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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第二章:騒動の夏
29/111

EP29.切り札完成


(まずい!動けなくなった!限界を、超えたのか!?)


 ルジャとの戦いの中、俺は突然体に力が入らなくなったことに気付いた。

 能力の上昇幅に体が追いついていないのか…!

 急いで1.5倍に戻す。特訓の時はもうちょっともってたけど、実戦になるとやっぱり難しい!戦いの中の緊張感が有るのと無いのとでは訳が違う!

 よし、なんとかまた動ける、けど振り下ろされたメイスや斧を避けるのが精一杯で、反撃に出にくい。体の調子が治ってないからだ。


「…?どうした、動きが鈍ってるぞ」


「…どうだかな」


 結構消耗してるし長期戦にはしたく無いが、二つの武器が厄介だな。


「チッ、やりづれえな。仕方ねえ、吹雪氷聖斬!」


「…少し切られたな。問題は…!?」


 冷気を纏わせた斬撃が掠った部分から周りが凍りつく。


 そして一つ分かった。能力を増強するだけなら、限界値を超えていてもある程度の時間は動ける。

 恐らく、一口に限界と言っても二種類あるのだろう。

 一つ目に能力の限界。これは単に体の動きが能力に追従できないからこそ現れる。

 高まった能力が強過ぎて、逆に動きを鈍らせてしまう。

 そして二つ目、身体の限界。特訓の時から薄々感じてはいたが、ある一定の値を超えようとすると、頭の中で何故かブレーキがかかる、これは聖剣が出してる危険信号か、俺の体が生存本能を働かせているのかは分からないが、恐らくそのラインを超えてしまったら俺は死ぬだろう。


 ここで重要なのは二つの限界は同時には来ないこと。

 能力の限界は今の時点で大体3倍。これを過ぎると長くは持たなくなる。

 そして命の限界は恐らく10倍。10倍を超えて11倍にしようとすると、いつもブレーキがかかるからな。

 そして、能力の限界は発現するまで時間差がある。何故なら体もそれなりに強化自体はされているからだ。

 なら、恐らく身体の限界を超えない範囲ギリギリ、10倍に一気に引き上げる。

 ま、体への負荷を考えれば、最短時間にする必要はあるだろうが。


 そうと決まればやるしかない。体の力を10倍にする。体の底から力が湧き上がるのを感じると共に、凄い重圧を感じとる。

 チャンスは一発。魔力を聖剣に込めると、聖剣の刀身は白く輝く。

 そして俺は、強く踏み込み、狙った場所に刃を叩き込む。


聖天星覇斬(せいてんせいはざん)!」


 次の瞬間には、ルジャの両腕は切り落とされていた。

 …まあ、人の体を斬るってのは、中々嫌な感触だな。


「!?ぐっ!腕がっ!」(見えなかった!いや、だがあの速度なら確実に殺せていた。なのに何故…)


「はぁ、はぁ、ふぅ…」


 何とか息を整え、立ち上がる。


「悪いな、一時的に無力化させてもらう」


 俺がそう言うとリンがルジャを眠らせ、結衣乃が回復魔法で両腕を修復する。

 それを見届けると、俺は氷結魔撃砲でルジャの体を拘束しておく。


「さて、行こうか」


「ああ」


 そしてどうやらルジャがやられたことで勝てる訳ないと察した兵士たちは全員早速沙と逃げていく。

 王の間と思わしき部屋の扉を開け、入っていく。

 すると、そこには初老のおっさんがいた。


「な、何だ、貴様ら!無礼者が!ルジャ、来い!何をしてるんだ!」


「…ルジャは来ねえよ。あいつは俺に負けて、今はおねんねしてる」


「はぁ?そんなバカな!」


「ま、信じる信じないは勝手だけどさ、私達は貴方に話があるのよ」


 結衣乃がそう言うと、王も諦めたのか溜息を吐いて話を聞き出す。


「貴方の政治はね、批判を集めているの。…言いたい事は分かるよね?」


「い、今更止めろと言われても困る。儂は…」


「王、我々は負けたのです。…ここは潔く、彼らの言う通りにしましょう」


「ルジャ!」


 そんなことを言いながら、ルジャが入ってくる。


「!マジかよ、あの拘束を、この短時間で…!?」


「私は元々眠りが浅い体質でな。氷は他の兵士達に砕いてもらった」


「そ、そんなことよりルジャ、目を覚ましたのならコイツらを追い払え!」


「無理です。…正直、彼らには勝てません。

私は、彼の厚意のお陰で生かしてもらってるのです」


 ルジャの態度から事実と悟ったのか、王はどんどん勢いを落としていくが、それでもまだ煮え切らない態度でこちらの要求を拒もうとする。


「だがルジャ、儂等は…」


「もう良いのです、王。私は貴方を死なせるわけにはいかない。貴方には、恩があるから。

…もし、貴方がそれでも命を捨ててまで挑むと言うのなら、お供しますが、勝ち目はないでしょう」


「…分かった。もう分かった。分かってはいる。だがな、この国は今、非常に苦しい局面にある。

だから、税金も重くしなければならない。それに反対する国民を、私達は取り締まってきたのだ。

引き返して許してもらおうなどととはいかない」


「…ならば、また一からやり直しましょう。

…国民に、命を捧げるくらいの気持ちで」


 …どうやら決まったみたいだな。俺達は静かにその場を後にした。

 外にいた国民達に説明する。


「あー、王様は反省してるみたいだし、もう一回やり直してみてくれ、国の事を思っての行動みたいだしな」


「そうね、今度は、皆で」


 そう言うと俺達は出現した帰還用魔法陣で帰る。

 成る程、こんなクエストのクリア方法もあるんだな。

 そして、意識を失った。


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