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弓無しの弓術士  作者: おうどん(きしめん)
1/7

一話

お読みいただきありがとうございます。

こちらの作品は更新はとても遅くなっております。ご了承ください。

「♪」


何も無い光の空間、そこに1人の少女が右目を光らせながら鼻歌を歌っていた。

銀色の髪が肩までかかり、瞳が金色の美しい少女だった。

彼女は今ローブの様なものを着ている。


「さぁ出てくるのじゃ、妾のパートナー」


彼女は立ち上がり、右手を下へ向けた。

その下からは魔法陣が出現した。



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



今日は月曜日、1週間が始まる憂鬱な曜日だ。

俺、神薙(かんなぎ)偉琉(いる)は高校の自分の机で肘を付きながらため息をついた。


「学校めんどくせーなー、帰りてー」


偉琉は赤みがかかった茶髪の17歳で彼女いない歴=年齢のステータスを持っている。

周りからは『ちょっとイケメンだけどそれ以外はフツーだから付き合う気には慣れないわー』と言われた。泣きたい。


かと言って虐められている訳でもなく、うちのクラスは虐めもボッチもいない平和なクラスである。

少なからず他クラスはボッチは存在しているようだが。


「はーい、静かにー!朝のホームルーム始めるよー」


教室のドアを開け、入ってきた女性はうちのクラスの担任、黒柳露李子(くろやなぎろりこ)である。

名前に沿ったように身長は小さく、140cm代と言ったところだ。

容姿も子供っぽく、うちのクラスからはロリ子先生と呼ばれている。


「今日は欠席いるー?」

「珍しいことに今日は全員居ますよロリ子センセー」


クラスのムードメーカー物部(もののべ)規夫(のりお)が声を上げる。


「むー!ロリ子先生と呼ばないでって何度言っているのですか!私はこれでも26歳ですよ!」


そう、先生はこう見えて26歳、紳士な生徒からはロリババァと言われている。


クラスで笑いが起こる、これがうちのクラスの日常、今日も何時もの日常が始まる···



·········

······

···



ホームルームは騒がしいながらも進行していった。

うちのクラスはうるさいがちゃんと先生の話は聞く優等生なクラスなのだ。

手がかからないので、ロリ子先生のような若い先生が担任になれたと言える。


「はーい、今日の朝のホームルームは終了ー今日の体育は校庭じゃなくて体育館だから覚えといてねー以上!」

「気を付けー礼ー!」

「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」


ロリ子先生が教室から出ようとドアへ向かう、しかしロリ子先生はドアの前から動かない。


「どうしたのー?ロリ子先生?」

「ドアが、開かないの」

「え?」


女子生徒がドアに手をかけた。

ドアはビクともしなかった。


「あれー?鍵かけたっけー?」


ロリ子先生がそう呟いた瞬間、教室が強烈な光に包まれた。

俺はその光に目を瞑る。







ようやく光が収まったと思い、目を開けるとそこは教室ではなく何も無い光の空間だった。

周りにはクラスメイトやロリ子先生がおり、皆混乱している様子だった。


その空間に突如女性の声が響いた。


「申し訳ありません異世界の民よ、私は創造神『フラカン』と申します、混乱しているとは思いますが、まずは説明をさせて下さい。

私の世界である『グランド』の人間の国『ヒューマ』の国の聖女が勇者召喚を行使させてしまいました。

しかし、その勇者召喚は不完全であり、この中にいる勇者以外の人々までも巻き込んでしまいました。

更に、勇者以外の巻き込まれた人は世界の各地にランダムに召喚されるというものです。

既に発動してしまった魔法は中止にできません。貴方達には強制的に『グランド』へ転移して頂きます。」


マジかーこれっていわゆる異世界転移って奴じゃん!

普通ならここで神様からチートを貰える筈だけど···


「私としてもあなた達異世界の民を巻き込んでしまって、申し訳なく思っています。せめてもの償いとして、あなた達1人1人に『神』1柱を担当させます、その神に由来するスキルを習得して頂きます。では、皆様を担当する神の元へとお連れします、質問などは担当する神にお聞きください。」


響く声が止んだ直後、俺たち1人1人の下に何かの魔法陣が現れる。




その魔法陣が光ったと思えば、俺の目の前に1人の美少女が現れた。


銀色の腰までかかる髪、金色の瞳を持つ彼女はとても美しかった。

少なくとも、これまで見たこともないぐらいの美少女だ。


「待ってたのじゃ、私のパートナー」


この美少女が俺の担当の神様かな?


「えっと貴方が俺のパートナーですか?」


銀髪の美少女は仁王立ちをしながらこう言った。


「うむ、私は弓を司る神『アルテミス』、これから長い付き合いになると思う、よろしく頼むぞ私のパートナー」


アルテミスは手を差し出してきた。

俺はその手を掴み握手する。


「よろしくお願いしますアルテミスさん」

「私達はパートナーになったんだよ、身分とか関係無しで気軽にアルテミスと呼んで」


むう、『彼女いない歴=年齢』の俺にはちと難しいな、緊張する。


「分かった···あ、アルテミス···さん」

「アルテミス」

「あ、アルテミス」

「そう、それでいいのじゃ」


恥ずかしい、こんな美少女を呼び捨てなんて初めてだ。


「そうか、なら私で慣れておくのじゃ、そんなんじゃ今後良い人が出来てもまともに話せないじゃろ?」


え?声に出してないはずだぞ?

もしかして心読めるとかか?

じゃあ、────アルテミス可愛い、結婚して────


「な、何を言っているのじゃ、パートナー」


ビンゴ、やっぱり心読めるんだな。


「っ!からかうでない!」


まぁ可愛いのは事実なんだけどね。


「···もう引っかからないのじゃ」

「はいはい、説明をよろしくお願いします」


アルテミスは『グランド』の基本的な知識を教えてくれた。

この世界には大陸が四つある。

一つは『人族』たちが住む大陸。

一つは『亜人』たちが住む大陸。

一つは『天使』たちが住む大陸。

一つは『悪魔』たちが住む大陸。

悪魔族が住んでいる大陸は他の三種族からは『暗黒大陸』と呼ばれその実態は明かされていないとされる。


今回、人族が勇者召喚を行ったのは暗黒大陸に居る、魔王を倒すためらしい。

人族・亜人・天使族の関係は良好であり、ここ500年は戦争は起こっていないという。


世界にはモンスターと呼ばれる生物がいて、人を襲うため、国が討伐対象にしている。

国の人々にモンスターを倒してもらうために設立されたのが、『冒険者ギルド』である。

現在モンスターの討伐だけでなく、薬草の採取や犬の捜索、剣の稽古を付ける、などの多岐にわたる依頼を受けられるようになった。


通貨に関しては単位は『(フラ)』、創造神様から取った名前らしい。

1円=1Fらしくわかりやすい。

硬貨は石貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨・王金貨・神金貨があり、

石貨(いしか)は1F 銅貨(どうか)は10F 銀貨(ぎんか)は100F 金貨(きんか)は1,000F

白金貨(しろきんか)は10,000F 神金貨(しんきんか)は1,000,000F

その後スキルについて教えてもらうことにした。


「私の授けるスキルについてじゃが···察しの通り弓じゃ、ちょっとこっちにくるのじゃ···」


アルテミスがこちらに手を振る。


俺は警戒心無く近づく。

アルテミスに近づいた途端、アルテミスに抱きつかれた。


ピコーン♪【スキル 弓矢創造(クリエイトアロー) を獲得しました】

ピコーン♪【スキル 狙う(アーミング)

ピコーン♪【スキル 鑑定(Lv.5) を獲得しました】

ピコーン♪【スキル 異空庫 を獲得しました】

ピコーン♪【スキル 分解 を獲得しました】

ピコーン♪【スキル 異世界語 を獲得しました】

ピコーン♪【弓の女神の加護 を獲得しました】

ピコーン♪【称号 女神に愛された者 を獲得しました】


おお、いきなり来たな。


アルテミスは俺にスキルを習得させてくれたようだ。

しかしスキルを与えるのが抱きつくことだったとは、役得だな。


「それで『開示』って言ってみるのじゃ」

「分かった、『開示』」


目の前にウィンドウが現れた。


神薙偉琉(かんなぎいる) 17歳


sex male

Lv.1

体力:15

力:15

防御力:15

敏捷:15

運:15

魔力:15


【スキル】


弓矢創造(クリエイトアロー)》《狙う(アーミング)

《鑑定(Lv.5)》《異空庫》《分解》《異世界語》《?????》


【加護】


弓の女神の加護


【称号】


異世界人・女神に愛された者



『スキル詳細』


弓矢創造(クリエイトアロー)》※アルテミス固有スキル


右手で掴んだ物を弓矢にする。


《狙う(アーミング)》※アルテミス固有スキル


狙った場所に向かって寸分違わず飛び道具を当てることが出来る。


《鑑定(Lv.5)》※転移者標準スキル


物や人に向かって使用するスキル。

その物や人の情報が閲覧できる。

自身の鑑定レベル以下の鑑定からは情報が隠蔽される。


《異空庫》※転移者レアスキル


異次元の倉庫を作るスキル、自身の魔力の上限1につき入れられる数量が1増える。


《分解》※アルテミス固有スキル


加工した物や合成物を原料に分解する。


《異世界語》※転移者標準スキル


グランドの標準的な言語を習得出来る。


《?????》


詳細不明


『加護詳細』


弓の女神の加護


弓の女神アルテミスの加護。

アルテミスは加護を掛けるのは初めてなので普通の加護より強力になっている。


『称号詳細』


異世界人


異世界から来た者の称号。


・効果

経験値獲得1.2倍になる。


女神に愛された者


女神に加護を貰った者の称号、それに加え、女神から一定以上の好感度により獲得できる。


・効果

スキル習得が1.2倍になる。



一般人の能力値の平均


体力:3~5

力:3~5

防御力:3〜5

敏捷:3~5

運:1~5

魔力:1~5




「能力値に関しては皆平等に15にしてあるぞ、ステータスの違いで余計な争いを起こして欲しく無いかららしいのじゃ」


「ありがとう、この《?????》ってのは何だ?」


詳細不明ってなってるしな、ちょっと怖い。


「多分···ユニークスキルかのう、まだ発現してないけどの。私はこんなスキル付与してないのじゃ」


ほう、俺だけのスキルってことか、カッコイイな。

出来れば強いスキルが良いけど。


「ほれ、大体教えたじゃろ、後は現地で教えるからさっさと降りるのじゃ!」


俺の下に魔法陣が現れ、俺の意識はそこで暗転した。

この世界ではアルテミスは狩猟の女神ではなく弓の女神になっています。

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