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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第四章:決意の冬
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EP61.女神の伝承と流の過去


 休戦協定を結んだ後、俺達は早速会議に移る。


「…さて、一つあんたらに聞きたい。あのブレイナとか言う奴は何者だ?」


「ブレイナ…名前だけは聞いたことがある」


「古くからこの地に伝わる伝承に出て来る、死と破壊を司る女神だ」


 ニシキさんに続き、アズマさんが答える。


「…そういや奴もそんなこと言ってたな。…で?」


「かつて…イストーとウェストーの二つがまだ一つの国だった頃、突如として現れた存在、と伝わっている」


「…そして、その圧倒的な力で沢山の人を殺したとされている。その体は矢で撃たれても、剣で斬られても、槍で突かれても、鎚で潰しても、何をしても瞬時に回復したそうです」


「…確かに、奴と戦った時、奴は恐るべき再生力を発揮していたな」


 先程の戦闘を思い出し、俺達は頷く。


「で、結局あいつをどうやって倒したの?」


「奴の体を傷付けることは最終的には出来なかったので、最後には国が一丸となって挑み…そして死闘の末に封印に成功したようだ」


「成る程ねえ…」


 リンの説明にアズマさんが答える。すると、ニシキさんが神妙な面持ちで告げる。


「…それと、伝承ではブレイナには下僕を生み出す能力を持ってるようで、一体一体は大して強くないのだが、数が凄まじいのだとか」


「そりゃまた厄介だな…」


「となるとやっぱり休戦して正解だったな」


「え?」


「…どう言う意味だ?」


「決まってんでしょ。今はここで争ってる場合じゃない。かつての昔、一つだった国が総力を上げて漸く封印というレベルだ。…そして、二度とこんなことにならないように奴をここで倒すべきだ、そうだろ?」


「それは…」


「そうだな…」


「…なら、俺達に加えて二国が力を合わせなくては、それは実現できない」


「「…」」


 根っこの部分で互いに意地や抵抗感があるのか、渋々と言った様子で協力し合っていた二人の王は、黙り込んでしまう。

 そして、その沈黙を破ったのは、意外にもグンジさんだった。


「良い加減にして下さい!」


「!?」


「ど、どうした、グンジ?」


「どうしたもこうしたもないですよ!…私はね、ずっと、戦争が嫌だった!あんたらの意地の張り合いに、私達や民を巻き込まないでくれ!」


「……」


「グンジ…」


「…ま、多分一晩の間は持つ。…じっくり考えてみてくれ。流、ちょっと良いか?」


「…ああ」


 俺はアズマさんとニシキさんの二人にそう声を掛け、流とリンと共に部屋を出る。


「…流、奴を倒す為には俺達が協力する必要がある。…頼めるか?」


「…良いぜ。だが、互いのことも良く知らんのに協力は出来ない。…お前達の話を聞かせてくれ。お前達が戦う理由は何だ」


 流の質問に、俺は結衣乃の顔を思い浮かべながら答える。


「…幼馴染が、いたんだ。そいつと一緒に俺は、俺達は色んな世界を巡って来た。だけど少し前に、ある敵と出会い、その末にそいつはある場所に閉じ込められちまった。…だから、もっと強くなって、あいつを助け出す。それが俺達の戦う理由だ」


「…そうか。なら、俺も話さないとな」


 俺の答えを聞いた流は深く頷くと、自らも語り始める。


「…俺がいたのは、機械生命体の生きる世界だった。俺の能力はそこに由来する」


「お前の体質みたいなものだったのか」


「ああ。…あの頃より遥かに力が強化されたけどな。

…だけど、その世界はもう…滅びた」


「…!!どういうことだ?」


「ある時、とんでもない力を持った化け物が異世界からやって来て、あっという間に滅ぼした。俺は奴に立ち向かったが…負けた。そして奴は他の誰も居なくなった世界に敢えて俺を取り残した」


「…そんなことが…」


「俺は絶望の中彷徨った。家族も、友人も、全て喪ったからな。…そしてその末にこの力に目覚めた。…俺の戦う理由は一つ。あの男に復讐をする。それだけだ」


「復讐…か。仮にそんなヤバい奴が世界を超えられるのだとしたら、俺達も警戒しないとな。…そいつの名は?」


「忘れもしない…奴の名、それは…メテス・クロノオ」


「メテス…だと…!」


「奴を知っているのか!」


 思いもよらない宿敵の名前に、俺達は硬直する。


「知ってるも何も、ユイがいなくなったのは…メテスのせいなんだ…!」


「どうやら、互いに同じ敵を追ってるみたいだな、俺達」


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