三話、距離
更新が遅くなってしまいました。申し訳ございません
授業も終わり、新しいクラスもそろそろ馴染んだ五月の放課後…俺は特に用がないので3年になって初めてする陸上部にへと来ていた。
陸上部は俺のクラスだと女子はたった一人でその一人が俺の幼馴染の恵梨香一人で男子はそこそこ同じクラスの奴がいる。まぁ、こいつも女子一人嫌とか一年の時はそう駄々をこねてたけど今はもう女子がいない事が当たり前になっているのだろう、そんな事は一切言わなくなった。
「ねぇあんた達っ!喋ってないでちゃんと準備しなさいよ。これだったらいつまで経っても始められないわよ?」
とまぁ、恵梨香は一年の時からずっとこの調子には変わりなくて。そりゃ俺たちも悪いけどさ、いい加減もうこいつの説教には慣れちまったよ。
「へいへい分かったよ恵梨香様。仕方なしに言う事を聞いてあげますよっと」
「はぁ?何よその態度?からかってんの?」
「お前、完全にからかってる言葉なのにそんなのも気づかねぇの?…馬鹿だな」
「はいもう殴るの確定。残念悠人〜」
「はぁ!?……って痛えよ!」
何も殴る事までないだろ!
男なんだからさ、女の事をからかうとかよくある事だろ?好きな奴にはかなりのちょっかいを出すとか、別に俺は恵梨香は好きじゃないが。
「そう、それは残念」
「お前なぁ、けどこういうの感謝しろよ?親しくない人とかには出来ない事なんだからよ!」
そう、ちょっかいとかはどうでもいいとかあまり喋ってない人にとかはあまりしない行為だ。
これは俺の考え方だけど俺はちょっかいとかは親しい奴とかじゃねえと出来ない性格をしてる。
いや、こんなに子供っぽいのにとか思うけど、本当にその人の性格を分かってなくてちょっかいとか出したらその人はもしかしたらその事で一生傷が残るかもしれない。だから…俺はそういう事を考えて何も知らない奴にはふざけない、これが俺の考え方だ。
「とにかくさっさと始めて!あ、それと悠人は部活終わったら私と片付けね!サボったら気絶するまで殴るからっ」
「だから何で俺だけだよっ!?」
だからその人の性格を分かっていてこうしてちょっかいを出したら、予想通り相手も自分にへとちょっかいを出してくる。ま、その代わりいい事なんてないけど
「相変わらずお前らラブラブっすね〜」
「あぁ?…飯田」
いい事なんてないその一
こうしてふざけあってるとクラスメイトとかに勝手に俺と相手の事を冷やかされる事。
「北原お前橋本と両想いなんだろ?なぁ、告っちゃえよ!」
「まず両想いってのは誰が言い出したんだ!」
それにこの本人が自覚ない噂を勝手に広めるの止めてくれ、ガチでウザい。
それに誤解だとか言ってもみんなは認めてくれずの公認状態…けどそれは、いつしか日にちが経ったら忘れるってのもあるあるだ。
「それは俺たちの推測」
「そろそろお前ら殴ってもいいか?」
✴︎
「悠人、これ持って!私重たすぎて持てない…」
「ったく、そこで女子アピールとかすんなよ気持ち悪い」
「はぁ?言っとくけど私美人の高校生女子よ!?」
「えっ、恵梨香って女だったの?悪い今気づいた…」
「嘘つくなっ!」
「じょ、冗談だって!」
俺たち陸上部が2年の時同様同じように終わると、俺は恵梨香に呼び出された通り6時半になった運動場で二人片付けをしていた。
もう陸上部のみんなは帰っていて、運動場にいるのは他の部活で同じ片付けをしているのが数名いた。
「で、これ持つのか?」
「そうそれ」
「いや…いくら何でも重たくないか?」
部活の片付けはほとんどは一週間決めてくじをして決めているのだが、ここ陸上部はそんなのは面倒くさいというのが多数だったのでその時その時間まで学校に残れるって人に片付けをするのが決められている。
「あんた男でしょ?頑張って持ちなさいよっ」
「いくら男でも持てるものと持てねえものがあんだよっ」
それで今日は恵梨香がたまたま残れたのか片付けをすると言って俺まで指名されたわけだが…
「ぐっ、これはいくら何でも重すぎだっての!おい恵梨香っお前も見てないで手伝え!」
「えぇ〜?二人でも絶対持てないよ!」
「だったら最初から俺に言うんじゃねえよ!?んなの一人で持てるわけねぇだろうが!」
と、俺と恵梨香は今片付けの最中に苦戦する物、サッカーネットだったっけ?それを二人で持とうとしてた。
「大体何で陸上でサッカーなのよ!」
「んなの聞かれたって知らねえよ!」
元々これ恵梨香が俺の事呼ばなかったらこいつ一人ではこれ持てなかったじゃねえかよ!そういうのちゃんと考えてくださいよ飯田…!一応お前がリーダーなんだぞっ。
「ほら頑張れもう少しだっ」
「あーもう、陸上部なんてやるんじゃなかった!」
と、俺たちは文句を言いながら無事それを体育倉庫に入れられた。最後には二人とも手を離してしまったので凄い音が聞こえたが、倒れたりしなかったので安心して俺たちは近くに座れた所にへと座った。
「ったく暑っ!お前、今日だけは俺を呼んでよかったな…」
「本当にそうよ、一応…礼だけは言っとくわ。ありがとう」
「うわっ、すげぇ新鮮」
俺が軽く冗談にそう言うと隣から物凄い目線が来たが気付かない事にする。だって今隣振り向く事さえ体力いるんだから、暫く休憩取らねえと見られねえ。
俺が無視を続けていると恵梨香も諦めたのか前を向いて体育倉庫から見える夕方と夜の間くらいの景色を見ていた。
「最近明るくなってきたなぁ」
「まぁね、夏ももう遅くないだろうし」
「だな…それに、お前と見るこの景色は最後かもな」
「えっ?何で?」
恵梨香はまた俺の方に顔を近づけるので、俺も暫くして恵梨香の方に顔を向ける……って座っている場所が近かったせいか顔が近かった。
それに恵梨香そんなの全然お構い無しだし、こいつって真剣になった時っていつもそうだよな。っていうか今ので真剣になる必要あるか?
「だってお前、ここの中学は大学まで推薦なのに違う高校行くんだろ?それだったらこんな景色もう見れなくなるじゃん?」
「…ああ、そう言う意味か。けどさ悠人、そんなの、これから先の事なんか勝手に決めないでよ」
「はぁ?」
「私達幼馴染なんだからこれから続くって事よ。何、あんた私とはもう離れたいわけ?」
「いやそんな事はないが…それと恵梨香、そういうセリフは勘違いされるから今後からはあまり使うな」
一瞬俺お前の言葉にビックリしちまったよ?
けど、こいつがこう言うのは当たり前か。
確かにここは推薦だから上は普通に行ける人が多い。だから受験する人よりはマシで同じ中学の人ほとんど全員が同じ上に行くので他の高校に行く人は前からの同級生がいない…そんな環境は、絶対に俺でも嫌だろう。そんなの、俺だったら必ず推薦が必ずとは言えないけど他よりは取れる上を目指してまたみんなとつるむ方を選ぶはずだ。
「けど、何でお前他の高校なんだよ?そんなここから30分ぐらいで着くところなんかに」
「そこの高校にやりたい事があるから。かな?」
「やりたい事?」
それは俺が恵梨香から初めて聞いた、やりたい事。
まさか俺はこんな奴にやりたい事があるなんて思ってもみなかった。
いやだってそうだろ?まず疑うって。
「しょうもない事よ。聞いて呆れるぐらいに」
「そこまで?」
「うん。そこまで。それに、あんたに教えてあげる必要なんかないし」
「お前なぁ…」
一瞬だけ真剣に聞こうとした俺の心はどこりやりやがったよ。
それに、お前のさっきの真剣な顔はどこに行っんだよ、そんなに話したくない内容なのかよ。
まぁ、そこまで口出しする必要はねぇけど。
「まぁ別にいいわ。そこまでして聞きたい話じゃないしな」
「何よそれー?」
「さぁ?どういう事だろうな?」
だから俺も、ワザと話を変えるために明るくして笑う。本人が嫌がってる話なら無理矢理聞き出すのも俺の性に合わない。そこから面倒事になって俺が巻き込まれても迷惑だ。それだったらこっちも無理矢理でも相手の話を聞かないようにする。
「んじゃ帰るか」
「…うん」
例え相手が暗い顔をしていても俺は見知らぬ顔をするってのは出来ないが、ある程度人とは距離を置きたい。さっきも言ったように迷惑かけられる俺の身にもなれっての。そこに俺の得がどこにあるんだって話だ。だから俺は異常に人にへは関心を持たない、興味を持たない。
…俺の事に首を突っ込まれたくないから。
また更新が遅くなると思いますがすみません…