EP28.限界
あれから4日間、俺はひたすら新技の特訓をしていた。
だが、どうしても失敗続きのまま、ついに最終日を迎えてしまった。
「うーん、上手くいかねえな…何でだろ」
「力を上げ過ぎて体が対応出来てないんじゃない?私にはそう見えるけど」
「いやまあ、それは分かってんだけど、どれくらい上げればいいかが分からないんだよな」
普段の状態からどこまで能力を引き出せば上手く動けるのか、そこの基準もよく分からないんだよな。
すると、リンがアドバイスをしてくれる。
「うーん、そもそもツルは多分、剣に与える命令がザックリしてるんじゃないか?」
「…つまり、どう言うことだ?」
「例えば、能力を上げろ、だとどれくらい上げればいいか分からないからツル自身の状態は無視して上げる。でも2倍にしてくれ、なら具体的に上げ幅を調整できるだろう?」
「成る程な。試してみるか」
そうと決まれば取り敢えずやってみよう。
その後2時間程練習をしてみた結果、確かにざっくり命令を出していた時よりも調整しやすくなった。
すると、涼海が声を掛けてくる。
「群星君、ちょっと良い?」
「ん?何だ」
「クエストが来たの」
「お、そうか。丁度良い、次は俺に任せてくれないか?」
俺がそう言うと涼海は結衣乃の方を見る。
「いいんじゃない?剣義も強くなってるし」
「まあ、結衣乃がそう言うなら。いざとなったら私達も居るし」
「アタシも居るぞー。……というかタカは来ないんだな」
「ま、俺は怖いからな」
「んじゃ、行ってくるわ。そーいやリンにとっては初のクエストか」
涼海が鍵を取り出して扉を開き、異世界へと飛ぶ。
────
この世界、というかこの国では小さいながらも王が大きな権力を持っており、日々苦しい生活を強いられている、らしい。
反乱しようにも王の護衛のルジャという男は滅法強いらしく、これまでに何度もレジスタンスは壊滅目前にまで追い込まれているのだとか。
「まあ、話を聞く感じそのルジャってのも人である以上、訳分からん力は無さそうだな」
「そうだね、比較的弱そうだから剣義に任せても大丈夫そう」
「…ただ、王に無理矢理従わせられているかもしれない他の兵隊達は戦闘不能程度に抑えた方が良いかも」
「だな。…王様もかかってくる相手を取り押さえて逮捕してるぐらいで済ませてるみたいだから殺すこたぁねえと思うし」
ま、反省させて考えを改めさせるのが一番か。
そして王の居城に到着する。
「何者だ!」「不審者発け…」
近くにいた門番達を、俺は足元を凍らせ、結衣乃は弱めな電流で気絶させ、涼海は軽く手刀を打ち込み、リンは魔術で眠らせることでそれぞれ動けなくする。
「よし、こんなもんか」
「先へ行こっか」
そして道中兵士達を無力化しつつ、先へ進むと、突然巨大な斧が振り下ろされる。
「!?あぶねっ!」
「…!」
「お前、ルジャだな?」
目の前には、筋骨隆々の男が。一眼で分かる。こいつがルジャだ。
右手には巨大な斧、左手には巨大なメイス。
……殺意高過ぎだろ。殺しはしないんじゃねえのか?
「んじゃあ、俺が行くわ。…おりゃあっ!」
街中で買った革の帯のような物に差しておいた聖剣を抜き、切りかかる。
しかし、斧で受け止められ、吹き飛ばされてしまう。
…禁断の果実と聖剣の補正がかかってる俺の力を上回ってくるとはな。やっぱりやるしかねえ。
「王に逆らう者達よ、ここで倒れてもらう」
「できるかな?」
「…!」(こいつ、さっきよりも力が強くなっている、どういうことだ?)
よし、上手くいった。俺の能力を1.5倍に引き上げ、攻撃を仕掛けたが、いけるな。
これなら通用する。なら次は…2倍だ。
「はっ!」
「ぐっ!」(何だ?また力が高まった)
きついな。2倍にして既に限界か?
…いや、まだコントロールできてない訳じゃない。やれるだけやろう、3倍だ!
「うおおっ!おりゃあ!」
「くっ!」
斧とメイスを用いての攻撃に苦戦しつつも反撃しようとするが、力が入らなくなる。
(まずい!動けなくなった!限界を、超えたのか!?)




