EP57.風邪と二人クエスト
十二月の少し早めの初雪から少し経ち、新たにクエストが来た…のだが、様子がおかしい。
というのも何故か急に連続して二つのクエストが入ってきたのだ。
「…まさかこんな特殊な状況があるとは…」
「偶にあるんだよね。複数のクエストが連続で来ること。ケホッ。群星君が私達の秘密をケホッ、知った時もそうだったよ。ケホッ」
「…ま、それはそーだとしても、スズは暫く休んでなよ。風邪、ひいたんだし」
「…はーい」
そう、今はなんと涼海が風邪をひいているのだ。涼海程の強い人間が…と思うが、普段は騒ぎにならないよう。…それこそ、中一の時の先輩を吹き飛ばした件のような事故を起こさないよう、意図的に力を抑え込んでいるため、実際には普通の人間と大して変わらないのだとか。特に最近はストレスも結構溜まってただろうし、無理もない。
で、結局何が言いたいかと言うと、今回は俺とリンでクエストを片付けないといけないということだ。
助けを待ってる人がいるのだし、涼海が回復するのを待ってる訳にはいかないだろう。
それに、いつもいつも涼海にばかり頼るのもどうなんだ、と思いこの機会に休ませることにしたのだ。
「…んじゃ、俺達は行って来るから」
「…うん。ごめんね、二人とも」
「何謝ってんの!大丈夫だよ、アタシ達は!」
「そうだぞ。そもそも、お前はいつも頑張ってるからな!偶には休め」
「!…そうだね。任せたよ、二人とも」
「おう、任せとけ!」
「任せといてよー!」
「よしリン、行くぞ」
「うん!」
そして俺達は二人でクエストへ向かう。
光を抜けると、そこは…
「…ここは、城か?」
「如何にも。貴方方が異世界から参られた救世主か?」
「まぁ、そんなところです。なんで俺達を呼んだんですか?」
「この国は隣国と仲が良くなくてな。この国の王と隣国の王は元々犬猿の仲だったのだが…遂にお互い宣戦布告をした」
「…戦争って訳か。嫌だねー」
「で、アタシ達を戦わせて勝とうって?」
「生憎こっちも暇じゃない。戦争の道具になるのは真っ平ごめんだね」
「分かっている。…余り声を大にして言えはしないが、我々軍としても向こうとの戦いは望んでいない」
「なら止めなよ」
「それが簡単出来たら苦労などせぬ。…実は、隣国の王は、この戦争に勝つために異世界から助っ人を呼んだのだ」
おじさんの困ったような言葉に、俺達は段々と状況が見えてくる。
「…つまり、異世界から来た助っ人があんまり強くて兵士がやられちゃうし、やられっ放しで王も和解なんて絶対嫌がるだろうから、せめて助っ人をなんとかして状況をイーブンにしたいってことか?」
「端的に言えばそうだ」
「とは言え、助っ人は自分達では勝てそうにもないので、目には目を、歯には歯を、助っ人には助っ人をって方式で俺達を呼んだと」
「分かってもらえたか。…それで、手を貸してくれるか?」
「良いぜ。…ただし、一つ条件がある」
「…何だ」
俺が人差し指を立てて見せると、おじさんは恐る恐る聞いてくる。
「助っ人を何とかしてやるから、戦争はもう止めさせる。…なんて言われても困るだろうからな。
俺と、その相手の奴が一騎打ちをする。それで勝敗を付けるってなら良い。そう伝えてくれ」
俺がそう言うと、おじさんはしどろもどろになる。
俺は一瞬不思議に思ったが、すぐに理由に行き着く。
「…もし言い辛いのなら俺から言ってみるけど、どうする?」
「……非常に申し訳ないが、頼む」
「ま、あんたにも立場があるだろうしね」
「申し遅れたが俺はグンジだ。宜しく」
「宜しく、グンジさん。俺は群星剣義だ」
「アタシはリン!」
おじさん改めグンジさんは手を差し出して来たので、俺もそれに合わせ、握手する。
「さーて、まずは王様の説得だな」




