七話
遅くなりました、申し訳ありません!
「おい兄ちゃん、ちょっとその女置いてけや、俺達が一晩たっぷり可愛がってやるからよ!」
4人組の冒険者が俺達の進行を阻んだ。
ここまではテンプレ通りだな、てかアルテミスに手を出すってのか?許さねぇぞ?
「はぁ?これは俺の女だ、手を出すんじゃねぇ」
「はっ!ボンボンが粋ってんじゃねえよっ!」
4人の中の1番ガタイのいい奴が殴りかかってきた。
『キャッ!』『うおっ!』
何人かの冒険者が悲鳴をあげた。
馬鹿かお前、先に手を出すとかこっちが正当防衛出来るじゃん。
俺はその拳を難なく受け止める。
「な、なんだと!?」
「どうした?ほら殴ってみろよ」
「は、離せ!」
冒険者は俺の手から引き離そうとするが俺の手はびくともしない。
「ほら、離してやるよ」
俺は掴んでいた右手を離した。
「クソがっ!」
冒険者は再度殴りかかってくる、学習しないなこいつ。
俺は屈み、冒険者の足首を蹴り、バランスを崩す。
そしてバランスを崩した冒険者を他の3人の冒険者に軽く殴り、突っ込ませた。
軽く殴っただけだったが3人の冒険者を倒す威力はあったらしく、冒険者達は倒れてしまった。
「がぁっ!?」
「こいつらから暴力降ってきたので正当防衛ですよね?こいつらの処理ってどうすればいいんでしょうかギルド職員さん?」
先程対応してくれた受付嬢さんにそう言った。
「は、はいギルド内での争いはギルドでは関与しませんが、今回のケースになるとあの4人はランク降格でしょうね。貴方は放置で大丈夫です」
「ありがとう、周りにいる奴らもすまんな、だが同じ事をしたらお前らもただじゃ済まさないからな、覚えとけよ。よし、行くぞアルテミス」
そう言ってアルテミスを抱き寄せ、ギルドを出ようとする、が。
『良くやってくれた!あいつら素行悪くて迷惑だったんだよ』『アルテミスさん、今度お茶しに行きませんか?いい店を知ってるんですよ』『冒険者じゃ無いのにあの強さって、ヤバイな』『うぅ、どうしてそんなに綺麗なのかしら···』
冒険者達に囲まれてしまった。
周りでガヤガヤ言っているが、俺は聖徳太子では無いので殆ど内容は分からなかったが、アルテミスをナンパしている奴には殺意湧いた。
「アルテミスすまん!」
「へ?何をするのじゃ!?」
俺はアルテミスをお姫様抱っこし、冒険者達の壁を飛び越えた。
ギルドの天井は高かったため、問題なく飛び越えることが出来た。
そのまま逃げるようにギルドを後にした。
·········
······
···
路地を通り見つからないように遠くまで移動した後で俺はアルテミスを下ろした。
「ごめんな、びっくりしただろ?」
「うむ、びっくりしたがイルに抱かれるのは悪くなかったぞ」
「そりゃどうも」
路地から元の通りに戻った俺達はいくつかの店で日用品を買っていった。
「よし、アルテミスは何か欲しいものはあるか?」
「ほ、欲しいもの?···なら指輪が欲しいのじゃ、2人でお揃いの······だめかの···?」
ゆ、指輪だと!?そ、それはプロポーズするみたいで恥ずかしすぎるんですがそれは。
「あ、アルテミスそれは···」
「ダメかの···」
ガフッ!アルテミスがウルウルした目でこちらを見てくる!
周りの視線もさっきよりも痛くなってきたぞ···?
「嫌なわけないじゃないか!ただ指輪を渡すなんてプ、プロポーズみたいで恥ずかしくなっただけだ!」
「···!?(ぷろぽーじゅう!?のじゃじゃじゃぁ!?)」
「と、とりあえず宝石店に行くか、お揃いの買うぞ?」
「うみゅ!」
締まらないなぁ···と感じたイルだった。
·········
······
···
「いらっしゃいませ~!カエサルジュエリーショップへようこそ!」
「指輪を買いに来たんだが、相場を教えてくれないか?」
「はい、お安い物ですと5,000F、お高いものですと100,000Fまで取り揃えております」
「ペアのゆ···」
イルは店の端にある二つの指輪を見つけた。
二つの指輪には同じダイヤモンドのような指輪がつけられていた。
イルはその指輪を『鑑定』した。
愛魔法のペアリング
マジックストーンで作られたペアリング。
魔力を持つ2人が装備する事により、2人の持つ魔力の大きさにより宝石はより輝く。
2人の指輪のサイズに自動で合わさる。
魔力500以上で最大になる。
これだ、アルテミスも女神だし魔力は持っているだろう。
俺も魔力は500超えてるしピッタリじゃないか。
「あのペアリングは幾らだ?」
「あちらは···魔法のペアリングですね1ペアで10000Fになります」
「安すぎじゃないか?」
「こちらの商品はお二人の魔法の素養がない限り扱えないものなのです。魔法の素養は持っている人はほとんどいません。そのような理由でお安くなっております」
値段も安いしこれにするか。
「アルテミスこれでいいか?この指輪なら安くていい指輪になりそうだし」
「そうじゃな、この指輪がどのように輝くか楽しみじゃ」
「じゃあそれを買うことにする」
「ありがとうございます」
俺は定員にお金を渡し、指輪を受け取った。
俺達は店を後にし今日泊まる一番高い宿に向かうことにする。
アルテミスの案内の元、一番高い宿へと着いた。
その宿は他の建物より大きく立派だった。
宿の名前は『月の海』だ。
繁盛しているのか中には高そうな装備をつけた冒険者達がいた。
俺達は部屋を取るため、受付に向かった。
「『月の海』へようこそ。宿泊ですか?」
「はい、二人部屋でお願いします」
「お主当然の様に二人部屋じゃな」
「嫌か?」
「い、嫌なわけ無かろう!」
その時の周りの気持ちは『ここでイチャコラするなよ···』の一つだった。
·········
······
···
二人部屋に付いた。
イルはベットに腰掛け、アルテミスはその隣に座り、体重を預けてきた。
ホントアルテミス最近積極的になって来たよな。
まぁ嬉しいから良いんだけど。
「恋人に甘えるのは当然じゃ···」
「そうだな、じゃあ俺もこれから目茶苦茶甘えるから覚悟しとけ」
「むっ、分かったのじゃ」
そのままいつもの様に雑談する。
途中で大事な物を渡すのを思い出したイルは異空庫からそれを取り出した。
「アルテミス、遅くなったけどこれを受け取ってくれるか?」
「···イル」
箱を開け、アルテミスの前で開ける。
「もちろんじゃ···嵌めてくれるかの?」
「当たり前だ俺にも嵌めてくれるか?」
「うむ、では同時に、嵌めるかの?」
「あぁそうだな」
二つの指輪をお互いの薬指に近づけていくほど鼓動が加速する。
アルテミスも緊張しているのか手が震えている。
薬指に触れたときに指輪は互いの指の大きさに変化した。
そしてゆっくりと嵌めていく。
しっかりと嵌め切ったところでお互いは目が合った。
「ものすごく恥ずかしいのじゃ···」
「俺もだ」
すると指輪が輝き始めた。
指輪の宝石は色を変え、虹色に光輝いていた。
さらに宝石も一回り大きくなっていた。
神愛魔法のペアリング
神の力が混ざったペアリング。
創造神フラカンの祝福を受けているため、汚れることはなく、壊れることはない。
追記:おめでとう!応援してるわね!
「創造神様・・・」
「創造神様も粋な計らいするなぁ」
二人はそうして笑い合った、これからの二人の未来に期待をよせながら。
こいつらいつでもどこでもイチャイチャしてるな・・・・・爆発しろ。