EP62.二国の協力
…翌朝
「さて、そろそろブレイナの奴も氷の封印を破ってくる頃だと思う。皆、昨日まで敵だった連中と手を組みたくはないかもしれない。…けど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。この局面を乗り越えるには、二国の協力が不可欠だ」
俺の言葉を聞いた皆は無言で頷く。
そして、それと同時に目の前にある氷塊が消し飛ぶ。
「ふふっ、昨日と比べて随分いるわね」
「よう、今日はテメーのことを倒しに来てやったよ」
「昨日の強い子じゃない。…良いわね。私を楽しませてよ!」
そう言うとブレイナの背後から真っ黒な影のような兵士が大量に現れる。
「あれが噂の下僕か…確かにこの数じゃあ邪魔だな」
「ちっ、失せろ!」
「数には数!皆頑張って!アタシも…死者の兵士!」
俺や流が斬撃や銃撃で下僕達を倒しながらブレイナに近付く傍らでリンは下僕を倒しつつ、ゾンビの兵士を召喚し、二国の兵士の援護をする。
「…最初から飛ばしてくか。飛んでる奴には飛んで対抗する、だよな!祝福の翼!」
「俺の攻撃が当たっても知らねーぞ!?」
「お前を信じてみる」
「!…ったく、仕方ねえ!」
剣義が飛行し、それを見たシュウトは剣義を止めようとするが、剣義の自分に対する信用具合に思わず呆れつつもサポートに回る。
「へ〜、良いねえ、ますます興味出たよ」
「そうか。俺は興味ないけどな。…ここでお前を倒す!」
そう言いつつ、俺が念動力で空気の弾丸を放ち、体に直撃させると、生まれた一瞬の隙を突いて流の銃撃がブレイナを遅い、その体を傷付けていくが、10秒も経たずに再び再生が始まる。
「これで終わり?」
「…まさか。その再生能力をどうにかしてやるよ」
「俺達が相手だ」
「アタシもこっちに加勢するよ」
「おう。三人であいつを潰す!!」
「フフッ、出来るかな?」
合流したリンと共に剣義とシュウトがブレイナを睨むと、ブレイナは臆する様子すら見せず、寧ろ不敵に、そして楽しそうに口の端を吊り上げる。
「…可能性があるとすれば…」
「ツル!」
「…おう!流!そっちは任せた!」
「了解!吹っ飛べ!!」
「ミサイル出たし…なんでもありかよ。味方で良かったぜ」
「ボサっとしてないでいくよ、ツル!」
「おう!」
「…やるじゃん。だけど無駄──!」
ミサイルの直撃を受けて尚容易く再生するブレイナ。
しかし、その両脇から剣義とリンが飛び出したのに気付くと、驚いたような表情を見せる。
「業火炎聖斬!」
「魂焔斬!」
「…成る程、炎で焼けば再生を阻害出来る。そう考えたわけね。………でも残念♪無駄でした♪」
「「!!」」
「炎もダメか!」
痛々しく焼け爛れていた肌も肉も何事もなかったかのように綺麗に戻っていく様を見た三人は大きく動揺する。
「…だったら、消し飛ばす!それだけだ!」
「へぇ…やれるかしら?」
「やるしかねえだろ!氷結魔撃砲!」
「死者の兵士!」
「武装!…俺が遠距離しか使えないと思うなよ!」
剣義が氷柱を雨のように降らせ、ブレイナを牽制すると、その隙にリンがゾンビの兵士を嗾け、シュウトは右腕をドリルに変化させて殴り掛かる。
「ふん。こんな雑魚達…何!?」
ブレイナが余裕の表情を見せていたが、放った羽根がゾンビの兵士に当たって尚も突撃を続ける様子を見て驚愕する。
「…貴方の羽根は正確に急所を狙うか、大量にぶつけて漸く初めて大きな効果を出せる。
この死者の兵士はあまり固くない一方で急所が存在しない。ある一定のダメージを受けて消滅するからね。つまり貴方に対しては効果的ってわけ」
「俺を忘れたような態度とは、随分余裕だなぁ?オラッ!」
「!…こんな傷……!!少しだけど、再生が遅く…?」
「なんで俺がドリルを武器にしたか分かるか?…遅かったんだよ、お前。炎の斬撃を喰らった時、余裕そうな顔してたけど僅かに再生が遅かった。…ドリルならその傷跡は複雑になる。だからだよ」
「…やってくれるじゃない!」
「これで終わりではないがな。…決めろ!群星!」
「ッ!?いつの間に…!」
「氷炎魔撃砲ッ!」
「しまっ──」
「…俺は、瞬間移動出来んだよ」
ブレイナの意識がシュウトに向いた瞬間、剣義が瞬間移動を用いて接近する。
その直後、剣義の放った破壊エネルギーがブレイナの体に叩き付けられ、軽い爆発が起こる。




