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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第一章:始動の春
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EP13.当たりクジ


 速野のインタビューを受けるようになって数日後、新たなクエストが入った。

 これで八回目だな。さて、何故俺が三回目以降のクエストでも魔法を習得していないか。その理由は単純明快、この四回のクエストで行った世界には魔法が無かったってことだ。

 …そして、今やってきているこの世界には魔法が存在する。…ようやく魔法の存在する世界に巡り会えた。

 マジでこれくじ引きみたいだな。ま、これでようやく当たりクジを引いたって事だな。いやー良かった良かった。


 そんな訳でテンションの上がってる俺は結衣乃に魔法習得の為に特訓をしてもらう事にして、とりあえず町の本屋で入門書を初心者向けから熟練者向けまで買ってみた。

 一応、異世界転移をする事で鍵の影響を受けて別世界の言語も理解できるようになるから読めることには読めるが、どう言う意味かがさっぱり分からん。

 それはさておきついでに髪を一本入れるだけで得意属性が分かるという検査薬があったので購入し、試して見る。

 …赤と水色になった。丁度半々位だけど…。


「…これってどゆこと?」


「んーとね、ふむふむ。炎と氷の二属性への適性が高いみたいね」


「へー、二属性持ちなのか俺。しかも氷炎属性…かっこよくね!?あ、そうだ、お前らの得意属性って何だ?」


「私は…黄色、雷ね」


 涼海の後、結衣乃が検査薬に髪を入れると虹色に輝く。


「何じゃこりゃ!?」


「うーんと、あ!全属性への適性ありだって!やった〜!」


「……んなのありかよ」


 そんなこんなで楽しみつつ早速結衣乃から教わるべく、初心者用の魔導書から使えそうな魔法を結衣乃に見繕ってもらう。


「…えーっと、うん、これかな。初級魔法『コレクトバーン』」


「成る程ね…で、どうすりゃあ良いんだ?」


 その解説項目を見てみるが、やっぱりよく分からん。


「そうねぇ、大事なのはこう、イメージかな。この炎魔法をどういう風に扱い、どう放つか。それをイメージして、力を込めるのよ」


 …何かそれっぽいこと言ってるな。まぁ、試してみよう。コレクトバーン、コレクトバーン。うーん、炎か炎って言ったら…山火事?

 よし、やってみるか!

 俺は手をかざし、山火事のイメージを構築し、唱える。


「コレクトバーン」


 次の瞬間、激しい炎が手から吹き出す。…え?

 結衣乃が慌てて杖をかざし、水魔法で消火する。


「えっ?つ、剣義!?ちょっ!ドロップコンボ・スプラッシュ!」


 火は見る間に消えていく…ビビった〜。


「全くもう、一体どんなイメージでやったのよ」


「山火事」


「何でそんなに物騒なイメージなのよ!せめてライター位にしなよ!」


「ご、ごめん。まぁ、分かった。次はライターのイメージで行くわ…コレクトバーン!」


 ライターのイメージをし、手をかざして再度唱えると、また激しい炎が出てくる。ってかさっきより威力高い気がすんだけど!?

 結衣乃が再び水魔法で打ち消す。…その内消し炭になりそうだな、俺。

 つか、めっちゃ疲れるんだな、魔法って。


「あのさ、ちゃんとライターのイメージした?」


「し、したよ!でもああなったんだって!」


 全くもって訳分からん。


「って事は……あっ!そう言う事か!」


 何かを閃いたらしく、結衣乃はポン、と手を叩くと、説明を始める。


「あのね、剣義は今、イメージどうのこうの以前に出力調整が、出来てないんだよ。

本来ならそれでも使いながら威力を上げていきつつコントロールできるようになるから問題は無いんだけどね。

剣義の場合は禁断の果実の力でなまじ能力が強化されちゃってるから全力で撃つとこうなるって訳、分かった?」


「あー、成る程ね、つまり俺が出来るようになるべきは?」


「手加減」


 やっぱりか…。ってことは手加減出来るようになるまではこんなヤベー炎の危険に怯えなきゃならねーのか?それもなあ…。

 何か上手い方法は無いかと考える…。そうだ!これならいけるかも!


「なぁ、良い事思いついたんだけど!」


「ん?どしたの?」


「いやさ、えーっと…あった!これだよこれ!初心者向け氷魔法・フリージング!」


「…それがどうしたの」


 炎魔法も制御出来ないくせしてこいつは何をしようとしてるんだ。とでも言いたげな目で俺を見てくる結衣乃。


「いやさ、炎がやばい事になったらこれを出して抑えんだよ。…そうすれば二つの魔法を習得できるようにもなるし、一石二鳥だろ?」


「そう上手く行くの?」


 涼海が痛いところを突いてくる。…それを言われると怪しいが…やってみるしかないだろ!

 すると、結衣乃も呆れたようにしながらも協力してくれる。


「ま、やるだけやってみなよ。私がバリア張ったりするし、危ない時は手を出すけど」


「助かる。よし!コレクトバーン!」


 右手から激しい炎が放たれるが、同時に氷山のイメージを構築し、唱える。


「ぐっ…フリージングっ!」


 そして左手を突き出すと、巨大な氷壁が生成されていき炎と混ざり合い、消えていく。

 …これマジで疲れるな。とはいえ、実験は成功か。


「どうだ?結衣乃」


「うーん、まぁ良いんじゃない?そしたら後は出力調整だね」


「だよなぁ。…なんかコツとか無いの?」


 そう尋ねると、結衣乃は少し考える素振りを見せた後、口を開く。


「こう、何かギューっと絞るんだよ。で、グイーって抑えるとイケるよ!あ、後はガッとやっちゃうイメージだね!思いっきり抑えるんだよ!」


「全然分からん!」


 何だよギュッとかガッとか訳分からん。


 …こんなんで本当に大丈夫かなぁ。


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