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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第三章:波乱の秋
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EP40.演技の道


 速野に言われ、続きを読む。


「少し…考えさせて下さい」


「分かった。…命懸けでの戦いになるだろう。しっかり考えなさい」


 その後布団に入り、考える。自身はどうしたいのか。

 姫花の事、父の事、母の事、色々考える。そして、一つの結論に辿り着く。

 翌朝、祖父と祖母を前に宣言する。


「おじいさん、おばあさん。今まで育ててくれてありがとうございます。…俺は、鬼退治に行きます」


「…そうか。私達も本音を言えば行って欲しくなかった。

…しかし、こうなるのも分かっていた。お前は、若い頃のあいつそっくりだからな」


「頼んだよ、桃太郎」


「はい!」


 それから数日が経ち、俺の旅立ちの日がやって来た。


「生きて帰って来てくれ」


「はい。分かってます」


「そうだ、桃太郎。きび団子を持っていきな。…特別なきび団子だからね、食べると力が湧くよ」


「ありがとうございます。おばあさん」


「桃太郎良いか。桃の花言葉は『天下無敵』。苦しくなったらこれを思い出せ。良いな」


「はい!それでは、行って来ます」


 こうして、桃太郎は旅に出るのだった…。

 その先で彼は三匹のお供と出会う事となる。


「ふぅ〜む。良い匂いじゃあないか。そこの兄ちゃん、真剣な面持ちでどこに行くんだい?」


「鬼ヶ島へ鬼退治に」


「成る程ねえ、そりゃまた危ねえとこに。何で行くんだい?」


「実は、鬼に攫われた姫というのが俺の幼馴染なんです」


「その子を助けるために行くのかい?」


「勿論、それもあります。…実は、俺の父もかつては武士として戦い、その幼馴染を守り抜いたそうなんです」


「その父さんは今?」


「その戦いの中で戦死したと。…名前も声も知らない父が命懸けで守ろうとしたその想いを、俺は受け継ぎたいと、そう思ったんです。それが、俺が父さんの子供であるという何よりもの証明になると」


 通りすがりの犬に話しかけられた桃太郎は自身の旅の目的を伝えると、犬は感激するような素振りを見せる。


「…兄ちゃん、凄えな。よし!俺も行こう!是非力を貸させてくれ!」


「え?でも悪いですよ」


「良いから気にすんなって!」


「でも…」


「それなら…そうだな、その美味そうなのをくれないか?」


「それが対価…という事ですか?」


「おうよ。それなら文句ないだろ?」


「……分かりました。でも、死ぬ危険があるんですよ。それでも来ますか?」


「勿論分かってるさ」


「なら、これからよろしくお願いします」


 犬が旅に加わってから2日後、桃太郎と犬はある村にやってくると、暴れん坊の猿がいるとの情報を得る。

 そこで村人に助けて欲しいと言われた桃太郎達は猿がいるという場所に向かう。


「何だ?テメェらは」


「こいつ、随分と偉そうだな。踏ん反り返ってら」


「俺は桃太郎。こっちは犬さんだ。君に言いたい事がある」


「あ?なんだよ」


「暴れるのを止めて欲しい」


「は?やだね。テメェもやってやる!」


 そう言って猿は飛び掛かるが、桃太郎はそれを躱して軽く叩き落とす。


「つ、強え…何だこいつ!!」


「良いか、そこの猿よ。こんなとこで喧嘩吹っかけるなんてしょうもないことしてるくれえなら俺達と鬼退治に来ねえか?」


「鬼…?そいつは強いのか?」


「強い。だが命懸けの戦いになるし危険だぞ」


「はんッ!危険上等!面白そうだな、着いて行ってもいいぜ」


「え!?危険なんだぞ!…仕方ない、せめてこれをあげるよ」


「んだこれ…美味え!」


「気に入って貰えて良かったよ」


 猿も加わり、それから4日後。

 着々と海に向かっていた桃太郎達一向は山にやって来ていた。


「お前は気に食わないんだよ鳥野郎が!」


「何だと!お前がこの子を傷付けるような真似をしたのが悪いんだろ」


「何だぁ、ありゃあ」


「ありゃあ雉と熊、兎だな」


「何事だ」


「んだお前」


「この熊が兎さんのお昼ご飯を勝手に食べてしまったんだ。それでこの子が泣いていたから僕が注意したらこうなってしまってね」


「成る程な。…誰かに迷惑をかけたのなら謝らなければならぬだろう」


「五月蝿え!」


「…仕方ないか」


 熊は聞く耳を持たずに襲って来たので桃太郎は熊の腹に張り手を打ち込み倒す。


「す、凄い」


「そうだろうよ。あいつは俺達のリーダーだからな」


「へっ、弱いものいじめなんてくだらねえことしてるからだな」


「お前だって似たようなもんだったろ」


「それじゃあ、俺達は鬼退治に行かなきゃいけないから」


「あ、待ってください!僕もついて行きます!」


「え?」


「恩返しをしたいんです!それに、一応腕っ節には自信があります!」


「熊にやられてたのにか?」


「違いますよ!あの場で僕が飛んでたら兎さんの方に攻撃がいくじゃないですか!

だから、あの場に来てくれて助かりました」


「良い心がけじゃねえか。入れてやれよ、桃太郎」


「……分かった。命懸けになる。それでも力を貸してくれるかい?」


「はい!任せてください!」


 雉も加わった桃太郎一向は、紆余曲折を経て遂に鬼ヶ島へとやって来ていた。


「…遂に、来たな」


「ここが鬼ヶ島か。鬼をぶっ潰してやるよ」


「僕も全力で鬼と戦います!」


「ん…?嗅いだことのねえ匂いだ。……来るぞ」


 犬がそう言うと一体の強そうな赤鬼と取り巻きのような青鬼三体が出現する。


「人間め…何しに来た…」


「姫花を助けに来た」


「断る、あいつは私の妻とする。…そうすれば、鬼は繁栄するからな」


 …そこで原稿は終わっていた。


「え?これで終わり?」


「いや、まだ書きかけなんだよ。ここからはクライマックスシーンだし、アクションシーンメインになるから皆の…というか群星と鈴木の動きを見て決めてこうと思ってな」


「まあ、深く動きが入るならその方がいいよな。無理な動作して怪我したりしたら大変だし」


「だろ?」


 そして、アクションの練習も始まった。

 因みに、配役は桃太郎が俺、ヒロインの姫花が涼海、犬役が田中、猿役が佐藤、雉役が山田、赤鬼役に鈴木、取り巻きの三体の青鬼はそれぞれ高橋、小林、伊藤。祖父役の阿部と祖母役が木村といった役回りとなっている。


 その中でもアクションがあるのは姫花役の涼海と祖父母の二人以外の8人。

 特に、メインである以上俺と鈴木は激しいアクションとなる。

 鈴木は強面で大柄、運動神経も抜群なので問題は無いだろう。

 俺も禁断の果実の力があるし、アクションについていけない訳ではないんだが…結論から言うとめっちゃキツい。


 速野は軽そうでチャラそう…というか実際そんな感じの人間だが、目の付け所が良い。

 だから、俺達自身も気付かなかった動きの癖などを見つけては指摘してくる。

 アクションがある以上、少しでも変な動きをしたら怪我に繋がるから仕方ないが、本当に大変だ。

 普通の演技の方もあるし…これ、いけるのか……?


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