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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第三章:波乱の秋
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EP46.始まりの冒険


 その日の夜、私が寝ようとすると誰かの助けを求める声が聞こえた。

 最初は気の所為かと思っていたけど、どうしても気になって、「大丈夫かな」そう思った。

 そうしたら突然その声は止んで、代わりに不思議なボールが私の中から出てきた。

 私がそれに驚いていると、ボールは形を変えて大きな穴となり、私はその中へと吸い込まれてしまった。


 気付くと、そこは教会のような場所だった。


「…!?ここは?私、家に居たはずなのに…!」


「何と…まだ子供の、それも女の子か…」


「こいつで大丈夫か?」


「仕方あるまい。…この国を救うには、異界の救世主を呼ぶしかないのだ。…そこの娘、名前は?」


 荘厳な雰囲気のお爺さんと、金髪で鋭い目付きのおじさんが話をしていたと思うと、お爺さんは私に名前を聞いてくる。


「わ、私ですか…?私は、月見涼海って言います…。あ、あの、ここは一体どこなんですか!?」


「名はスズミか。分かった…教えよう、スズミ。

ここはケキー王国。今、この国は邪竜が復活した影響で危機に陥っている。

そしてその危機を、異界よりやってきた救世主たるスズミ、君に頼みたい」


「わ、私が救世主!?しかも異界ってことは…私もう帰れないのかな…」


「…すまないな。だが、君の力が必要なんだ。

私はショウト。この地域の長だ。困ったことがあったら私に言ってくれ」


「俺はズーチ。ショウトの息子だ。さて、スズミだったっけ?

まあ、色々整理する時間も必要だろう。…泊まる部屋に案内する。着いてきな」


「…はい」


 その日は結局、ズーチさんに着いて行って、用意された部屋で一人考え続けていた。

 今、自分が置かれている状況が何なのかを一人で考え続けた。

 でもどんなに考えたって答えは出なかった。


「私、どうなるんだろ。お母さん…お父さん…結衣乃、群星君…会いたいよ…。……もしこのまま帰れなかったらどうしよう」


 一人で悶々と考えて、考えて、考え疲れた私は、これがただの夢であることを、起きたら全て元に戻っていることを期待して、眠りについた。


 しかし、そう甘くはないということを、私は思い知らされた。


 見知らぬ天井に、自室の物とは似ても似つかぬ内装や家具。


 その一つ一つが、この場所は自分の知る世界じゃないという証拠だった。


 改めて、自分が異世界にやって来たことを実感して、私が落ち込んでいると、ドアがノックされた。


「…?どうぞ」


「起きたのね!」


 そう言いながら部屋に入って来たのは小柄で、何処か優しい雰囲気を持ち、黄金色の髪をポニーテールにした少女だった。


「あなたは…?」


「私はチヨコ。昨日あなたを召喚したショウトお爺ちゃんの孫であり、ズーチの娘よ」


「ああ、あの二人の…それで、どうしたんですか?」


「昨日、お父さんとお爺ちゃんが説明したとは思うけど、あなたは私達の世界を救う救世主として異界から呼び出されたの。それで、あなたに邪竜を倒す為の旅に出てもらいたいのよ」


「旅…!?そ、そもそも私に世界を救う力なんてないです!ただの中学生なんです!私!」


「ちゅうがくせい…?おかしいな…異界からやって来た救世主は人を遥かに超えた力を持つと聞いてだんだけど…」


「そそそそんな力なんてないです!」


「…ふむ、成る程ね。じゃあ取り敢えずお爺ちゃんに相談してみるよ」


 そう言ってチヨコさんは部屋を出る。それから数十分が経った頃、再び部屋に戻って来るなり私を何処かへ連れ出す。


「えっと、チヨコさん?今、どこに向かって…」


「んー?闘技場だよ」


「闘技場!?な、何で?」


「取り敢えずお爺ちゃんが力を測ってみようって言い出したからねぇ…。ま、大丈夫だよ、殺されるなんてことはないし」


「ええ…」


 そして少し広い石畳の場所へ出る。そこには何人かの兵士と思わしき人達が。

 その中でも人の良さそうな顔立ちで、赤い髪が特徴的な青年が出てくると、私に話しかけてくる。


「さて、今から君の力を測らせてもらう。僕がこのクッションを構えているから、そこ目掛けてパンチとかキックしてみてね」


「は、はい?…分かりました」


「じゃあまずはパンチからどうぞ──ッへぶっ!?」


「え?」


 私は人を殴ったことなんてなかったから、そこそこなパワーでクッションに拳を打ち込むと、兵士はそのまま受け止め切れずに吹き飛ばされる。


「う、嘘…!ごめんなさい!大丈夫ですか!?」


「んー?だ、大丈夫だよ。しっかし今のもフルパワーからは程遠そうだったのにこの威力かぁ…凄いな。

じゃあ次は回し蹴りね」


「は、はい」


「よし、バッチコッ──!ぐふぉああっ!」


「あ、また!ごめんなさい!」


 今度は手加減して回し蹴りを放った筈が、やはり兵士は受け止め切れずに吹き飛ばされる。


「いててて。だ、大丈夫、大丈夫。それよりも君、滅茶苦茶強いじゃん」


「え?そんな筈は…でも確かにこれは異常だし…」


 自身の体に何が起きているのか分からず、私は困惑することとなったのだった…。


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