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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第四章:決意の冬
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EP66.もう一つのクエスト


 歓迎会の翌日、剣義達はやり残していた一つのクエストを攻略すべく、初めてこの四人で異世界へと向かった。


 そして新発見として、鍵の複製した物を交換することで、涼海とシュウトの二人の持つそれぞれのクエストを共有出来るらしいことが判明していた。


 そして今、剣義達は海のど真ん中に居た。今回のクエストは海に巣食う巨大蛸を討伐することらしい。


 なんでもその巨大蛸の所為で物流が完全にストップしてしまい、経済的に大打撃を受けているほか、多くの船乗りや、それどころか沿岸に住む人達まで襲われていたという。


「巨大蛸か…どこにいるんだろうな」


「…さあな」


「なーんで、こういう時に限って大人しいんだろ」


「全くね」


 船に乗って大海原に漕ぎ出してから既に二時間が経過していた。


「…仕方ねえ、気乗りはしないが…俺が見て来てやる」


「見て来るって…どうやって?」


「こうやってだ。全身全武装(フルアームド)潜水艦(サブマリン)


 そう言いながらシュウトは海に飛び込む。


「え!?」


「何やって──ん?」


 それに驚きつつも、三人がシュウトの飛び込んだ所を覗き込むと、そこには潜水艦が。


「うわ、潜水艦になってる!」


「そんなのもありなんだ…」


「話には聞いてたけど、凄いわね…」


「じゃあちょっと見て来る。…あまり潜水艦はなったこと少ないから若干不安だが」


 驚いてる三人を尻目に、シュウトは潜水艦の姿のまま絶妙に頼りないことを言って水中へと潜っていく。


「…さて、巨大蛸は一体どこに…」


 水中を移動しながら、シュウトは巨大蛸を探す。

暫くそうして深くまで潜っていても巨大蛸など見つからない。


──一回戻るか。


 そんな風にシュウトは考え始めたが、彼は気付いていなかった。自身の後ろに、怪しく光る双眸があることに。


「ん?」


 当然何かが後ろに絡み付き、シュウトはそれが何か確かめるために後ろを見る。

 すると、そこには20メートルはあろうかという巨大蛸が居た。


「こいつが巨大蛸…!幾らなんでも大きすぎねえか?

…ってか離せよ!」


 自身の背後に絡み付いてくる触手の所為で満足に動くことも出来ず、海中で振り回されてしまう。


「やべっ!くそ、調子に乗んな!」


 流石にキレたシュウトが魚雷で絡み付いた触手を吹き飛ばすと、巨大蛸は意にも介さず別の触手を伸ばしてくる。

 それを全速力で避け、魚雷を爆発させて攻撃しつつ急浮上を開始する。


「はあ、はあ、やべぇ、来るぞ…!」


「!!ナイス流!」


 なんとか海面まで戻って来ると、剣義の念動力によってシュウトは持ち上げられ回収され、元の姿に戻る。

 その少し後、シュウトを追って巨大な触手が海面から飛び出してくる。


「うわっ、デカイな!?」


「本体も含めて20メートルはあるぞ」


「…マジかよ」


 あまりに規格外な巨大蛸のサイズに、全員が驚くが、すぐさま戦闘態勢に入る。


「んー、海上での戦いとなると、海でも動ける流と、飛べる俺の方が戦いやすいか。

となれば、リン!涼海!気を引いといてくれ!」


「オッケー!」


「任せて!」


 剣義はリンと涼海に指示を出すと、船から飛び降りる。


祝福(ウイング・ザ)の翼(・ブレッシング)!」


 そして海に飛び込む寸前に白い光の翼を展開し、空へと舞う。


「…こいつ相手ならこっちか。全身全武装(フルアームド)戦艦(バトルシップ)!」


 シュウトは再度海に飛び込みながら全身を戦艦へと変え、砲撃を開始する。

 更に船上に出て来ていた四本の触手を涼海の戦姫の(スラッシュド)一太刀(バルキリー)とリンの魂焔(ソウルバースト)(・ブレイズ)で次々斬り払っていく。


 どうやら巨大蛸は高い再生能力を備えているらしく、切られたそばから触手を新たに生やし、断面が焼き塞がれた触手も自切することで再生させるなど、高い知性を見せていた。


「…もう再生能力持ちはたくさんだ」


「全くだよ!」


「そっか、前のクエストも再生能力持ちだっけ」


 巨大蛸は高い知性こそ見せていたものの、集中的に攻撃を仕掛けてくる涼海、シュウト、リンの三人に気を取られ、自身の真上に迫る剣義には気付いていなかった。


「…ここは、剣より魔法だな。氷炎魔撃砲!」


 弱点であろう巨大蛸の胴体目掛け、強烈な破壊エネルギーを剣義は放ち、そしてその破壊エネルギーは真っ直ぐに巨大蛸へと迫り、そしてその胴体を貫いた。

 巨大蛸はジタバタと悶え、そしてピクリとも動かなくなると、やがて海の底へと沈んでいった。恐らく海洋生物達の餌になっておしまいだろう。

 剣義は船に静かに降り立ち、同時にシュウトも海から上がってくる。


「この四人、中々上手くやっていけそうだな」


「みたいだね。流君のようなオールラウダーもいると助かるし」


「大活躍だったね、シュウト!」


「…役立ったのなら、まあ良かった」


 集まってそんな風に話していると、剣義達を光が包み、元の世界の剣義の部屋へと戻って来る。

 こうして、一人仲間が加わってのクエストは、難なく終了したのだった。


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