EP23.一難去ってまた一難
「…成る程な、事情は分かった。で、その…リンちゃん?をどうすれば良いのか分かりかねてるってとこか」
速野に連絡を取り、俺の家に来てもらい、一通りの事情を説明し終えると、少し考え込むような動作を見せた後、口を開く。
「ま、群星の言う事は聞くってんなら、お前がちゃんと手綱を握っておくしか無いだろうな。問題なのは、リンちゃんの存在をどう扱うか、と言う所だ」
「というと?」
「いや、お前、リンちゃんどこに住ませるんだよ。お前等の家にしたってどう説明するんだ?まさか馬鹿正直に異世界から連れてきたなんて言うわけにいかないだろ」
盲点だった。確かにリンをどう制御するか以前に住む場所の問題が出てくる。
「なんだか難しい話をしているな。というか君は?」
俺達が頭を抱えていると、結衣乃が相手していたリンが出てくる。
「あぁ、俺は速野貴斗。群星の親友だ」
「おい、誰が親友だ。…ってあれ?なんでお前リンの言葉分かるんだ?」
俺達は鍵があるから、異世界の言葉でも分かるが、速野やリンは鍵を持っていないからお互い何言ってるか分からないはず。
俺がそう言うと、結衣乃が否定する。
「いや、鍵を用いて異世界へ行けば、その時点で鍵の影響を受けるの。実際初めてのクエストの時、剣義も鍵が無くたって何言ってるか分かったでしょ?」
「そーいや、確かに。王様の言ってること分かったな」
「でしょ?で、ここからは推測の域を出ないけど、鍵を使って開かれたゲートを通って本来の世界ではない世界へ移動する、という条件を満たしている時に言語を調整するとしたら、この状況も説明がつくわ」
「成る程なぁ」
流石に結衣乃は頭が良い。言葉が通じるのなら、なんとかなりそうだ。俺達がそんな話をしている間に、リンと速野は打ち解けていた。
「タカーこれなんだ?」
「あー、これは漫画だな。本の一種で、絵と字を使って物語を表現してるんだよ」
例によって名前略されてるな。すると、俺達の話が終わったことに気付いた速野が話しかけてくる。
「で、どうするかまとまったか?」
「いや、まだだ。いかんせん問題が多すぎる」
「そりゃあそうか。…リンちゃんが記憶操作とか出来たら話が早いんだがな」
「そんな都合よくいく訳…」
俺が俺が呆れて否定すると、横からリンが話に入る。
「できるぞ?記憶操作」
「ほらね、そう都合よくは…ってえ!?」
「ま、まじか!じゃ、じゃあ特定の記憶を消したり、本来ない記憶を植えつけたりとかできるか?」
速野が食い気味に聞くと、リンはキョトンとした顔で頷く。
「魔術を使えばな。…と、言ってもあまり使わなかったが」
「?結構便利そうだけど」
「ま、なら話は早い。家族…として組み込むのはボロが出そうだし…そうだ!ホームステイすることになった留学生にしよう!」
「名案だな。それならこっちの文化に明るくない事も説明がつく」
俺の案に乗っかる速野。なんとかなりそうで良かった。そうと決まればまずは母さん達の記憶を書き換えなきゃな。…少し罪悪感はあるけど、仕方ない。




