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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第一章:始動の春
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EP3.とある世界の困り事


「ここが…異世界」


 よく見ると足下に魔法陣みたいなものもある。


 なんて感心している間に結衣乃は王様みたいな人に話しかける。


「こんにちは。何があったんですか?」


 すると、相手も口を開く。


「あぁ…其方らが別世界から来た勇者様か?」


「はい、何かお困りなんですよね?」


「あぁ、その通りだ。…実は人類を滅ぼそうとする魔王が現れてな」


「成る程、それで困って祈りを捧げたと。分かりました。私達が何とかするんで、地図とかくれませんか?」


 すげーや、結衣乃の奴。めっちゃスラスラ話を進めてやがる…。


 流石陽の者は違うなぁ…。言うまでも無いが、俺は陰キャだ。


 にしても魔王か。随分とテンプレな敵だな。


「さ、行くよ群星君」


「早速魔王城へレッツゴー!」


 感心してる間に話は終わったらしい。

 重厚な扉を開けて王様達の部屋を後にする。

 …ん?待て待てこいつ等今なんて言った?


「え?もう行くのか?準備とかは?」


 幾ら何でもいきなり魔王討伐って訳にも行かねえだろ。

 なーんて俺の甘ーい考えは粉々に砕かれた。


「いやいや、魔王でしょ?楽勝楽勝、さっさと倒しちゃお?」


「え、えぇ??」


「今日はどうする?結衣乃?」


「ん〜、今日はすずちゃんがやっちゃって!」


「分かった、じゃあ行こ?」


 困惑している俺を他所にどんどん話が進んで行く。


 ……もう着いてけねーや。


「つーかよ、そんな直ぐ着くのか?魔王とやらが住んでるところって?」


「距離はそこそこだね。でもまぁ、私空間転移(テレポート)使えるし」


 あ、そーですか、もう何来ても驚かねーや。


 何て思ってると、空中に緑色の魔法陣が出て来て、そこに結衣乃が手を突っ込み、中からダークレッドの柄で、所々に銀色の飾りが施されていて、先端に水色に輝く宝石が付いた杖を取り出した。


「待って、何か今サラッと凄い事しなかった!?」


「え?あぁ、うん。これね、この魔法陣は中に物を仕舞えるのよ。

あっ、そうだすずちゃん、剣義にも鍵を分けたげて、きっとこれからも着いてくるだろうし」


「あ、そうね。群星君、手出して」


「あぁ」


 言われるがままに俺が手を差し出すと、涼海が赤い球体を出現させる。

 ……これってもしかして。


「鍵か?でも赤いな」


「うん、鍵は人によって色が違うみたい。私は緑、すずちゃんは赤」


「へぇ〜」


 成る程成る程、そう言うもんなのか。

 感心していると、宙に浮いた涼海の鍵が2つに分裂する。


「片方取って良いよ、これが群星君の鍵。鍵は分け与えられるのよ」


「マジかよ!すげぇな…」


「まぁ、複製した鍵じゃ更に複製は出来ないけどね。現に私もすずちゃんから分け与えられてるし。ま、そんな事より剣義は何色かな?」


 急かしてくる結衣乃。

 それにしても鍵の仕組みって何だか現実世界のマスターキーとかと似てんだな。流石、鍵。


「よし、行くぞ?」


「良いよ。ってか本当にビビリだなあ」


 失礼な。俺はビビリじゃなくて慎重なだけだ。

 そして手を伸ばし、赤色の球に触れると、俺の中に入っていく

 ……何か変な感覚だなぁ。


「さぁ、出してみてよ!やり方は何となく分かると思うけど」


「何となくって…。あ、でも確かになんか分かる。よし!」


 説明になってない説明を聞きつつ、手をかざすと、青色の球体が出て来る。

 おっ、上手くいったな。


「青か!良いじゃん!さて剣義、それさえあればさっきの魔法陣も出せるよ?多分これも感覚で、何となく体が覚えてると思うけど」


「あ…なんかいけそう。…これか?」


 またしても説明になってない説明を聞きつつ、手をかざす。すると今度は青色の魔法陣が出現する。

 すげぇ。


「さ、ズボッと手を突っ込んでみてよ!」


「お、おぅ…」


 出て来た魔法陣に恐る恐る手を突っ込む。

 中はひんやりもせず、暖かくもなく、何とも言えない感じだ。

 俺が感触を確かめていると、結衣乃が話しかけて来る。


「さて、一通り体験した所で、そろそろ行くよ?」


「そうね、結衣乃、お願い」


 おっと、そろそろ出発か。…そう言えばここ、王様のお城じゃん。


「さーてと、空間転移(テレポート)!」


 次の瞬間、俺達はおどろおどろしい雰囲気の城の前に到着する。


「魔王討伐クエスト!開始ね!」


 ……結衣乃、テンション高えなぁ…。


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