖剣で弾き、疑問を口にすると、ネロマはやたら苛つく話し方で返答する。


「違うねぇ。そういうのじゃないよ、これは。

今のは人の魂を動力源に変換の指輪で生み出したものさ!」


「…なら、あいつを倒せば、取り返せるってことか!」


「みたいだな!」


 尚も放たれ続ける炎や氷、電撃に光線など多種多様なる攻撃を避け続けながら剣義はシュウトと会話を交わす。


「…しかし、あの距離、攻撃出来るのか?…俺なら届くが、恐らく妨害されてるぞ!」


「そこは抜かりねえ!俺の新技見せてやるよ!天裁雷鳴波てんさいらいめいは!!」


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