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はい?

 マリアから神託の内容を聞かされた途端、アイザックとグラノフ殿下は朝食をとらずに食堂を出た。

 俺、オリヴィアさん、マリアも付いていこうかと思ったがアイザックによって「そこに居てくれ」と止められてしまった。


「それにしても、竜か...」

「ユウジさん、竜は分かりますか?」


 アイザックが座っていた席に入れ替わるように腰掛けたマリアが尋ねた。


「翼の生えたでかいトカゲって認識であってるか?」

「ふふふ、あっていますよ。やっぱり竜と聞くと、異世界の方はそう言うんですね」

「まあ、そんな風に言うだろうなあ。それにしても、なんで竜が出てきたんだろうな?」

「浅からぬ因縁があったからかもしれませんよ?」


 いつの間に来たのか、マリアとは反対側に俺の直ぐ近くに椅子を寄せてきたオリヴィアさんが俺の疑問に答えた。


「因縁?」

「あっ!そういえば当時の竜王が邪神から仲間を守る為に犠牲になったという話を聞いたことがあります!」


 これまた俺の直ぐに椅子を寄せたマリアが会話に加わった。若干距離がオリヴィアさんよりも近い。


「はい。恐らくその因縁にケリを付ける為に出てきたのだと思います」


 会話に加わったマリアをちらと見て、椅子同士が触れる距離まで移動したオリヴィアさんが答えた。


「邪神の欠片を回収するような奴らだしな。邪神関係の生き残りかもしれないと竜達は判断してやったのかもな」


 俺を襲った奴らを嗅ぎつけた竜達が滅ぼした。敵にしては思っていたよりも呆気なく終わってしまったことにどこか釈然としないものがあるが、考えるのはやめることにする。神託で欠片を回収しろと女神からお達しがあったのだから、もう終わったのだ。


「ところで二人とも、俺を挟んで意味ありげに見つめ合ってるけど、なんかあったのか?」


 喧嘩をふっかけるような睨み合いではないものの、意味ありげに見つめ合う美女と美少女の間に野郎が居るのは居心地が悪い。


「邪魔なら離れるけど...」

「「このままで大丈夫です」」

「あっはい」


 二人に肩を掴まれて押さえつけられた。


「ところでアマノ様、今日はどうされるのですか?」


 殆ど俺に寄りかかるようにしながら、オリヴィアさんが尋ねてきた。それと同時に、どこか懐かしく感じる香りが彼女から漂う。


「アイザック達次第かなあ」


 なるべくオリヴィアさんを意識しないようにしながら、質問に答える。


「恐らく城下に出ることは許可されると思いますよ?」

「まあ奴らが生きていたとしても、俺を狙うどころじゃないだろうからな。外には出られるか」

「外出するのであれば私が案内します!」


 ぐいと俺の袖を引きながらマリアが名乗り出た。


「案内出来るのか?」

「大丈夫です。サティナお姉さまも誘いますから」


 笑みを浮かべながら、マリアが言った。

 自分で案内出来ないからとサティナを誘うのはどうかと思うが、言わない方が良いだろう。


「オリヴィアさん、マリア達がいてもいいか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「じゃあ、許可が出たら行くか。ジャックさんもいるだろうし、アイザックも誘えば男一人にはならずにすむな」

「残念ですがユウジ殿、私はしばらく調査の方へ向かうことになるかと」


 安心していたのも束の間、後ろで待機していた老紳士に衝撃的な事実を告げられた。


「え?」

「残党のことも考えると、私は実力的に向かうことになります。それに、アイザック様ですが」

「え、嘘だろ?」

「恐らく来ないでしょうな。マリア様はまだしも、他の方と噂になれば妃のサラ様にご負担を掛けるでしょうから」

「あー」


 主観だが、妊娠中に夫が身内以外の女と出かけるのは面白くないだろう。


「アイザックを誘うのはやめだな。そして男一人になるから今日出かけるのはやめるか」

「「はい?」」

「うそです。行きます。行かせてください」


 豚野郎に殺されかけた時よりも怖かった。

 もちろん口を滑らせた俺が悪いのは分かっているが、女性ばかりのところに男が居ても邪魔なだけだと思ってしまうのは間違っているのだろうか。


「マリア、どこに行きましょうか?」

「私はどこでも大丈夫です。オリヴィアお姉さまこそ、どこか行きたいところとかはないんですか?」

「そうですね。強いて上げるとすれば、服屋でしょうか?」

「では折角ですし、ユウジさんに選んで貰うのもいいかもしれませんね」

「それはいい考えです。そうしましょう」


 考え事をしている間に二人の会話はとんとん拍子に進んでいき、いつの間にか俺が服を選ぶことになっていた。

 恐らく女性ものだから、生地から選んで作ることになるだろう。俺にセンスがあれば良いが、果たしてどうなのだろうか。

 美女達との外出というのは心躍るものの筈なのに、俺は気が重い。普段からある程度取り繕って生活している為に、ボロが出た時にどんな反応されるだろうか。俺はそんな不安で一杯になった。


「先ずはサティナに連絡しないといけないですね。リア、連絡を」


 オリヴィアさんの指示にリアさんは了承すると、食堂を出ていった。


「オリヴィアさんもサティナとは仲が良いんだな」

「はい。この世界では殆どの王族と高位貴族は顔見知りになりますから、フリーシアでは特にサラとサティナと親しいですね」

「へえ」

「あっ料理が来ました」


 マリアの声に釣られて視線を向ければ、給仕の人達が料理を運んで来ていた。

 その後、俺達は会話を楽しみながら朝食を食べた。

 少し厚めに切られたフォレストボアのハムは絶品で、3人共おかわりをした程だ。

 







 朝食を終え、俺達は食後のコーヒーを飲みながらアイザック達を待った。

 2回目のコーヒーのおかわりが来たとき、ようやくアイザック達は帰って来た。


「どうだった?」


 俺の両隣は既に占領されていた為、俺の正面に座ったアイザックに尋ねた。


「ジャックからある程度聞いていると思うが、ジャックは調査に向かうことになった。他にも各国から実力者を集めたのち、向かうことになる。フリーシアからは叔父上が向かうことになった」

「へえ。歩いて向かうのか?」

「いいや。天使の力を借りて、一気に向かう」

「天使...」


 翼を生やし、頭に輪っかをつけた金髪美女の姿が俺の頭に浮かぶ。


「ところでアイザック兄様。今日はユウジさんと一緒に城下へ行きたいのですが、大丈夫ですか?」

「ああ、リーファ内であれば構わない。行ってくるといい。私も久々に妻に会いに行くか...」

「それでしたら、サラ姉さまに花を贈ってはどうですか?」

「そうだな。ありがとう、そうさせてもらうよ」


 従兄妹同士での会話を眺めながらコーヒーを啜る。段々と俺の好みの味に近づいてるのは嬉しい。


「次はカプチーノでも飲んでみたいな」


 王族の従兄妹達に皇女も加わり、どんな花を贈るかを話し合うのを聞きながら俺はそんなことを呟いた。

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