EP35.兵器としての真価
ゴーレムは、手強かった。
俺達の攻撃にも一切怯まず、すぐ応戦し、拳を振り下ろしてきた。
「あっぶな!」
「大丈夫かー、ツル」
「ああ。…にしても隙がないな」
「そしたら、取り敢えず突っ込ませてみるよ。いでよ!死者の兵士!」
そう言ってリンが手を振ると、六体のゾンビが召喚され、ゴーレムに向かっていく。…が、一撃で吹き飛ばされてしまう。
「やっぱダメか〜。大きな敵には向いてないんだよねーやっぱ」
「なら、今度は俺だ!爆炎魔撃砲!」
続いて俺が巨大な火炎弾を放つが、一切動じることなくゴーレムは殴りかかってくる。
「やっべぇな!全然効かねえ!」
「もうちょっと火力が欲しいけど…」
「火力、か。なら氷炎魔撃砲!」
二つの属性を混ぜ合わせた強力な魔力球を放つと、漸くゴーレムが後方へと退けられ、動きを僅かに止める。
「…氷炎魔撃砲で隙を僅かに作るのが限界とはな」
「アタシもやってみるよ!魂焔斬!」
リンはどこからともなく黒の刃を持つ片刃剣を取り出し、蒼炎を纏わせて振るう。
その斬撃により、ゴーレムの腕の部分を、少しではあるが、傷つける。そしてその様子を確認したリンは渋い顔で言う。
「うーん、やっぱり足りないか。所でツル、なんかあいつ変じゃない?」
「変?どこが?」
「さっきと比べて何か胸の部分が光ってるような」
「あー、確かに。…って絶対にヤバいヤツだ!逃げるぞ!」
「え?わ、分かった。影潜り!」
俺が焦ってそう言うと、リンも困惑しつつ影を広げて空間を生み出し、入り込む。
そしてその影が閉じ切る寸前、凄まじい衝撃が俺達を襲った。
「うわああああっ!」
「あっぶなー!!」
なんとか立ち上がり、元の世界の色調を反転させたかのような影の世界で、俺達は戦慄した。
何故なら、俺達の居た場所は、先ほどまでの見る影もなく抉れていたのだ。
リンは言う。「この影の世界は、元の世界の影響を受ける」と。つまりこれは、ゴーレムの放った攻撃によって、この場所が消し飛ばされたということに他ならない。
「い、一度戻ってみるぞ。このままここに居ても埒が開かないしな」
「確かに、…じゃあいくよ?」
「おう」
リンは再び影潜りを発動し、元の世界に戻る。
「あれ?ゴーレムなんか動き遅くない?」
「そうだな。胸の発光も四分の一程度になってる…そうか!」
戻ってくると、すぐさまゴーレムに襲われたが、その動きは先程までとは明らかに遅く、光も少ない。そこから俺は一つの仮説を導き出した。
「ど、どうしたツル」
「奴のエネルギー源は光だ」
「そう言えばそんな事を言ってたっけ」
「恐らく、あの胸の発光部は光エネルギーの貯蓄タンクなんだ」
「え?…それってまさか」
「察しがいいな。そう、奴は光を集めてあの攻撃、恐らく光線を放ったんだ」
「成る程ね、でも何で光線って分かったの?」
「それは簡単、影が閉じる瞬間に激しい光が見えたんだよ。リンは反対側を見てたから分かり辛かったろつけど」
俺の解説に納得したような様子を見せるリン。
そして俺はニヤリと笑い、宣言する。
「…けどまあ、だったら倒しようもあるって訳だ」
「だね。反撃開始といこっか!」




