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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第三章:波乱の秋
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EP41.文化祭当日


 さて、あれから時が経つのは早いもんで、あっという間に今日は文化祭当日である。

 因みにうちのクラスの演劇は14時開演で40分間を予定している。なのでしばらく時間があり、今は俺と涼海の二人で回っていた。

 結衣乃とリンの二人はもう当番をしてるらしく、後から合流すると言う。

 速野と姉貴は二人きりになるように誘導しておいた。


「群星君、どこか行きたいところある?」


「そうだな…まずはお化け屋敷にでも行ってみるか!」


「何で!?」


「いや、反応面白そうだからだよ」


「…」


「…ご、ごめん、冗談だよ冗談、流石にな。

そうだな、あそこに射的があるし、やってみるか。

夏祭りでもやらなかったしな」


「そうね。そうしましょう」


 そう言って射的の教室にやって来る。

 お金を払って、早速撃つが、全弾すかしてしまう。

 夏祭りで姉貴がムキになってたのもなんとなく分かるな。当たりそうで当たらない、このもどかしさ。

 魔法の方がよっぽど当てやすい。


「……」


「次は私がやるわ。コツがあるのよ、コツが」


「いつぞやの金魚掬いと逆だな」


「群星君、金魚掬いも出来なかったでしょ」


「うっ!そうでした…」


「狙って…はい、取れたわ」


 涼海はサクッと狙った物を撃ち落とす。


「やっぱお前こういうの得意だよな」


「ちょっと教えてあげようか?」


「良いのか?じゃあ頼むわ」


 そう言って俺が銃を構えると、涼海がその手の位置を動かしたり構えを補正する。

 …何か良い匂いが…。いくら幼馴染と言えど、ここまで密着する事はお互いの性格もあってそもそも無かった。

 涼海は善意で教えようとしてくれてる訳だし、俺が若干思考を別ベクトル、しかも煩悩よりに考えているというのは失礼だろう。

 そう考えて、思考を無理矢理射的に戻す。


「今よ!」


「…よし!当たった!ありがとな、涼海」


 そう言って振り返ると、思いの外顔が近く、驚いて固まってしまう。


「…ご、ごめん、近かったよね」


「いや、こっちこそ急に振り向いたりしてごめん」


 そう言って涼海は顔を赤くして離れていく。

 …いや、顔が赤いのはお互い様か。


 何とも言えない気まずさを誤魔化すように早足で向かった先は結衣乃のクラス。

 何でも結衣乃のとこは謎解きをしてるらしい。


「よお、結衣乃、リン。来たぞ」


「お、剣義にすずちゃん、いらっしゃーい」


「ここでは謎解きが出来るんだよね」


「そう!ユイが頑張って考えてたんだ!」


「何でリンが自慢げなのよ…。ま、立ち話はこれくらいにして、挑戦する?」


「勿論!その為に来たんだしな」


 そう言って俺達二人はお金を払って教室に入っていく。

 教室の中では壁や仕切りが用意されていて、謎を解いて、それを中にいる人に教える。

 で、合ってれば次に進めると言う仕組みだ。


「ん?何だこれ…」


「え?うーん、分からない、結構難しいわね」


 そうして格闘すること十五分、何とか三つの問題を解き、外に出る。


「いやー、面白かったな」


「お、出て来たんだ。どうだった?」


「難しすぎず簡単すぎずでやり応えがあったわ」


「よく考えられるよなー」


「でしょー。そしたら後30分位したら合流するねー」


「おう、またな」


「また後でな!ツル!スズ!」


 二人に見送られ、あてもなくぶらぶらと歩いていると、何処からか良い匂いが漂ってくる。


「…たこ焼きか。食べるか?」


「うん!」


「たこ焼き一つお願いしまーす」


「はーい、って剣義に涼海ちゃんじゃない」


「あれ?姉貴?速野はどうした…ってか何で働いてんだ?」


「そりゃあ、この時間の担当だからに決まってるじゃない。…貴斗君はクラスの友達と回ってるぽかったけど」


 そう言う姉貴の顔はどこかむくれたような表情だった。

 速野に空いてる時に姉貴と巡ってくれとは頼んだが、姉貴の方に確認するのは忘れてたな。

 まあ、姉貴も当番があるのをすっかり忘れてた。


「春瑠乃さんはいつまでなんですか?」


「ん?今日は11時位かな。…あ!演劇、見に行くからね!」


「ああ、どうも。…そしたら後一時間半くらいか…。13時には速野も準備に入るから、その間の二時間くらいは二人で巡ってくれば?終わった後も一時間くらいは巡れるし」


「…全く。いっちょ前にお膳立てしちゃってさ!

……ありがとね。さて、はい!できたよー!」


「サンキュー!さて、食うか!」


「うん!」


 姉貴はたこ焼きを渡す。俺はその内の一箱を涼海に渡して自分の分の箱を開ける。


「うわっ!美味い!」


「流石春瑠乃さん…美味しい…」


 そう言って嬉しそうにしてる涼海の顔を、俺は何故か直視できなかった。

 それから少しして俺達は結衣乃とリンの二人と合流し、四人で文化祭を満喫した。


 そして遂に、演劇本番の時が近付いていた。


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