EP53.空中都市攻略戦
空貫の塔内部で宿泊し空中都市を待つこと五日、その間に俺達は戦闘時の街の保護策として、元来から居た兵士に加えてリンの死者の兵士を召喚して守り、町民達はすぐに避難できるようにしている。
それ以外にも突入時のシミュレートを繰り返すなどして過ごしていた。
そして、その時は来た。待機していた俺達の元に伝来役の兵が駆け付ける。
「来ました!空中都市です!」
「!分かりました。…よし、皆!作戦通りいくぞ!」
「うん!」
「任せて!」
俺達は空貫の塔の頂上へと登り空中都市の姿を確認する。
「あれが空中都市…凄いな。本当に街が浮いてる…」
「さて、そうしたら行こうか、リンさん」
「そだね!早速行こー!」
涼海とリンの二人は箒に跨ると、そのまま一気に飛び立つ。
その間に俺は事前に自身の瞬間移動可能なギリギリの距離を測っておく。…よし、いけそうだ。
俺は腕で大きく輪を作ると、それを確認した二人も腕で輪を作って返事する。
「よし…!」
俺は狙いを定めて魔法を放つと、次の瞬間には景色が大きく変わり、足元には箒が。
「おっとと…」
「だいじょーぶか?ツル」
「落ちないでよ、群星君」
「大丈夫だよ。任せとけ」
「こっからが本番だね」
「ああ」
こちらに気付いたのか、空中都市から巨大な鳥のようなものが接近してくる。さっさと行かせてもらおう。
「さーて、もう一丁!」
再び効果範囲を測って空中都市の存在を確認し、俺はその中へと瞬間移動する。
「よーし、ここが空中都市か」
「貴様、何者だ!」
「どっから入った!」
「うわ、本当に鳥と人が混ざったみたいな見た目してんな。…なんで地上襲うんだよ」
「ふん、そんなの気に入らないからだよ!」
「!」
『気に入らないから、かな?』
その言葉を聞いた時、俺はメテスの発言を思い出し、怒りの炎がフツフツと沸いてくるのを感じる。
「あいつらは所詮俺達の奴隷だ!」
「…そうかよ。どうやら交渉の余地はなさそうだな」
「テメェも死ね!」
「ふん、焼き鳥にしてやんよ。爆炎魔撃砲!」
槍を持って突っ込んできた一体の鳥人を俺は激しい火炎で迎え撃つ。
「なっ…!」
「悪いが、慈悲はねーぞ。お前達が降伏でもしない限りはな。そうでもなければ俺達はお前達を…倒す」
「くっ!やれるもんならやってみろや!」
「達だと!一人の癖して偉そうに!」
「もう不覚は取らない!死ねえ!」
「魂焔斬!」
「何!?」
刀を持った鳥人が俺に斬りかかろうとしたところをリンが蒼炎を纏った斬撃を背後から放って妨害しつつ撃破する。
「お待たせ!」
「さあいくよ!」
「おう!」
俺達三人は合流し、本格的に戦闘の火蓋が切られる。
「くっ!数が多いな!!」
「我々を侮ったこと、後悔するが良い!」
「別に侮ってはねーけどな。おっと、聖天銀河斬!」
三体の鳥人が纏めて突っ込んできたので、青い光を帯びた聖剣で回転斬りを放ち、屠る。
「はっ!」
「へへへ!これでは届かまい!」
「厄介ね…」
涼海は戦姫の一太刀で近付く鳥人を片っ端から倒していくものの、上空にいる相手に苦戦してしまう。
「…やっぱりこいつらの飛行能力は凄いな…。
魂炎鬼弾」 !」
「うけけけけ…!」
「ほらほら、どうしたんだ?」
一体一体はさておき、数の多さと飛行能力にこちらも苦戦を強いられてしまう。
「…!」
「あれ?避けられただと!?」
「あいつ…消えた!?」
「消えたんじゃねえよ。移動したんだ。吹雪氷聖斬!」
瞬間移動で攻撃を回避しつつ、背後に回ると冷気を纏った斬撃を叩き込んで鳥人達を氷漬けにする。
「うおおおらっ!…ぐあっ!!」
「障壁…念動力の応用さ」
念動力で空気を押し固めてバリアを張り、鳥人の突進を防ぎ返り討ちにする。
一進一退。そんな戦況が暫くの間続く中であいつは現れた。
(…マズいな。もう魔力も大分消費した。瞬間移動は結構コスト高いからな…もう使えそうにもないか……!!)「くっ!!…お前はまさか、グルーイって奴か!」
「いかにも。我こそがグルーイ。鳥人族最強の戦士にして鳥人族の王だ!」
突如として上空から凄まじいスピードで攻撃を仕掛けてきたのは鷲に似た貫禄ある鳥人だった。
俺は攻撃を咄嗟に聖剣で受けたものの、それでも防ぎきれずに多少のダメージを負ってしまう。
「こいつ…他のとは別格だな」
「狼藉者達よ…ここで死ね」
「そう言う訳にいくかよ!テメーは俺が倒す!」
強がってはみるものの、大分限界ではある。長くは戦えない。
「群星君の所へ行かなきゃ…ちょっと、離れなさい!」
「嫌だね!」
「テメーはここで大人しくしてろ!」
何体かの鳥人が涼海に特攻し、攻撃を縫ってしがみついてくると、動きを妨害してくる。
「…だったら、輝閃乱撃舞!!」
「ぐああ!」
「ぐわあっ!」
「どわあっ!」
涼海は焦りを覚えて奥の手を使い、全身を金色輝かせると鳥人達は纏めて吹き飛び、消滅する。
「威勢だけは良いな。──なら、まずお前から死ね」
「くっ!…早っ!って、え?うわあああっ!」
「群星君!!」
「ツル!?」
くそっ、マジかよ。グルーイの能力は半端じゃなかった。超高速で俺を捕らえると、そのままあっという間に都市の中心部から外まで連れ出し、そして俺を落としたのだ。次見た瞬間には、グルーイはもう居なかった。速すぎる…!
…俺は、こんなとこで死ぬのか?そんな絶望が、胸の中に広がり始めた。




