六話、差
個人的には恵梨香が好きです
「それよりもさ北原君、あなた身長伸びたんじゃない?」
俺と昌幸と葛城先生は、せっかくだから教室まで一緒に行こうとなって俺たちは少々無言の時にそう年上の女の人が空気を読んでるのか読んでないのか分からない言葉を発した。
「あんまり変わってないとおもうんですけど?」
「そう?今何センチ?」
「178センチですけど…」
「ほらっ、中三にしては高いじゃない!」
これは元々だと思うから今伸びたわけじゃないと思うんだが。
それに毎日会ってる人にはそんなの見分けがどうも難しいらしいのでそんなの直ぐに会って直ぐに分かるのはとんだ誤解だろう。俺だって昌幸の身長何か変わったとか知らねえし。
「悠人ってそんなに高いのかよ?」
「お前は昌幸?」
「俺は全然っ、170センチだよ」
「はぁ?中三にしては高いじゃん」
「お前に言われたくないよっ」
いやそりゃそうだけどさ。
しょうがないだろ身長は俺が願ってもないのに勝手に伸びるんだからさ。文句なら俺じゃなくて俺の体に言え、俺は全くの無罪だ。
「けど北原君あんたは高三くらいになったらもう185くらいはいってるんじゃないの?」
「そこまでいきたくないっすよ…もうこの身長で充分です。それにもうこれ以上伸びない気がするし」
「けどまだ男の成長期終わってないじゃん」
「んなの俺に聞かれても知るか」
そんな成長期の時期も知らない俺に聞かれても何答えたらいいか知るわけないだろ。
といっても、このまま本当に185くらいまでいったら嫌だな。そこまで高いのは勘弁してくれ、ちょうど今のがいい。
「そういえば先生は何センチなんですか?俺と昌幸が教えたんですから言ってくださいよ」
「私?私も平均は越しちゃってるかな。166よ」
「えっ?マジすか先生!?たっけぇー!なぁ悠人?」
「いちいち聞かなくても分かってるから」
思い切り平均超えてるな?
だって女子だと155とかが1番可愛いとか興味ねえけどそんな位だろ?だったら先生はその倍はあるじゃん。流石大人教師、20歳だけど。
「ほら、教室着いたわよ!二人とも入った入ったー」
「「うおっ!」」
んないきなり押さなくても俺たち勝手に行くっての!
それよりも片手で俺たちのこと本気で吹き飛ばせるってどれだけの威力だよっ。
「あ、悠人っ、ちょっと来て!」
「あぁ?いきなり何だよ恵梨香…俺今背中が」
「そんな事どうでもいいから早く来なさいって言ってんの!」
「少しは心配したらどうだよ!」
「はぁ!?何でこの私があんたの事心配しなくちゃいけないわけ!」
幼馴染だから心配するよぐらいは言ったらどうだこのツンデレ女!お前には少しの良心もねぇのか!
といっても俺の周りの女子は恵梨香とか葛城先生みたいな性格ばっかりだから俺いい加減女子不信になってしまうぞ?聞いた事ない言葉だけどさ。
「ああもう分かったよっ、お前のギャーギャー声はもうとっくに聞き飽きたから。で何だよ」
「あんたまた殴るわよ?次は本当に気絶させるまで」
「分かった分かったから!とにかく手短に終わらせてくれ」
ただでさえ話聞いてやってるんだ、少しの文句ぐらいは許させろ。
「チッ。まぁいいわ。悠人、この紙先生に渡しといて。今さっきどっか行ったから」
「おい、お前絶対に最初の要件と違う事言ったろ?」
で何で最初に舌打ちするんだよ、お前の方が俺より文句とか態度でウザイとか言ってるようなもんを平気で前でしてくるじゃねえか。
俺、こんな何の感情も持たなくて済む女は初めてだわ
「最初のはやっぱ止めた。それにこれも二個目に言おうとしてたから。という事で持って行って」
「何だよそれ?教えてくれ…って言っても無理か。つーかこれを俺がしてまた頼みまくるとか止めろよ?俺そんな事されたらマジでお前の事嫌いになりそうだから」
第一他の男子だったら舌打ちの時点で切れてるだろう俺も若干切れてるが。
それにこいつの怒った時の睨み顏超怖い。
「さっさと行きなさいよ」
「へいへいお望みの通りっ」
って重いなこれ、恵梨香だと絶対に持てなかったわ。これだったら俺が持ってまたまた正解だな。多分これ恵梨香が一人で持つって言ったとしても俺が持ってただろうし。しかし葛城先生が居るところだから職員室か…長えな。
「葛城先生いますかっ?」
俺は数分後やっとの思いで職員室に行ったが、
「ごめんなさい、今は居ないわ」
来た意味が全然無かったという…俺、ここに来た意味ないよな。それに職員室に入る前の緊張も取り返してくれ、俺本当にキレるから。
「んじゃどこにいるんだよあの人は」
どっかでタバコとか内緒で吸ってるんじゃないのか?そんなイメージない?と思うけど。
しっかしこの中何入ってるんだよ?こんだけ重たかったら教科書か何かか?
「…いちおう行ってみるか」
俺には一つ、心当たりがあった。
あの人が休み時間など自由時間に居てそうな場所。
放課後そこを通ると、絶対に居てる場所。
念のため、そこに行こう。
✴︎
ガラッ
「やっぱりここにいたんですか、葛城先生」
けどやっぱり先生もいいなぁ。