三話
俺はいつも通り飯の調達に来ていた。
勿論、スキルを使って狩りをしているイルだが、このスキルには大きな欠点があった。
イルが持っているスキル《弓矢創造》だが、このスキルは文字通り弓矢を作るスキルだ。
このスキル自体は使える。
例えば倒した獲物を弓矢化したら重量も一定になり、持ち運びに便利なのだ。
その後《分解》を使い元に戻せば運搬は簡単に済む。
それはそれで便利なのだが、俺に大きく足りないものがある。
それは弓本体が無いということだ。
これは致命的なんじゃないだろうかと初日にアルテミスに直接問いただした時。
·········
······
···
「アルテミスって弓の女神だよな?」
「うん?そうじゃな」
「アルテミスがくれたスキルに弓矢を作れるスキルはあるよな?」
「うむ」
「じゃあそれを射るための弓はどこだ?」
「············」
あ、顔逸らしたぞコイツ。
あれ~?女神様?
「説明を求めます」
「いや、あの···」
「忘れてたとか言わないよね?」
「···すいません許して下さい!何でもしますから!」
「ん?今何でもするって言ったよね?」
「じゃあ飯を作ってくれないか?」
「飯?」
「···もしかして料理は苦手か?」
「い、いや?作れるぞ」
「良かった、なら頼むわ」
こうしてイルは着実に好感度を稼いで行った。
·········
······
···
「おっ、いたいた《鑑定》」
[ベルセルクボア]
sex male
Lv.53
体力:237
力:237
防御力:237
敏捷:237
運:20
魔力:0
【スキル】
《突進(Lv.5)》《雑食(Lv.5)》《繁殖(Lv.2)》
ベルセルクの森に生息するモンスター。
凶暴で基本なんでも食べる。
肉は柔らかく高級品として扱われる。
推定:Aランクモンスター。
「弓矢創造」
右手で前に狩ったベルセルクボアの牙を弓矢にした。
「狙う者」
そのまま右手で弓矢をベルセルクボアに向けて投げる。
ヒュッ
ドスッ
────ガァァァァァァッ!!
バスッ
ベルセルクボアの脳天に弓矢が突き刺さり、ベルセルクボアは地に倒れた。
「お、一撃か、初めてだな」
ピコーン♪【レベルアップ! Lv.49→50】
ピコーン♪【レベルが50になったのでスキルを一つ獲得します】
ピコーン♪【スキル 愛の力を獲得しました】
ピコーン♪【称号 狩人の達人 を獲得しました】
神薙偉琉 17歳
sex male
Lv.50
体力:800
力:800
防御力:800
敏捷:800
運:15
魔力:800
【スキル】
《弓矢創造》《狙う者》
《鑑定(Lv.6)》《異空庫》《分解》《異世界語》《?????》
《愛の力》
【加護】
弓の女神の加護
【称号】
異世界人・女神に愛された者・狩人の達人
『スキル詳細』
《愛の力》※Lv50突破ボーナス(アルティメットレアスキル)
このスキルの対象を選ぶ。
選んだ対象とスキル使用者と互いの親密度が高いほど、全ステータスに補正がかかる。
レベルの数×10%分ステータスが増える。
『称号詳細』
狩人の達人
一定レベルのモンスターを撃破した者の称号。
・効果
モンスターに対してのダメージが1.2倍になる。
ボーナスのスキルがよく分かんないな、親密度でレベルが上がるのか?
近くに他の人?はいないし、アルテミスにしとくか。
ピコーン♪【愛の力の対象をアルテミスに設定しますか?】
うん。
ピコーン♪【愛の力の対象をアルテミスに設定しました、互いの親密度からスキルレベルを換算します】
ピコーン♪【愛の力がLv.7になりました】
Lv.7?······ってことは俺達って少なくとも互いに信頼はし合って居るのか?
良かった、嫌われてはいないようだな。
んでスキルで俺のステータスは1.7倍になったから···
神薙偉琉 17歳
sex male
Lv.50
体力:1360(800+560)
力:1360(800+560)
防御力:1360(800+560)
敏捷:1360(800+560)
運:25(15+10)
魔力:1360(800+560)
【スキル】
《弓矢創造》《狙う者》
《鑑定(Lv.6)》《異空庫》《分解》《異世界語》《?????》
《愛の力(Lv.7)》
【加護】
弓の女神の加護
【称号】
異世界人・女神に愛された者・狩人の達人
お、ステータス1000越えだ、これなら今日からの狩りは楽になりそうだな。
この感じだとLv.50ごとに一つスキルが貰えそうだな。
今回が強いスキルだったから100レベの時も期待出来そうだな。
てかレベルの上限っていくつなんだ?
後でアルテミスに諸々聞いてみよう。
·········
······
···
「って事があったんだが」
夜、いつも通りアルテミスと向かい合って夕食を食べる。
「な、な、な」
「ん?どうしたんだ?」
(愛の力がLv.7じゃと!?高すぎるのじゃ!?)
「おーい、どうした?」
「ら、愛の力とはこれまた凄いスキルを獲得したもんじゃの、ステータス7割アップとは凄いのじゃ」
「そうだな、Lv.が7だし、親密度上げればもっと強化出来るんじゃないか?」
「そ、そうじゃな、って親密度を上げるってどうすればいいんじゃ?」
考えてみればそうだ、親密度上げるってどうすればいいんだろう。
仲良くすれば良いのか?
「手でも繋いで見るか?」
「手を?···分かったのじゃ···ほらこっちにくるのじゃ」
「おお···分かった」
アルテミスの隣に移動する。
「じゃあ、行くぞ?」
「···うむ」
俺はアルテミスと手を繋いだ。
ううっ、こうなんか意識すると恥ずかしいな。
それにアルテミスの手、柔らかい。
近くにいていい匂いもするし。
やっぱり美人だなぁ。
「び、美人だと!?」
ん?そうだそうだ、心読めるんだったな。
俺がこんな美少女と同棲するなんて思ってもみなかったよ。
こっちにはスマホもゲーセンとか娯楽も無いけど、アルテミスと居るなら退屈はしなさそうだしな。
本当に居てくれて良かった。
「う、うみゅ~」
アルテミスは顔を赤くしてから下を向いて俯いてしまった。
うーん、これは本心なんだけどなぁ?
「···お主、それは天然か?」
「へ?何のことだ?」
「···はぁ、何でも無いのじゃ」
「???」
·········
······
···
「それで、スキルのレア度ってなんだ?」
鑑定を使うとスキルの後ろに出てくるレアスキルとかよく分かんない奴。
確か愛の力にはアルティメットレアとか書いてたな、これは相当高いんじゃ無いか?
「スキルのレア度とはの、文字通りそのスキルの希少さ、有用さを表しておる。
スキルのレア度にはコモン(通常)・レア・スーパーレア・アルティメットレア・シークレットレアとある。
勿論、シークレットレアの方が希少性も高いし有能じゃぞ?
例外として固有スキルというものがあるのじゃ。
妾がお主に授けた『弓矢創造』と『狙う者』がそうじゃな。
あのスキルは地上ではお主しか持ってないぞ?」
アルティメットレアより上のシークレットレアとかあるのか。
何かTCG見たいだな。
「Lv.50事にスキルが一つ貰えるのか?」
「そうじゃの、次はLv.100じゃ」
「ふーん···じゃあレベルの上限ってある?」
「無いの、勿論上がるにつれて必要な経験は増えるけどの」
うへーレベルさえ上げれば無尽蔵にスキルが手に入るってことか、レベリングするか?
「あっ、そう言えばお主に言っておくことがあるのじゃ」
「うん?なんだ?」
「明日創造神様が視察に来られる」
そ、創造神様!?
視察に来るだって!?
「ちょ!何でそれを早く言わなかった!色々と準備が必要何じゃ無いのか!?」
「いや、普段の生活の状況を見に来るって仰っていたから大丈夫だ」
「そうなのか?でも失礼の無いようにしないとな」
「そうじゃなそれがいいじゃろ」
(それに相談したい事もあるしの···)
アルテミスはイルに対してのこの気持ちを相談するつもりだ。
創造神様はそういう事も相談出来る人?女神?だ。
やっと明日この気持ちについて知ることが出来ると思うと明日が待ち遠しいアルテミスだった。
次回は創造神訪問回です。