第27話 激突! 魔界四天王 Bパート
お待たせして申し訳ございませんでした。
今回の途中からネタに注を付けるスタイルに変更しました。
※マークの付いているネタは後書きの末尾にネタ注がまとめてあります。
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アイキャッチ
「神鋼魔像、ブレバティ!」
まずは、魔道戦艦から放たれた多数の魔力弾が僕らを先導するように魔界獣の群に突き刺さる。
大口径魔力弾は、直撃さえすれば、いかに巨大化した竜や有翼獅子だろうと、一撃で粉砕できるだけの威力がある。だが、その四十キロメートルを超える有効射程の、ほぼ最大距離から発射した場合、飛翔時間は約一分。超音速ではあるが、魔力の塊であるので魔獣は遠距離からその存在を探知できる。感知してから着弾まで十秒以上の余裕があれば回避できてしまうんだ。
目の前の光景がそれを裏付けていた。飛翔する多数の魔力弾に対して、魔界獣の群れが散開して回避したんだ。ただ、魔界獣は相当に密集していたので、回避するだけの余裕がなく、直撃された不幸な魔界獣も何匹かはいたようだ。
魔道戦艦の艦砲射撃による先制攻撃は失敗に終わった……わけじゃあない。もともと、それで倒せる相手だとは誰も考えていない。むしろ、僅かな数でも倒せた方が僥倖なんだ。なら、何のために撃ったのか。
メインカメラで見ている視覚と二重映しになって見えているコクピットのメイン水晶ディスプレイにもいくつかに分散した敵群が表示されている。その群の内のひとつに標的印が表示される。敵を分散させて確固撃破する作戦というわけだ。
オグナ艦橋メインCICで統御されている戦術情報が同期されたんだ。今回の戦いに備えた改装によって、全魔道戦艦に艦載AGすべてとリンクする統合戦術情報システムが搭載された結果、音声による管制だけに頼らないで済むようになっている。情報を同期させる通信システムは、妨害されやすい魔力波のほかに、複数の周波数の電波やレーザー通信などを複合使用することで敵による妨害に対抗しようとしている。
オグナの艦載機部隊は、僕の指揮する第一小隊と、タケル殿下の指揮する第二小隊で編成されている。殿下も僕も地球防衛軍での階級は中佐(一応僕が先任)なので、本来は大隊指揮官クラスなんだけど、わずか一個小隊しか率いていないのには理由がある。
僕たちは個人戦闘力が高いんで、部隊指揮よりは突貫して切り込み役をすることになっているんだ。
本来は将官で戦隊司令官クラスのリヒトでさえ、今回の戦いではヒカリと共に反対側からの切り込み隊長役に回っている。
その代わりに、各部隊の戦術指揮は魔道戦艦から戦術情報システムを通じて行うことになっているワケだ。
ただ、敵からの妨害で戦術情報システムが使えなくなったら、現場で指揮をとらないといけなくなるんだけどね。相手の魔道技術力を考えると、妨害を受ける可能性は高い。
だが、今はまだ大丈夫。僕は飛行形態のドラゴンを操って、敵の巨大魔獣~父さん命名するところの魔界獣~に突撃する。
「魔力付与!」
機体全体に攻撃力増強の魔法をかける。さて、クーの技、僕もパクらせてもらおうか。
「アグレッシブ・ドラゴン・アタック! やぁってやるぜっ!!」
まあ、技名とセリフは超獣機神のパクりだけどね。このまま通常スケールの十倍の竜や飛竜へ……って紛らわしいな、僕の機体もドラゴンのワイバーンモードなのに。
とか思ってたら、通信機から父さんの声が聞こえてきた。
「これより、魔界獣のうち竜タイプを『ドラゴα1』、有翼獅子タイプを『グリフβ2、飛竜タイプを『ワイバγ3』と呼称する。ドラゴンだのワイバーンだの呼ぶと味方機と紛らわしいからな。まずドラゴα1を優先で叩け。全般的に能力が高いと推定される」
あんた、そのコードネームは趣味だろう! とツッコみたい所だが、今はそれどころじゃない。
「了解!」
通信機に叫び返すと、そのまま一番近くにいる敵魔界獣ドラゴα1目がけて突進する。
ターゲットにしたドラゴα1が口を開いて火炎放射を放ってきた。
「耐火防壁!!」
着弾前に僕の防御魔法が完成し、その火炎の九五パーセントの熱量は防壁に阻まれる。残り五パーセントの熱量ではオリハルコリウムの装甲板を溶かすには、まったく足りない。
そして、僕は寸分もためらわず、その火炎を放つドラゴα1の口を目がけて機体を突っ込ませた!
「ガギャ!?」
変な叫び声を残しながら、ドラゴα1の頭が爆ぜた。既に亜音速まで加速していたドラゴンが機種から口の中に突っ込んだんだからね。いくら全長五〇メートルの巨体とはいえ、頭のサイズはそんなに大きくない。ドラゴンの機首から口に突入すれば、あっさり突き破って頭部を破壊できるし、いかに強靱な種族であろうと頭部を破壊してしまえば死ぬ……真っ当な生物ならね。
そして、魔界獣というのは単にスケールがでかいだけの真っ当な生物だったらしく、頭部を吹っ飛ばされたらあっさり死んだ。あらかじめかけておいた生命感知の魔法の感知対象じゃなくなったんでわかった。
同様に、フィーアのペガサスはじめ、僕の部隊のメンバーは全員各一体のドラゴα1を撃殺(NOT宇宙拳)している。
一撃離脱で敵陣を突破し急上昇をしかける。グリフβ2やワイバγ3は既に亜音速に達している僕らの速度についてこれていない。
周囲の戦況を見回すと、同じように細分化された魔界獣の群が確固撃破されている。
そこへ、再び魔道戦艦の魔力弾が飛来し、魔界獣の群の混乱は一層激しくなる。
今がチャンスだ!!
「ついて来い!」
魔道無線機で列機に指示を飛ばすと、上昇からそのままループに入り、機体が下を向いた時点でキリモミ回転をかけて、そのまま魔界獣の群に突入する。
「牙竜風刃乱舞・改!!」
ミキサーのように高速回転する翼が、魔界獣どもを刈り取っていく。これが本当のブレード・クィジナートってか!
今の突撃で、僕は魔界獣6体を血祭りに上げた。フィーアたちもかなり落としている。
急降下攻撃をしかけたので機体の高度がかなり下がってきた。再度上昇をかけながら、まだ残っている群を探していると、メイン水晶スクリーンに再び標的印が表示される。あの群を狙えってのね。了解!
その群は、ほかの部隊にターゲットにされていなかったらしく、まだドラゴα1が3体とグリフβ2が5体、ワイバγ3が4体と合計12体ほど残っている。よし、一気に殺るぞ!
「変形、音速飛翔、ドラゴン・ブレードっ!」
魔界獣の群に接近しながら、魔像形態に変形し、翼や揚力力場の揚力を失った分を音速飛翔の魔法で補いつつ、胸のドラゴン・ブレードを抜いて手近なドラゴα1へ斬りかかる!
「グギェ!!」
ドラゴα1はオリハルコリウム製の刃にあっさりと首を斬り飛ばされて絶命する。
「雷撃っ!!」
それと同時に練っていた魔法を近くのグリフβ2へ放ち、その射線上にいたワイバγ3ともども吹き飛ばす。よし、これで本当の殺し合いでも十体撃墜! ドイツ空軍でもエース扱いだな。
「爆発!」
ドガァン!!
フィーアが呪文を唱えて発動させた巨大な爆発が魔界獣三体を吹き飛ばしていた。リュー君とマヤも各二体を葬っており、残りはグリフβ2とワイバγ3が各一体ずつ。
「牙竜一文字斬りっ!!」
横並びに飛んでいたそいつらを、二体まとめてドラゴン・ブレードで横一文字に撫で斬りにする。
そこで、改めて戦場を見回してみるが、ほとんどの魔界獣は既に落とされていた。と、少し離れたところをフラフラ飛んでいる手負いのワイバγ3を見つける。よし、最後にあいつを落としてやろう。
そう思って機体をそいつの進行方向を遮るように移動させたとたんに、魔道通信機から聞き慣れた声が飛び込んできた。
「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!!」
その声と同時に背後に無属性魔法を感知したので、慌てて回避すると、ドラゴンをかすめるように飛来した魔力弾が最後のワイバγ3を吹き飛ばした。
振り返ると、そこには全身漆黒の塗装で各部に金のラインが入った限定版超合金みたいなカラーリングに変更されたライガーがいた。
「危ないだろうが!」
思わず怒鳴りつけてしまったのだが……
「お兄ちゃんなら避けてくれると信じてたのよ」
しれっとうそぶくヒカリ。それにしても、まさかリアルであのセリフを聞く羽目になるとは……
「敵影なしです」
フィーアが報告してくる。
「あ、フィーア、元気?」
「ヒカリ中佐、敵は全滅したようですが、まだ戦闘終了の命令は出ていないので私的な雑談は……」
「相変わらず任務中はカタいのねぇ。油断はしてないわよ。ところで、おニューになったあたしのライガーはどう? ほぼ新造に近い作り直しになるのを幸いに闇属性魔法を応用して敵に撃たれた攻撃魔法の魔力を一部吸収できる新合金オリハルコリウムBの装甲に更新したのよ!」
「ほぉ、そうだったのか」
リヒトと婚約したとは言っても、相変わらずマイペースな我が妹殿だ。それにしてもライガーが黒くなってたのは、単なる塗装変更じゃなくて新合金のテスト機になっていたからだったのか。
「そうよ! ライガー改め『ブラックライガー』、略して『ブライ……』」
「ストーップ! それはやめろっ!!」
ヤバい名前を出しそうになったので、慌てて止める。
「え~、別にいいじゃない。『夜空の星の輝く陰で……』」
「だから、やめろと言っているっ!!」
ライガーなら元ネタ三つ以上あるからマシだけど、その名前にしたら元ネタひとつになっちまうだろうが!!
「相変わらず仲がいいな」
見ろ、フィーアに呆れられたじゃないか。
と、そのとき、突然敵影のなくなった戦場の上空に、先のリーベと同じような感じで巨大な人の姿が浮かび上がる。投影魔法だな。
それは、四つの人影だった。だが、その姿は今まで骨でしか見たことがない特徴を有していた。丸まった角とコウモリのような被膜の付いた羽、先の尖った細長い尻尾。
そして、骨ではわからなかった特徴もある。青白い肌と漆黒の髪、そして赤い瞳。伝説に云われてきた特徴そのままの姿。
「魔族……」
僕が思わずつぶやいたとき、その四人の中でもっとも派手で豪奢な飾りのついた服を着て真ん中に位置していた壮年に見える男が口を開いた。
「第二世界の下等人類よ。まずは褒めてつかわそう。わずか十五年で、よくぞここまで進歩したものだ。この程度の獣の群で滅ぼしたのでは興冷めもよいところであったが、なかなか歯ごたえがありそうだ。これからの蹂躙に、お前たちがどれだけ無様にあがくのか、より一層楽しめそうだな。そこで、特別に我ら魔界第二世界侵攻軍四天王の姿を見せてやることにした。光栄に思うがよい。さあ、自己紹介せよ」
それは、あの最初の傲慢極まりない宣言をした声だった。どうやら、こいつが魔界の侵攻軍の総帥で、その周囲に居る三人を含めて『四天王』と呼ばれる幹部らしい。
と、その三人のうち、まず一番若そうで、僕らと大差なさそうな歳の少年が口を開いた。
「ボクは『星の四代目』。四天王の中では一番の若輩者だけど、キミたちなんかには負けないよ!」
次に騎士風の鎧に身を包み、手に兜を持った若い男が名乗りを上げる。
「我は王に夜をもたらす者『王の夜』なり。そなたらにも永遠の闇夜をもたらそう」
それに続けて、パンク風ファッションのやはり若い男が叫ぶ。
「オレ様の名前は『錠前男』! 錠前様がお前らを料理する匂いを嗅いでみるか?」
そして、最後に総帥格の男が名を名乗る。
「余は魔界第二世界侵攻軍総司令官『走者の君主』である。お前たち下等人類に恐怖と死をもたらすことこそ我らが使命。今回は様子見に過ぎぬ。次回からは、より大きな絶望がお前たちを襲うであろう。楽しみにして待つがよい」
そう言い捨てると、魔界四天王の姿はかき消える。
あまりにも傲慢な宣戦布告。だが、僕はそれ以上に彼らの名前のネタっぷりに、思わずつぶやいてしまっていた。
「その名前って、全部何か違うんじゃね?」
次回予告
魔界の新たなる刺客は全長八百メートルにもおよぶ超巨大な恐竜型ゴーレムだった。そのスケールと、搭載された破壊兵器の威力に圧倒される地球防衛軍。果たして、この強敵を倒す方法はあるのか?
「上と下、脆いものよ、と言ってな……」
次回、神鋼魔像ブレバティ第28話「恐怖! 機動デス・ダイナ」
「これって何か違うんじゃね!?」
エンディングテーマソング「ボクらは地球防衛軍」
この番組はご覧のスポンサーの……
来週も、また見てくださいね!
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以下、ネタ注です。
※1:漫画『撃殺!宇宙拳』。作者は破李拳竜。いや、何でか「撃殺」って言葉を書いたけど、そんな熟語は無いよなと思った次の瞬間に、この漫画のタイトル思い出したモンで……
※2:古典コンピューターRPG『ウィザードリィ』登場の武器「カシナートの剣」の「カシナート」は日本人には意味不明だったので刀工の名前だとされていたが、原語だとBlade Cu(i)sinartで、クィジナート社製強力ミキサーのことだったということが後に発覚した。
※3:第一次大戦以降、各国の空軍や陸海軍航空隊では敵機を五機以上撃墜したパイロットを慣例的にエースとして讃えてきたが、ドイツ空軍のみは十機以上撃墜をエースとしていた。
※4:超合金シリーズには伝統的に色違いバージョンで頭に「ブラック」と付く黒色バージョンが発売されることが多い。
※5:「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!!」はネット発祥の有名ネタゼリフ。
※6:『銀河旋風ブライガー』は『必殺仕事人』をモチーフとしたロボットアニメ。主題歌冒頭に入るナレーションはキャシャーンのそれと並んで特に名作だと思う。なお、ライガーの元ネタについては設定資料集を参照。
※7:『スターフォース』。テクモ(現コーエーテクモ)が開発したシューティングゲーム。ファミコン版はハドソンが発売した。タイトルの意味は「宇宙軍」なのでスペルは「STAR FORCE」だから関係ない。
※8:『キングスナイト』。スクウェア(現スクウェアエニックス)が開発したフォーメーションRPG……と称するシューティングゲーム(笑)。タイトルの意味は「王の騎士」なのでスペルは「KING’S KNIGHT」だから関係ない。
※9:『ロックマン』。カプコンが開発したアクションゲーム。タイトルのスペルは「ROCK MAN」なので関係ない。なお、WWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)のプロレスラー『ザ・ロック』(本名ドゥエイン・ジョンソン。現在は俳優としての活動がメイン)のスペルも「THE ROCK」なので、「錠前様にとっては関係なし!!」(笑)。
※10:『ロードランナー』。アメリカ製のアクションゲームだが、日本ではハドソンが開発したファミコン版が特に有名。タイトルのスペルは「LODE RUNNER」なので絶対に関係ない。
なお、魔界獣のコードネームはsugi様のアイデアをいただきました。感謝!
追記
誠に申し訳ございませんが、家族が長期治療を必要とする重病に罹患したため、執筆を継続する精神的及び時間的な余裕が無くなりました。このため、本話までで連載を中断させていただきます。いつか、続きが書ける状態になったら再開したいとは思っておりますが、いつになるかは現時点では全く分かりません。
続きを楽しみにされていた皆様には誠に申し訳ございませんでしたが、何とぞご了承ください。




