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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第三章:波乱の秋
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EP47.涼海の「力」


 結局、私自身は自覚していなかったものの、とんでもない力が私の身体に宿っているということが判明し、私は困惑していた。


 そして異世界へやって来て早くも一ヶ月が経ったある日のことだった。私はチヨコ達の住む屋敷の一部屋に本格的に身を置くようになっていた。

 この頃になると、私も周りに馴染み始め、周りの人々に少しずつ気を許すようになっていた。

 昼下がり、すっかり私と仲良くなったチヨコに誘われて街に買い物に出かけた、その帰り道に突如としてを魔物達が街を襲い始める。

 兵士達が応戦するものの、数の多さに大苦戦を強いられてしまう。


「くそっ!数が多過ぎる!」


「屋敷の中には絶対に入れるな!」


「チ、チヨコさん、あれは・・・」


「・・・魔物の群れね。邪竜の力の影響を受けてより活発で凶暴になってるの」


「そんな・・・あ、シフォンさん!」


「!シフォン、今助けるから・・・火焔矢!」


 見覚えのある兵士が魔物にやられそうになってるのを見て、チヨコは炎の矢を放って襲っていた魔物を撃ち抜く。


 シフォン、と言うのは襲われていた兵士の名で、以前私の力の計測を行った人の良さそうな兵士である。

 元々、チヨコとは歳も近く幼い頃からの付き合いの為、チヨコ共々私のことを何かと気に掛けてくれていた。


「・・・!お嬢様!スズミ!危ない!!」


「ッ!しまった、後ろから・・・!」


「!」


 近くにいた魔物が後ろからチヨコに襲い掛かる。

 その時、スズミの体は考えるより先に動き、魔物を蹴り飛ばした。


「・・・・・・スズミ・・・?」


「・・・」


 頭を巡る、この一ヶ月。勝手に呼び出して巻き込んだことに罪悪感を感じ、出来る限り私の要望に応えようとし、優しく接してくれ、私が帰るための方法を普通の兵士の人達までが自主的に協力して探してくれている。

 これしか方法がなかっただけで、この世界の人達は優しいし、傷ついてほしくない。・・・少なくとも、自分と接してきて、今届く範囲の人を守りたい。

 そんな思いが芽生えていたことに気付いた私は、覚悟を決めた。


「・・・はァッ!」


 それから私は魔物軍団と戦い抜き、全ての魔物の撃破に成功した。


「はぁっ、はぁっ、私が・・・敵を・・・・・・」


「ありがとう、スズミ。お陰で助かった。だけど・・・」


「すまない、僕達がもっと強ければ君を巻き込まずに済んだ。・・・本当にすまない!」


「いや・・・私、覚悟決めました。・・・邪竜を、倒します!」


「えっ?・・・でも、良いのかい?」


「はい。じっとしてても帰る方法が分かるわけじゃないですし、この世界のこと・・・好きになってきたので、守りたいなって、思ったんです」


「そっか、スズミの覚悟伝わったよ。だったら・・・私も一緒に行く」


「お嬢様!?」


「私も一応、一級魔法使いだしね。スズミだけに全部背負わせないよ」


「・・・はあ、仕方ないですね。なら、僕も同行します。元々、僕も討伐隊の一員でしたし」


「ほんと?よーし!そういう訳だからスズミ、宜しくね!」


「え、ええ!」


 チヨコとシフォンの二人に押し切られ、その数日後に私達三人は旅に出ることとなった。

 その道のりは、決して簡単ではなかった。

 凶悪化した魔物達を各地で倒しつつ、邪竜を倒す為に鍛錬の日々。

 そして四年もの歳月をかけ、漸く私達は邪竜の元へ辿り着いた。

 三人共四年前とは比べ物にならないくらい成長し、強くなった

 黒い鱗に紅い瞳の邪竜は、大きな咆哮を上げると私達三人に向けて闇のブレスを吐くが、私達はそれを避ける。


「・・・!地面が抉れてる・・・あれはやばいですよ」


「油断しないで行くよ、シフォン、スズミ!」


「うん、任せて!」


「了解、お嬢様!」


 続けて邪竜は尾を振り回して攻撃を放つが、剣を構えたシフォンが受け止める。


「中々の威力だけど・・・受け止められる!今だ、スズミ!」


「はい!」


 シフォンの合図を聞いた私は飛び出して邪竜の尾に乗り、そのまま素早く背中まで登ると、拳を放つ。


「はッ!」


「よし!効いてる!・・・おっと、危ない!」


「火焔矢!」


 邪竜の放ったブレスを、チヨコの炎魔法で相殺する。

 私達は着実に邪竜を押していた。・・・しかし、それが油断を招いたのかもしれない。

 私がそれに気付けたのは、全てが終わってからだった。


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