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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第二章:騒動の夏
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EP26.伝説の聖剣


 さて、リンがやってきてあっという間に一週間が経ち、大分生活にも馴染んできたようだ。


 で、今俺たちは山にいる。どうしてこんなことになってるのかというと、話は2日前に遡る。


──2日前


「なぁ、群星。山行くぞ」


「は?」


 何故か家にやってきて開口一番にこの言葉に、さしもの俺も困惑した。

 その発言の主は速野貴斗、俺の親友を自称している奴だ。


「いやよ、実は明後日山にある爺ちゃん家に行くんだよ。

で、肝心の爺ちゃん達はもう死んじまってっから家の管理しなきゃならないってのに親父もお袋も仕事で行けなくなっちまった訳よ」


「つまり?」


 嫌な予感がしつつも、続きを促すと、速野は手を合わせて頼み込む。


「流石に人手が足りないからよ、頼む!一週間だ!」


「成る程なぁ。で、俺の側にメリットは?」


「うーん、あ、そうだ。群星お前凄い剣を手に入れたんだろ?」


「まあ、そうだが…」


「そしたらよ?折角新しい力を手に入れたんだ、特訓、したくないか?」


「それはまあ、そうだな」


「なら良いじゃねーか!頼むよ!なんなら月見さんとか呼んでも良いし!」


 ここまで頼み込まれると断れねえや。…俺ってまさかお人好しなのか?

 まあ、そんな訳でその2日後、つまり今日俺達は速野の祖父の家にやってきていた。

 驚いたのはこの山そのものが速野家の物で、実は結構な名家らしく祖父がわざわざ買っていたらしい。…それを業者を雇わずに管理するのは家の方針だとか。…金持ちだったんだな、速野って。


「で、リン。この聖剣ってのは、どんな剣なんだ?」


「それはね、かなり特別な剣なの。アタシのいた世界でおよそ1800年前に作られたとされていて、最初はとある一点を除けば普通の剣だったの」


「とある一点って?」


「その剣は持ち主を選ぶの、選ばれた人なら軽々と振り回せるけど、そうでない者では持ち上げることすら困難よ」


「え?そうなの?速野、ほれ」


 地面に刺した剣を速野が力一杯引っ張るが、びくともしない。


「ふ…、くっ…ぐ……うおーっ!…駄目だな、こりゃ」


 続いて涼海が試してみる。


「はぁぁぁぁっ!…っと!よし、抜けた。

けど重過ぎて振るのは難しいわね」


「凄え、力は俺よりも遥かに高い涼海ですらギリギリ抜ける程度ってことは相当重いんだな」


「そう、それにスズみたいに剣を抜くだけの力がある者がいたとしても、結局は本当の力を引き出すことはできないから、ただの使いづらい剣って訳」


 成る程、それは確かに不思議な剣だな。


「でもね、この剣にはもう一つ、特性があるの」


「特性?」


「そう。その聖剣はね持ち主に合わせて新たな力を体得し、進化を遂げる」


「進化を…遂げる…」


「かつてその剣を手にした者は歴史上三人存在しているけれど、その持ち主に合わせて剣は進化していった」


 …つまり、俺に合わせて進化していくのか、こいつ。


「アタシにかけられた封印術は先代、つまり三人目が発現させたものね。アタシの能力の都合上、そうでもしないとキリがないから」


「ああ、復活できるもんな。…ってか、その封印術って今の俺でも使えんの?」


「勿論。なんなら前にツルの体を借りた時に使ったぞ」


「成る程なぁ。そういやこの剣を手に取ってると力が流れ込んでくるような感覚がするんだよな」


「それも聖剣の力よ。正確には二代目が発現させたものね。初代は剣術の補助。だから今の時点で既に剣を使っての戦闘はある程度熟せる筈よ」


 ま、大体の能力は把握したし、今度は実戦だな。


「じゃ、私の召喚術で敵を呼び出すから倒してってね」


「オーケー、こい!」


「闇より出でよ!死者の(リビングデッド)兵士(・ソルジャー)!」


 すると、黒い魔力がゾンビを形作る。


「よし、はっ!てい!せや!」


 爪による攻撃を剣で防ぎ、斬撃で右腕を斬り裂く。

 そして胴体を寸断すると、ゾンビは消滅する。


「よしっ」


「おー、まるで達人だな」


「成る程。これが…聖剣の力って訳だ」


「群星。目標、決まったか?」


「ああ。こいつの力を扱いこなせるようになる。…それが目標だ」


 こうして、俺の特訓が始まった。


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