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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第一章:始動の春
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EP6.親友・ライバル・宣戦布告


 「剣義。あなたが好きだから」聞き間違いや幻聴でなければ今結衣乃はそう言った。

 正直頭はまだ追いついていない。

 異世界に行く前、「告白みたいだ」なんて考えたりはしたけど、まさか本当に告られるだなんて…。

 ってかそもそも何の話だったっけ?…あっ俺に秘密にしてた理由か。

 ふと涼海の方を見ると、魂が抜けたみたいな顔をしている。…そこまでか?


「…マジで?」


「大真面目に言ってるよ、私は。とにかく私は巻き込みたくなかったの。剣義はその…無茶しやすいから」


 そう言われて気付く。確かに昔から俺がやんちゃな事をして怪我したり傷つく度に結衣乃は過剰な位心配していた。

 そして、結衣乃は続ける。


「きっと剣義だったら、すずちゃんの事情を知ったら放っておく訳がないと思ってた。

それは良い事だしね、私は剣義のそういう所がその、好きだからさ。…でも、だからこそ尚更教えられなかった。

だけどすずちゃんを放っておく訳にもいかない。だから私は、私とすずちゃんだけの秘密にしたの」


「……そうか、ありがとな?話してくれて。正直まだ頭が落ち着いて無いけど、その…」


 俺がしどろもどろとしていると、何処かスッキリした様な顔で結衣乃は俺に言う。


「…剣義。さっきの告白さ、勿論本気だけど、まだ返事しないで」


 俺は黙って結衣乃を見る。


「説明の為なんかじゃなく、100%自分の意思でまた告白するからさ、その時に返事して欲しいの」


 結衣乃はそこまで言い切ると、真っ直ぐと俺を見つめる。

 暫しの沈黙の後、俺は溜息を小さく吐いて頷く。


「……はぁ。緊張しちまったじゃねーかよ全く。…まあ気長に待っといてやるよ」


 なんか偉そうなのは単に恥ずかしいからだ。  

 そんな俺の返事に結衣乃は呆れた様に、でも何処か嬉しそうに笑う。


「上からだなぁ…。でもまぁ、そういう妙に察しの良いとこ、割と好きだよ」


「妙って言うなや。ってかもうこんな時間か!そろそろ帰ろーぜ!」


 ふと腕時計を見ると、時刻は間もなく19時だ。

 すると結衣乃が言う。


「あ、そしたら先帰ってて、私すずちゃんと話したい事あるから」


「いや、いくら最近日が長くなってきたって言ってももう暗いぞ?お前等二人だけで大丈夫か?」


 心配なのでそう言うと、結衣乃は得意げにこう返す。


「忘れたの?私達、普通の人より遥かに強いんだよ?」


「あ、そうだった。忘れてたわ。…ならまぁ、帰るけどよ。ま、気を付けとけよ。念の為」


 そう言って二人と別れ、神社の階段を降りて行く。

 話があるって言ってたけど、何かあったのかねぇ…。

 なんてことを考えながら帰路に着く。


 空には満月になりかけの月が浮かんでいた。


────


 家へと帰る剣義の後ろ姿が完全に見えなくなったのを確認して話を切り出す。


「ごめんね?すずちゃん。残って貰っちゃって」


 先に謝ると、すずちゃんは少し微笑んで大丈夫、と言う。

 そんな彼女の姿に胸がチクリと痛むのを感じながら、話を続ける。


「もう一つ、ごめん。抜け駆けする様な真似して」


「結衣乃。…私は別に」


 私の言ったことを否定するすずちゃん。


 でも、その言葉の真意はもう、分かっていた。


「……すずちゃん。良いんだよ?私に譲ろうとか考えなくて。

私は剣義が好き。だけどすずちゃんも大切。

…親友だもん。だからこそ、私はすずちゃんと正々堂々ぶつかって、その上で剣義に私を選んで欲しい」


 なるべく素直な感情を、すずちゃんに伝える。

 私は、確かに剣義の事が好きだし、出来れば一番近くでその隣に居たいと思う。けど、同時にすずちゃんの事も本当の大親友だと思ってる。

 だけど、すずちゃんが私に剣義を譲ったりして、私達が結ばれてしまえば、すずちゃんは私達とは一緒にいられなくなってしまう。

 そんなの私も剣義も…そして何よりすずちゃん自身も望んでない。

 そんな私の思いが伝わったのか、すずちゃんも、ポツリポツリと話し始める。


「…私は、私も群星君の事がその…好きなの。…だけど、結衣乃もきっとそうだって分かってたから。…なら二人の邪魔をしないようにって思ってた」


「そっか」


 すると、すずちゃんは不安そうな顔でこちらを見ながら話を続ける。


「良いの?私、群星君と、もっと近くに居たいって、願っていいの?」


「良いに決まってるでしょ。言っとくけど、私は譲る気なんて無いからね?本気で剣義を狙う。

だから、すずちゃんも本気できてね!」


 ビシッと指を指しながらすずちゃんを見る。

 すると、すずちゃんも勝気な笑みを浮かべた、こう言い放つ。


「望むところよ…。結衣乃、私も絶対勝ってみせるから」


「うん、それで良いよ!」


 夜の神社で、親友の私達は宣戦布告して、笑い合う。


 ふと二人で空を見上げると、満天の星が綺麗に煌めいていた。


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