プロローグ
よろしくお願いします。
小さい頃から友人や運動もそこそこは出き、勉強は嫌いながらも、それなりに頑張れば平均点以上は取れた。
辛い、しんどいと思いながらも真剣に頑張ったと思い出せることは殆どない。精々高校受験で自分の行きたいところへ行くために勉強したことくらいだろうか。
中学生活を終えて高校に上がり、俺は最初の中間試験で中々良い点が取れ、高校の勉強はこんなもんかと勘違いして、高校に上がってからは勉強というものを殆どしなくなった。
そこから追随するように俺は努力すること、頑張ることをやめてしまった。
そんな俺でもやる気は殆どないものの部活は所属して、勉強以外のやって当然のことをしながら高校の三年間を過ごした。試験期間中に何をやっていたかといえば、プレイ中のゲームを攻略するための勉強ばかりだった。
怠けたその習慣は高三になっても変わらず、周りと同じように部活を引退しても高三最後の行事が終わろうとも勉強はしなかった。
周囲と追随するように大学進学を決めたものの、勉強していない俺が入学したのはあまり良い大学ではなかった。
大学生活は共通の趣味を持つ友人達と吊るんで楽しかった。
一応意識はあったのか、大学では講義はそれなりに受けていたし、課題もそれなりに真面目にやった。
無事に卒業論文を書くだけで卒業出来る単位数で四年に上がった。
しかし、就活を一切やらなかった。バイトを通して働くことの楽しさ、自分で働いてお金を得るという行為の素晴らしさは知っていたが、俺は就活をしなかった。
そんな中、社会に出ることへ恐怖を感じたのか、就活を頑張ることが嫌だったのか、はたまた逃げる為だったのか俺は大学院へ進むことを決めた。
大学院試験を受ける際に必要な英語能力テストは試験日まで日があるから、忙しくもないのに卒論で忙しいから言い訳して勉強しなかった。実際は好きなゲームの新作をやりたかったからだが……。
試験日前日になってようやく勉強したものの脳が勉強するのを拒否し、そうそうに勉強を投げ出した。後日送られた封筒に書かれていた点数は酷いものだった。
そんな俺でも教授に色々聞きながら卒論提出が期限日の制限時間一時間前になりながらもなんとかやり遂げた。この時は珍しく俺は頑張ったと思う。
そして、事前に受けなければならない英語能力テストも勉強せずに受け、期限日まで卒業論文に追われる人間が大学院試験のための勉強できる訳もなく、俺は大学院試験に落ちた。
当然だろう。俺が試験官でも絶対に落とす筈だ。
大学院試験の結果に打ちひしがれながら、就活しなければと五分程思い、明日考えようと思考を放棄した。
大学を卒業してからも就活をしようとせず、するのは続けていたバイトとゲーム、そして就活関連から目を背けることだった。
4月1日午前0時丁度に友人たちにトークアプリで〚無職だああああああああああああああああ〛と送れば返信は草ばかり生えていた。
4月に入って少しした後、既卒向けのサイトに登録した。
そしてある日、俺は何を思ったか企業の説明会を受けることにした。
しかし、説明会の日が近づくにつれて説明会の後に軽い面接があるのが面倒くさく、後悔ばかり出てきてしまった。
父からは当分の間フラフラしていてもいいぞと言われたのにも関わらず、なぜ俺はそんなオアシスを手放し説明会に行くことにしたのかと後悔した。
先に送った書類選考に通った者が行ける説明会からか、行くのを辞退するには採用担当に電話しなくてはならない。バックレるのは僅かに残った良心が拒否反応を起こした。
後悔し、面倒くさいと思いながらも説明会の前日になった。
明日への活力になるような物を買おうと俺はスーパーに向かった。
未だに一部は手動のままのスーパーのドアをおばあちゃんの為に開けながら、そういえばこういった小さな他人への親切は続けていたとふと思った。駅で切符を拾えば駅員に渡したり、ベビーカーを運ぶのを手伝ったりといった小さなことを。
ふらふらと買い物カゴを手にスーパー内を彷徨き、俺は新発売のお菓子や炭酸ジュースを放り込んでいった。
レジで会計を済ませ、持って来たエコバックに商品を入れ終わり、「自分のお菓子は持つの!」「ならお願いね?」という微笑ましい親子の様子を横目に、俺はスーパーを後にした。
スーパーを出て帰り道の途中で信号待ちをしていると、サイレンの音と止まりなさいというスピーカーからの静止の声が聞こえてきた。
追われる車とそれを追うパトカーが見えた。
目の前の歩行者信号が青へ変わってもパトカーに追われる車は全く止まる様子はない、その為渡る人は俺も含め誰もいなかった。
「信号青だよ!」
ふとそんな声と共に小さな何かが横を通り過ぎた。スーパーで見た子供だ。
その子は袋を持ち、中に入っている物で頭がいっぱいなのか状況に気づいていない。
「戻ってきなさい!」
サイレンが鳴っているのは聞こえていただろうが、信号が青にも関わらず誰も渡らないという事態に異変を感じたんだろう、後ろから母親と思しき人物の声とパタパタという足音が聞こえた。
追われる車は全く止まる様子はない。
あの子は未だ袋の中のことで頭がいっぱいなのか状況に気がついていない。
ふと俺の体が動いた。
ちらと見れば未だ追われる車は全く止まる様子はなかった。
その子の元へ近づいた時には車はすぐそこで、むしろスピードを上げているような気さえした。更には車は逸れる様子も無かった。ヤケになったのかひき殺すつもりなのだろうか。
その子の元へと着いた時、俺は勢いそのままにその子を突き飛ばした。
突き飛ばした瞬間。抱き込みながら飛び込めば良かったと後悔し―――――――――。




