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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
110/111

EP110.取り戻したもの、変わっていくもの


 メテスとの決戦を終えた俺達は全員ボロボロの疲労困憊な状態ながらも、結衣乃の瞬間移動でいつもの神社へと戻って来る。

 景色が変わり、見慣れた境内になる。すると、視界に見知った人物を捉える。


「…皆…!……結衣乃っ!!」


「お姉ちゃん!!」


「……勝ったんだな」


「おう。ったりめーだろ」


「だな。…お疲れさん」


 どうやら神社で待ってくれていたらしい姉貴と速野がこちらに駆け寄って来る。姉貴と結衣乃は抱き合い、再開を喜ぶ。

 一方速野は状況を察して俺達に労いの言葉をかける。


「…お姉ちゃん……」


「何、結衣乃?」


「……速野君とは、上手くやれてる?」


「…へ?」


「ぶっ!!」


「ななななななんで結衣乃が知ってるの!?!?」


「実はね、無限回廊って色んな世界を観測出来るんだよね。そしたら偶々お姉ちゃんと速野君とが仲睦まじくイチャイチャしてる姿を見付けて…」


「あわわわわ…」


「…まあ、うん。そういうわけなんで、宜しく頼むよ」


「いやー、速野君が私の義兄になるなんてねっ」


「まだ早いから〜!」


 感動的な再会ムードを敢えてぶち壊す結衣乃。けどまあ、これくらい騒がしい方が俺達らしいか。


────


 …あれから数日が経った。結衣乃は無事、家族とも再会を果たした。そして、休学してた学校も、春からは無事に進級出来そうだ。こればっかりは結衣乃が頭が良かったのが大きい。ある程度の単位なら補修テストで賄えるから、その制度に救われた形だった。


 そして、春休みも間もなく終わりだというある日、俺は涼海と結衣乃に呼び出されていた。どうしてこんなことになったのか、話は昨日へ遡る。


──回想


 俺が家でボケっとしていると、涼海と結衣乃の二人が訪ねて来た。


「どうしたよ、急に」


「忘れて貰ったら困るなぁ、剣義。この三人の面子で、こんな真面目な顔して私達が来たなら要件は一つだよ」


「!…お前、もしかしてバレンタインの時見てたのか?」


「それはご想像にお任せしようかな」


「答え言ってるようなもんだろ、それ」


 流石に俺もそこまで鈍くはない。いずれにせよ、そろそろ決着をつけるべき話ではあると思っていた。


「んじゃあ、俺の答えは──」


「ま、待って、剣義君!」


「んだよ、涼海」


「え、えっと、その…今じゃなくて…」


「あのさあ、剣義。こんなムードもへったくれもない部屋で三人に関わる大事な答えを出さないでもらいたいな」


「ムードもへったくれもなくて悪かったな」


「…それでね、明日…いつもの神社に来て欲しいの。そこで、決めよう」


「………分かった」


 …ってなわけで、俺はどうやら、人気の幼馴染二人に告白されるらしい。……なんだか、変な気分だ。緊張もするし、待ち遠しかったような気もするし、兎に角不思議な感覚だった。…それでも、結論に変わりはない。自分の中に確固たる答えを持ちながら、俺は…二人の元へと向かう。思えば、この波乱に満ちた一年弱、その始まりもあの神社だった。いつもの神社に始まり、いつもの神社に終わる。…俺達らしいな、とひとり笑う。

 さて、覚悟は出来てる。後は…俺達の物語の新たな一幕を開けるだけだ。

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