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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第四章:決意の冬
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EP65.顔合わせ


 剣義がリンとシュウトの二人に定食屋に住むように言った、その翌日。

 風邪の治った涼海と案内役の貴斗含む五人で定食屋を訪れようとしていた。


 当然貴斗とシュウトは全くの初対面だったのだが、貴斗の高いコミュニケーション能力のお陰で、割りかし普通にやれているようだった。


「さて、着いたな。ここが叔父さんのやってる定食屋…やまと屋だ」


「そう言えば、この店少し前にテレビで紹介されてたのを見たことあるわ」


「あー、なんか見たような…」


「因みに今は開店前だ。話は通してあるから、安心してくれ。

叔父さーん!来たよ!」


「うーい」


 貴斗が店の引き戸を開け、呼び掛けると、どことなく貴斗に似ているが、無精髭を生やしている精悍な顔付きの男性が出て来る。


「おお、お前等が貴斗の言ってた子か!俺は速野大和やまと。宜しくな!」


「はい、宜しくお願いします。俺は群星剣義って言います。お世話になるのはこの二人です」


「どうも!枠生リンです!」


「…流シュウトです。お世話になります」


「私は付き添いで来た二人の友人の月見涼海です」


「おう!そうかそうか!まぁ、まずは上がっちゃってくれ」


「「「「お邪魔しまーす」」」」


 剣義に続いてリンとシュウトが名乗り、最後に涼海が名乗ると、大和は豪快に笑い、四人を中へ招き入れる。


「…さて、リンにシュウトだったっけ?事情は聞いてると思うんだがな、この店はかなり人手不足でね。

そこでバイトを雇おうかと思っていたんだが、貴斗に頼まれたのもあって君達を迎え入れることにした。

勿論、最初は慣れないことだらけだと思うが、ビシビシ鍛えていくから、頼むぜ!」


「「はい!」」


 大和の言葉に、二人は強く頷き、それを見た大和は満足気にガハハと豪快に笑う。


「さて、そろそろ昼か。よし、うちも開店するが、良かったら飯食ってってくれ!」


「良いんですか!」


「あったりめえよ!」


「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうか!」


 こうして、剣義達はやまと屋で昼食を食べることに。


「…そしたら、流の歓迎会でもするか!」


「お、良いねぇ!」


「さんせーい!」


「良いと思う。…そうだ、春瑠乃さんも呼んだほうがいいんじゃない?」


「ああ〜、確かに」


「ハル先輩を呼ばなかったって知ったら、面倒臭そうだもんなぁ」


 剣義と貴斗の意見は合致し、春瑠乃も呼ぶことに。そして30分程が経ち、店の戸が開く。


「皆〜お待たせ〜」


「遅いですよ、ハル先輩」


「貴斗君?女の子には色々と準備があるの。これでも急いで来たんだからー」


 そんなことを言っている春瑠乃の視線はやがてシュウトに向く。


「あ、君が流君かな?朝日春瑠乃です。宜しくね?」


「…流シュウトです。宜しくお願いします」


 初対面だった春瑠乃とシュウトが互いに挨拶を終えると、和やかな時間が流れ始める。


「わー、凄い!この卵焼き、凄い美味いぞ!ほら、ツルもシュウトも食べた食べた!」


「え?あ、ほんとだ。美味え!」


「…確かに美味いな」


「だろ?分かってるじゃねえか!」


 リンに勧められて卵焼きを口にした剣義とシュウトはその美味しさに驚き、その様子を見た大和がガッハッハと笑って親指を立てて見せる。


「海老天もーらいっ♪」


「あっ!ハル先輩!何勝手に取ってるんですか!」


「…春瑠乃さん、欲しいなら、私のあげますよ?」


「え?本当!?ありがとー、じゃあ代わりに南瓜天あげる」


「ありがとうございます!」


「…え、俺と扱い違いすぎない?」


 貴斗の海老天を奪った春瑠乃だったが、その様子を見ていた涼海が自分のを代わりにあげようかと提案すると、春瑠乃はそれに喜び南瓜天との交換を勧める。

 そんな様子を見ていた貴斗は、自分との扱いの差に首を傾げる。


「……」


 そうしてわいわいと騒いでいる様子に、剣義は思う。


 ──ああ、この場所に結衣乃に居て欲しかった、と。


 とは言え、結衣乃が居なくなっていない状況であれば、シュウトとは出会うこともなかったかもしれないし、そもそもリンがやまと屋に住むことにはならなかったかもしれない。

 それでも、考えずにはいられないのだ。この平穏で、楽しくて、かけがえのない時間に、あいつも居て欲しいと。


 そんなことを考え、そして頭を振ってその考えを振り払う。

 我ながら、あれ以来ネガティブになってしまって嫌だ。

 絶対に助け出す。そしたらこの時間を共に過ごすことだって出来る。

 だから、強くなって、いつか絶対に結衣乃に手を届かせる。

 剣義は決意を胸に感じ取りながら、そして何食わぬ顔で目の前の味噌汁を飲む。


 ──大丈夫だ、きっと。俺には、信じられる仲間が居るから。


 そう考えている剣義の視線の先には、涼海、リン、シュウト、貴斗、春瑠乃がワイワイと楽しそうに談笑している姿があった。


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