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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
第一章:始動の春
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EP11.説教と答え合わせ


 目が覚めると、出発前と同じ空き教室だった。

 俺が目覚めたことに気付いた涼海と結衣乃が心配そうに駆け寄ってくる。

 …なんだか体が軽いな。


「大丈夫?剣義」


「…ああ。悪い、心配させて」


「本当よ!死んじゃったかと思ったじゃない!…何だったのあの林檎みたいな果物。教えて」


 涼海が怒ったように説明を求める。

 …まぁ仕方ねえか。心配かけちまったからな。


「実は…あれ、禁断の果実っていう果物なんだけど、お前らが出掛けてる時に王様が念の為にと送ってくれたんだ」


「王様が?」


「ああ。あれを食べると体が強化されるらしい…けど耐性がない人が食べれば消滅してしまうってやつだ」


「!なんでそんな無茶したのよ!」


 結衣乃と涼海に詰め寄られ、俺の中の罪悪感が大きくなり、胸が痛む。


「……ごめん。強く、なりたかったんだ。前にも言ったけど、強くなってお前達を守れるように…。

だからこそ、せめて自分を守れるくらい強くなりたいんだ」


 そう俺の思いを伝えると、二人は少し考え込んだ後、涼海が口を開く。


「うん、その気持ちは本当に嬉しい。もし強くなるのに必要なことがあるなら協力だってする。

……だから、もうあんなことはしないで。…私達は群星君を失いたくないから」


「…あぁ、ほんとにごめん。もうあんなことはしない」


 まさか、ここまで心配されるとは…。

 なんだか申し訳なく思う一方で、逆の立場なら俺だってそう思う、なんて当たり前のことにすら気付けなかった自分が情けない。


「ま、反省してるなら良いよ。この話はこれでおしまい!で、話を変えるとさ、なんで私達の方に来なかったんだろうね。黒き霧は」


 結衣乃が話を変えると、涼海は「仕方ないわね」とでも言いたそうに溜め息を吐いた後、「でも確かに何でかしらね」と小さく呟く。


 …そういえば(多分)真相に辿り着いたけど結局言えてなかった事を思い出し手を挙げる。


「あ、その事なんだけど、俺多分真相に辿り着いたわ」


「え!?」


「…本当?」


 二人とも驚いたように俺に目線を向ける。

 俺は少し咳払いをして、解説を始める。


「ん〜実は襲われてた人と黒き霧から同じ匂いがしたんだ」


「「匂い?」」


 俺がそう言うと、二人は声を揃えて首を傾げる。

 俺は少し自慢気に笑うと説明を付け足す。


「あぁ、あの定食屋のビーフシチューみたいなのあったろ。あれに使われてるスパイスの匂いが独特だったからさ、なんとなく覚えてたんだ。

・・・多分あいつはその匂いに反応して襲って居たんだろうな。若い女性だけだったのは、これも推測だが最初に襲ったのが若い女性だったんじゃないか?それによって人肉の味を覚えてしまったんだろうな。

ただ俺達はビーフシチューは食わなかったから奴は来なかった・・・って事だと思う」


 そこまで話すと二人は感心したように頷く。


「成る程ねー。道理で私達のところに来ない訳だよ。……所で剣義さ」


 ん?結衣乃の笑顔がおかしいな?なんというか不自然な気が…。

 そう思っていると、妙に貼り付いたような笑顔で結衣乃が続ける。


「匂いがしたって言ってたけどさ。それってつまり剣義はあの可愛い女の子の匂いを嗅いでたって訳?」


 んん?


「それになんか仲良さそうだったよね〜。何?私達が出掛けてる間に女の子口説いてたの?へ〜」


 あ、あの結衣乃さん。すげー笑顔なのになんか怖いよ?迫力あるよ?


「い、いや違う!そういう意図があった訳じゃない!セルラは王様の使いで俺達に禁断の果実を持って来てくれたんだ」


 慌てて弁解すると、結衣乃は「へー、セルラっていうんだー。名前も知ってるんだー。可愛い名前だねー」と冷たい笑顔を浮かべながら俺にチクチクと言い続けていたが、昼休みが終わる頃には機嫌が直っていた。

 …良かった良かった。………いや本当マジで。

 三人で教室に戻る途中、俺と涼海は同じクラスだが結衣乃は別クラスなので別れようとすると、結衣乃がボソッと耳打ちしてくる。


「あのさ、一応私剣義の事好きだからさ、嫉妬しちゃうな〜。…なんてね!じゃ、また後でね!」


「!!?お、おう!また後でな」


「また後で。…どうしたの?群星君顔赤いよ?」


「い、いや、何でも…」


 …アレはずるいだろ!そんな俺の心の叫びを抑えつつ、教室に戻る。

 ……全く、不覚にもドキッとしちまったよ。


 そんなこんなを経て俺は一応強化された訳だ。…それが活かされるのはまた後の話となるがな。


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