小言(夜)
虫の音がきこえる
波のように繰り返し
しびれているのはこの部屋よ
片付けなんかしたからホコリっぽい
イチかゼロか選べるの?
そんな貧しい命で
蛇が怖くないからと
慢心して
泣かないで済むと思っているの?
大きな水の塊がいい
あれが出口で
私は仰向いて
ただ波の音を聞いていれば
絶望の波頭
白いうさぎが逃げてゆく
沖へ向かって
舟はゆっくり進んでゆく
いつか時が過ぎ
私がもう何もかもなくした大人になったら
あなたは溺れて死んだと思うでしょう
風が洗う希望の丘で
私はひとりぼっちで
群青の世界の果てに
飲み込まれてゆくあなたを
じっと見つめているのです
読んでくださってありがとうございます。今後の創作活動の励みになりますので、評価などよろしくお願いいたします。