多重人格になりかけて。
私の中って、1人じゃないよね。
天使の微笑みと悪魔の囁きが、いつもいつも共存するの。
特に恋愛の場合。
色んな想いがせめぎ合ってる。
自分のこと、変えられるのは自分だけ。
頭では、分かっている。
そのつもりなんだけど……
あたしばっかり一方的みたいで、なんかやだな。
メールしたい、電話したい。
……遊びたい。
今すぐにでも、会いたいよ。
そう思うのは、私だけ?
あいつだけは、放っておこう。
今の私を知られる訳にはいかない。
絶対、驚かせてやりたいもん。
今の中途半端な変化を見せちゃうのは、勿体無い。
そう言って、わざと会わない時間を増やした。
本当は、今すぐにでも触れたいのに。
会わない間も、あいつと行きたい場所が、増えていく。
どんどん、どんどん増えていく。
いつ会いに行こう。
なんて。
時間が経てば経つ程、会いづらくなる。
今までどんな話をしていたか、なんて、思い出せなくなるんだ。
消え入りそうな声で泣く私を、どうしてあんたは抱くのですか。
悲しいはずの私の代わりに、どうしてあんたが泣くのですか。
今のままじゃ会いにいけない。
どうせ待っててくれない人だ、追いつくには努力しかないのに。
大っ嫌いだ。
こんな未熟な自分、大っ嫌い。
もう、会いになんていけないよ。
こんな私、見せたくないよ。
不甲斐なさ過ぎて泣き出す私。
原因は、決まってあいつ。
それなのに、この窮地からいつも救い出してくれるのも。
いつも決まって、あいつなんだ。
久々のメールの着信音。
「元気か?」の一言。
これだけで、私を幸せに出来るのは。
この世で、たった一人。
世界中、何処を探したって、私の大切な人は一人しかいないんだ。
私は早速、返事を送る。
会話を楽しもう、あわよくば、会う約束も取り付けよう。
次に会えるの、案外楽しみにしてるんだよ?
私だけかもしれないけれど。
久方振りです、江角 稚です。
こんな遠くからでも見守ってくれる王子様がいたら、どれ程嬉しいんでしょう…迎えに来てくれる人がいてくれたら、どれ程頑張れるのでしょう。