第0話 世界はいつも危機に瀕している
初連載です。よろしくお願いします。
某戦闘機ゲームのパイロットが色々書きます。マイペースに書きます。間違った事をたまに披露するかもしれません。そんな時は「空想入ってるし、多少はしょうがないね」と言い聞かせていかせてくださると嬉しいです。感想等は随時受付中です。ただし、強い言葉は使わないでいただきたいです。私がヘコみます。マイペース更新ですがこれからよろしくお願いします。
コォーッ、コォーッ、コォーッ、コォーッ。
酸素マスクから酸素が排出される音が、たった一人の狭いこの空間を支配する。右手には操縦桿、左手にはスロットル。夜の闇と月の光、そして無数の雲がガラス越しに広がる。
[チャーリー2からチャーリー1へ。北北東約20マイルに積乱雲を目視にて確認。レーダー上、周囲に反応は確認できず。オーバー]
隊機から通信が入る。
「チャーリー1 了解。チャーリー2からチャーリー4は高度1万まで上昇。積乱雲を反時計回りに周り引き続き哨戒せよ。何かあった場合はすぐに報告しろ。チャーリー5は私の援護位置に付け。高度7千まで下げ反対側から時計回りに哨戒する。しっかり付いてこい。以上散開」
[[[[了解]]]]
三機が上昇しながら隊列を離れていく。
いつも通りの哨戒任務。本来、戦闘航空隊である我々の仕事ではない。
しかしいつ、どこで、なにが、起こるか分からなくなってしまったこの世界で、呑気に非武装の偵察機だけ出した日にはボロボロになって命からがら逃げ帰ってくるか、海の藻屑にされてしまう。だからこそ、機体の退役を延ばし、予備役機まで引っ張りだして、ガチガチの重武装で哨戒と対処に当たる。
再び夜の闇と月の光、そして無数の雲がガラス越しの視界を支配する。
[緊急事態!緊急事態!レーダーに多数の感あり。積乱雲内に反応増殖中!指示求む!指示求む!]
慌ただしく離れた隊機から通信が入った。混乱を避けるべくし指示をし、万が一に備え援軍を要請する。
「チャーリー1から全機へ。ポイントα、高度8千5百にて全機合流。アンノンウンから目を離すな。」
[[[[了解!]]]]
「チャーリー1より報告。警戒対象積乱雲より多数の所属不明航空機を確認。敵性不明。積乱雲内にて反応増殖中。我々だけでは対処できない。至急援軍を斯う、至急援軍を斯う」
[了解した。至急第2飛行隊を向かわせる。第2飛行隊到着まで距離を保ち監視せよ。可能であれば呼びかけを行え。]
援軍が来る見込みは立った。しかし援軍が到着するまでおよそ30分。それまで監視を行わなければ。
[小隊長!アンノンウンが出ます!]
増殖する反応が積乱雲から姿を見せる。それまでの夜の静寂は、出てきた航空機のプロペラとエンジンの音によって上塗られていった。
[なんだ…これは………]
あまりにも大きい爆撃機があれよあれよと積乱雲から姿を現す。
あまりにも多すぎる数を率いて。
「Oh My God……なんてことだ…これではまるで…」
「世界大戦のようじゃないか……」




