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無限回廊と幼馴染  作者: 名梨野公星
最終章:終幕の春
109/111

EP109.メテスの結末


「時の…力が……消えた…!」


「これで…反撃しやすくなったな!!氷結魔撃砲!」


「くっ…!」


戦姫の(スラッシュド)一太刀(バルキリー)!」


「うっ!」


 メテスの時間停止は失敗し、その隙を突いて剣義は氷塊をぶつけることで視界を塞ぎ、涼海は素早く肉薄して斬撃を叩き込み、盾を吹き飛ばす。


「…なんで、ここまでの力が……君達にばかり…!」


「一人でなんでも出来るから、一人で良い、なんて考えてるからだろ」


「…!」


「一人でなんでも出来る奴なんて存在しない。そう思ってんなら、それはただ…出来てる()()()になってるだけだ。誰しも皆、出来ないことがあって当たり前なんだよ。

出来ないことがあるから、支え合うんだろ。自分じゃ出来ないことを、信じ合える仲間に託すんだよ。一人でなんでも出来る気になってるだけのお前よりも、俺達の方が強いのは──当たり前だ」


「…ふざけるなよ。僕には、そんな存在いなかった!君達の運が良いだけだろ!群星剣義!君は、偶々幼馴染が二人いたから、僕のようにならなかっただけだ!」


「かもしれねえな。…けど、俺には幼馴染じゃない仲間だっている。リンの存在は、辛くても挫けない強さをくれた。…流の存在は、同じ目標を分かち合える頼もしさをくれた。それだけじゃない。お前の知らない俺達の仲間がいる」


 剣義は力強く言い放ち、ここにはいない二人のことを思い浮かべる。あの二人の支えもまた、剣義達には必要だった。


「…結局、君は運が良かっただけだ。恵まれてるから、そう言えてるだけだ」


「かもな。…けど、お前にもいたはずだぞ。支えてくれるはずの味方が」


「…は?」


「お前の親だ」


「何を言うかと思えば…」


「……俺達は少し前にお前の両親と会った。お前のことを、心から大切にしていたよ。…これ以上罪を重ねさせないために、俺達に止めることを頼むくらい」


「……もう、遅いんだよ。全部、全部!!手遅れなんだよ!…もう戻れない。引き返せない!だから…せめて…メイだけでも…!」


「…お前は俺、確かにそうかもな。また違った道があれば、俺はお前のようになってたかもしれねえ。けど、だからこそ…ここで倒す。そんで止める」


「黙れっ!エクスプロージョン・ルイン!」


 剣義の言葉に返す言葉が見つからなくなってしまったメテスは激昂し、爆裂魔法を放つが、その間にリンが割って入る。


「…いくよ。魂焔(ソウルブレ)鎮魂歌(イズ・レクイエム)!!」


「くうっ…!!」


 凄まじい生命力を乗せた蒼炎の斬撃がメテスの放った爆発を飲み込み、斬り伏せる。


「チャージコンプリート。…チャージング・スターキャノンッ!!!」


「くっ…こんなの…うああっ!!」


 蒼炎を浴びたことによる僅かな隙に、シュウトの破壊砲が撃ち放たれ、メテスを撃ち抜く。


「全力で止めるよ。…ドロップオール・インパクト!」


「っつああっ!!…この程度…再生が…阻害されただと…!?」


 火、水、風、土、雷、氷…光。全ての属性の魔力を集めた虹色のエネルギー球がメテスを吹き飛ばし、その身に宿る再生能力に干渉する。


「決めて!ツル!スズ!」


「いけぇ!!群星!月見!」


「任せたよ!…剣義!!すずちゃん!!」


「…決めるぞ。涼海」


「うん。任せて。剣義君」


 三人の連続攻撃によって生まれた最大の隙。それを逃さない剣義と涼海は並び立つと、剣義は純白の翼を生やし、涼海は黄金のオーラに稲妻を纏わせる。


「聖天星覇斬!!!!!」


輝閃乱(ブレイクスパ)撃舞(ークラッシュ)!!!!!」


「ぐ…僕は…負けるわけには……ッ!うあああああああっ!!!」


 剣義と涼海は同時に地を蹴り、高速でメテスへと突撃する。極限まで力を高め、速度を増したその一撃は、白の光と金の光がメテス目掛けて放たれたかのようだった。

 二人の放った全力攻撃に対し、メテスは引き寄せた盾で防ごうとするが次第に押されていき、盾は砕け散ってしまう。そして白と金の光はメテスの身体を飲み込む。


「はあ…はあ…」


「っはぁ。……俺達の…勝ちだ」


「…そっか。……じゃあ、もう、良いかな……。ごめんな。メイ。…父さん、母さん…」


 俺と涼海はメテスの背後に着地し、メテスを見遣る。攻撃を受けたメテスは完全に力尽き、光の粒となって消えていく。その様は、俺には心なしか晴々としていたように映っていた。もしかすると、メテスは引き際を見誤ってしまい、ずっと苦しんでいたのかもしれない。なんてのは俺の都合の良い妄想かもしれないけど、そう願いたかった。別にあの世を信じてるわけじゃないけれど、本当にあるのなら、会えていると良いなと、そう想った。


「…終わった、のかな?」


「多分な」


「無限回廊も閉じ始めてるな」


「それも大事だけど、ユイが帰って来たし、一件落着でしょ!」


 戦いが終わったことを遅れて実感し、俺達は消えていく無限回廊を見上げつつ、そんな会話を交わす。その中でのリンの言葉に俺と涼海は顔を見合わせて頷くと、結衣乃に向かって掛けるべき言葉を掛ける。


「…だな」


「そうね」


「「お帰り、結衣乃」」


「……うん。ただいまっ」

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