第13話 地球帝国の野望 Bパート
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「神鋼魔像、ブレバティ!」
「全世界の人々に告げる。私の名前はルードヴィッヒ」
そこで一旦言葉を切って、一拍おいてから続ける。
「地球は狙われている!」
いきなり「蒼き流星」かよ!? オープニングの途中に各回の重要シーンが入るという斬新な演出が話題を呼んだが、その第1話のセリフじゃねーか!
ところで、僕が今住んでいるこの剣と魔法の世界の居住惑星、「太陽系第三惑星」の名前であるが、今ルードヴィッヒが言ったように前世とまったく同じ「地球」なのである。さっきの旗は、今住んでいるこの「地球」の後ろに剣が交差している意匠だったのだ。
この世界は基本言語が日本語である。それに、占星術なんかの研究もあって、天文学はむしろ古くから進んでいた。だから地動説が常識になっていて、大地が球体であることも分かっていた。必然的に、惑星の名前は「球体の大地」すなわち「地球」になってしまうのだ。
前世で読んだ星新一のショートショートの中に、他の惑星へ行ってしまったと思い込む人の話がある。その人が地元の住民に惑星の名前を聞いて「地球」と答えられたときに、「どんな惑星でも自分たちの住む惑星には『地球』って名前を付けるよな」みたいな感想を持っていたのだが、それと同じことなのだ。
ちなみに、恒星系のパラメータまで丸コピーなのだから、太陽系各惑星の名前も前世準拠でまったく同じなのである。…冥王星は惑星扱いだけどね。大陸名とか歴史こそ違うものの、一種の平行宇宙と言ってもいいのかもしれない。
などと考えていると、一呼吸おいていたルードヴィッヒが話を再開する。
「狙っているのはお前だろう!」
え? 意外な言葉にちょっと驚いていると、それまでの固い表情から一転して笑みを浮かべて続けるルードヴィヒ。
「…と思った人は多いかと思う。我が親愛なるアーストリアの民でさえも」
自己ツッコみかい!? しかしまあ、見ている人間の9割はそう思ってたんだろうから、それを自分で言ってしまうのは上手い。つい同感してしまう。そこで、再び表情を真面目なものにして続けるルードヴィッヒ。
「それは否定しない。私の理想は人類の統一政権の樹立である。そのためには、いかなる手段も用いる。実の父親であろうと、祖国であろうと、邪魔になるものは排除するし、先制攻撃も、だまし討ちも、あえて辞さない覚悟である。それは、なぜか!?」
ここで一呼吸置く。せっかくの敵の「総帥」の演説なんだが、さすがにこの場で「坊やだからさ」を言う気はない。そこまで空気読まない子じゃないぞ。それにしても、何を言う気だ?
「この地球の文明を滅ぼし、我ら人類を奴隷化せんと目論む恐るべき『敵』が来るからだ!!」
ええっ!? 言っちゃうのかよ、ソレを!
「今、ここであの『大爆発』の秘密を明かそう。あれは、異世界からの侵略者による無差別破壊活動だったのだ。この事実をアーストリア帝国と十カ国連邦は共同で隠蔽していた。その事実を知る立場にあった者として、今までの隠蔽をお詫びする」
頭を下げるルードヴィッヒ。だが、すぐに正面に向き直って話を続ける。
「今まで、この事実を隠していた理由は、敵の力が脅威的だったからだ。10万人の住む都市を一瞬にして破壊する力。それに対抗する力を持たない限り、人類に未来はない。しかし!」
ここで画面が切り替わる。ルードヴィッヒの姿が消え、代わりにライガーが熱核弾頭を発射し、それを僕が中性子妨害で封じて、ロプロスが宇宙へ運び去り、弾頭が宇宙で炸裂する映像がダイジェストで流れる。
「我々人類は、既に同等の力を手に入れた! 敵の力は依然として強力である。しかし、もはや対抗不可能ではない! 人類の叡智を結集し、総力を挙げて立ち向かえば、戦い得る相手となったのだ!!」
そこで再びルードヴィッヒの姿が現れ、それまでとは一転して声を落として落ち着いた調子で語りかける。
「だが、そのためには人類がひとつにまとまる必要がある。その一方で、今見ていただいた力は『相互確証破壊』をもたらす力だ。複数の主権国家が、都市破壊能力のある核攻撃能力と、それを輸送する弾道攻撃能力を手に入れた場合、戦争は双方の破滅という結果しか残せなくなる。必然的に、人類の統一は話し合いという平和的な手段によって行われることになるだろう。それは理想ではある。あと10年の余裕があれば平和的な統一も可能であろう。しかし、我々に残された時間は少ない」
そして、再び声を張り上げる。
「1年! 残された時間は1年に満たない! 敵の侵攻は1年以内に起きる。分かたれたままの人類では、各個撃破され、待つのは滅亡の未来のみ! 何もせず座して待つのであれば、人類滅亡の日まで365日に足りないのだ!」
某宇宙戦艦かよ! 危うく声に出してツッコみそうになってしまった。
「だから、私は各国が相互確証破壊の能力を手に入れる前、今この時に、あえて非常の手段に訴えた。我が父に反逆し、祖国アーストリア帝国を滅ぼした。そして、総力を挙げて北コロンナ合州国、南コロンナ連合を奇襲した」
そこで、また一呼吸置いて続ける。
「既に初期作戦目的達成の報告を受けている。北コロンナ合州国の大統領以下政府要人はすべて我が虜囚となり、第一軍、第一艦隊、第二艦隊は壊滅した。南コロンナ連合の構成12か国の代表の身柄もすべて拘束済みである。その陸海軍は合同演習場と合同泊地で主力を失った。もはや世界の4分の3は我が手にある!」
おいおい、マジか? 予想以上の戦果に唖然としてしまう。
「先だっての捕虜交換式において、連邦代表グリーンウェル伯は無益な戦争の継続について真剣なる考慮を促された。今、その言葉をそのまま返そう。もはや連邦がこの戦争を継続する意味はない。そもそも十カ国連邦とは複数の主権国家が個々の主権の存立よりも大きな利益を求めて大同団結して成り立った国であろう。今、再び小異を捨てて地球防衛という大同につく勇気を期待したい」
飾ってはいるが、要は降伏勧告だな。それを聞いた父さんがボソリとつぶやく。
「もしかして、ポジション的には俺が『独裁を目論む男が何を言うのか』とか言わなきゃいかんのか?」
うん、艦長なんだから大人気ロボットアニメ的に考えるとそうだろう。とか思っていたら、ルードヴィッヒが少しトーンを下げて言葉を続ける。
「私は歴史の流れに盲てはいない。人類の歴史が、自由と公平を求める方向に進むことを疑ってはいない。最終的には、衆知こそが世界を動かす力となること、民主主義が最後の勝利をおさめることは歴史の必然であろう。しかし!」
ここで再び声を張り上げる。
「今、この時に必要なのは強い指導力、独裁なのだ! 非常の時には非常の手段をもって当たらなければならない! ゆえに、私はあえて歴史の流れに逆らい、独裁権力をもって人類を守るための戦いの指揮を取ることを決意した!」
うん、本当に独裁を目論んでるのを堂々と言っちゃうワケだね。ルードヴィッヒは、また平静な調子に戻って言葉を続ける。
「誤解しないでいただきたいが、独裁権力の血族世襲はしない。その欠点と愚かさは、身をもって知っている。血族世襲の愚がどれほどアーストリアの国力を削いできたか、私ほど知るものはいない。それゆえに、あえて皇太子、すなわち次期皇帝を約束された身でありながら帝政を廃止する決断に至ったのだ。だから、私は新たなる帝国を築くが、帝政はとらない。また、地縁や血縁なども廃する。今はアーストリア出身者が多いが、我が配下には連邦出身者もいる」
ここで、画面が切り替わり、見慣れた顔が大写しになったので思わずのけぞる。いや、話の流れ上は当然なんだろうけど、大空に映るヒカリのどアップって結構強烈だわ。さらにそのカメラが横に動いて仮面をかぶったリヒトの顔を写す。
「リヒトをはじめとした親戚もいるが、いずれも血縁ではなく実力によって抜擢した者である。私の目的は人類の結集であり、地縁や血縁による派閥などは百害あって一利もない。このことは、本来私の支持層であった帝国捕虜、その中には私の従兄弟たるコンスタンティン大公もいたが、彼らを見捨てたことからも理解していただけると思う」
ここで一呼吸おき、視線を右から左に動かしていく。実際はあちらからは見えないのだろうが、見上げているこちらからだと全員を見渡しているように見える。そして、大きく両腕を開いて、胸を広げて「飛び込んでこい」のポーズを取って言う。
「私は、全世界の諸君の力を欲する。有能な者は出身地も身分も問わず抜擢しよう。意欲ある者には力量に見合った仕事を与えよう。世界を、この地球と人類を守ろうという強い意志と献身の心ある者は来たれ! この世界を守るための聖なる戦士を、騎士を、私は求める。彼らに武器を、矢弾を、兵糧をもたらす生産への献身を、私は求める」
そこで一度言葉を切って、思い切り息を吸うと、拳を天に突き上げ気合いを込めて叫ぶ。
「時は来た! 今こそ立ち上がる時なのだ!! 私はここに、汎人類統一政権『地球帝国』の成立と、その初代『総統』に就任することを宣言する! 母なる地球を守るために、立てよ、地球人よ!!」
ここで、カメラが引き、演壇を含めた全景が映し出される。記者会見場ではなく、大きなホールの演壇だったようだ。演壇の前には帝国軍の軍服を着込んだ軍人が演壇に向いて整然と整列しており、最前部では逆に彼らの方を向いて騎士服を着込んだ高級士官が並んでいる。その中には、先にアップになったリヒトやヒカリの顔も見える。
まず、前方に整列している高級士官が一斉に右手を高々とさし上げ~いわゆるナチス式敬礼~をして叫ぶ。
「我らの、ルードヴィッヒ様のために!!」
…これはOVA版の巨人な奴だな。続けて、整列した兵士たちが同様に右手をさし上げて叫ぶ。
「地球帝国万歳! ルードヴィッヒ総統万歳!!」
「地球帝国万歳! ルードヴィッヒ総統万歳!!」
万雷のごとき歓声を聞きながら、僕は思う。やっぱ最後は「総帥の演説」で締めたか、でも「橋本真也」も入ってたよなあ、ルードヴィッヒも前世ではプロレスファンだったんだろうか、と。
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「探知波、発振しました」
「ようやっと直ったか」
探知機の端末をのぞき込んでいたクラリッサさんの報告に、ホッとしたように答える父さん。一番手間取っていた魔力波探知機の主発振装置の修理がようやく完了したようだ。かなり広範囲をカバーする探知機なので規模も大きく、その分細かい配線とかも多いので修理が手間取っていたのだ。もう、すっかり日は落ちてしまっている。
ルードヴィッヒによる全世界向けの「所信表明演説」を聞いて何となく虚脱した気分になったものの、それで何が変わるワケでもなく、僕たちは研究所の設備の修理を続けていた。AGは一番最初に直している…というか、元々壊れてなかった。層の厚いオリハルコリウムがシールド代わりになっていたのだ。通信が切れたのは相手側の通信機が壊れたからだった。僕の頭に衝撃が来たのはAGと同調していて外部の魔力波を直接感じられる状態だったからなのだ。
ようやく、これで普通の警戒態勢に戻れる、と思ったとたんにクラリッサさんが叫ぶ。
「! 未確認飛行物体発見、数は4機、16時の方角、距離4万メートル、推定時速400キロ、直線コースで接近中です! 3機は、一眼巨兵。先頭の1機はAGクラスの大きさですが、一眼巨兵と反応が違います。イモータル市到達まであと6分」
「総員第一種戦闘態勢! 玻璃障壁展開! ブレバティチーム緊急発進!」
「了解、瞬間移動!」
即座に父さんが命令する。すぐに僕は格納庫へ転移してドラゴンに乗り込む。館内放送でマーサさんが第一種戦闘配置を伝達するのを聞きながら、起動して認証をかけ、各種基本魔法を唱える。昼の戦闘でほとんど空になった魔力量は、もう7割方回復している。
「ドラゴン、発進準備完了」
「緊急事態ですので単機先行を許可します。バリアは解除できないので、転移で抜けてください。よろしくて?」
「了解。ドラゴン、発進!」
マーサさんの指示を受けて即座に格納庫から出撃し、飛翔で飛び上がると玻璃障壁の間際まで飛び、瞬間移動でバリアを抜ける。正直、このバリアがどれだけ強力でも、瞬間移動を防げない限りはザルと同じなんだよなあ。
「要撃コースで会敵します」
「了解。未確認機の速度は変わらず。攻撃魔法反応あり。先頭機のみジグザグコースで飛行。戦闘中と推定。気をつけてね」
最短距離で迎撃に向かうことを申告すると、意外な答えが返ってきた。4機で攻めてきたんじゃなくて、先頭の1機を3機が追撃中なのか?
「要撃手順の省略を申請します。後方のが一眼巨兵なら、『敵の敵は味方』理論で」
本来は未確認機の要撃に際しては、まず誰何をかけて相手機の正体を探る必要があるが、そういう状況ではなさそうなので手順省略を申請する。
「手順省略を承認します。先頭機にも友軍機の識別信号はないので油断しないでね」
「了解」
そうこうしている内に、薄暮の空を飛ぶ魔力弾の光が見えてきた。薄暗くて見にくいが、先頭機はジグザグ飛行して後方からの魔力弾を避けているようだ。
「暗視」
暗視魔法をかけて様子を見ると、先頭のライトブルーの機体は全体的に直線的で一眼巨兵とは明らかに違う。確かに見たことがない機体だ。それに対して、後ろから威力の低い魔力弾を牽制的に撃っているのは、黒い一眼巨兵が3機。こっちは顔なじみだよ。
「闇散弾連続発射」
ちょっと遠いが、牽制も兼ねて闇系の魔法をバラ撒く。薄暮状態だから威力も落ちないし、何より視認しにくい。弾速は炎系と同じくらいだが、この状況では避けにくいだろう。魔力感知しているから飛んでくるのは分かるだろうが、これだけバラ撒いているなら個々の弾道までは読めまい。
「チィ、耐闇防壁!」
「うぉ、耐闇防…ぐわっ!?」
「ぬ、耐闇防壁」
アインとドライは咄嗟に闇属性の対抗防壁を張ったが、間に合わなかったツヴァイにはモロに直撃する。さすがに盾役のドライもツヴァイをかばっている余裕は無かったようだ。あいつらの実力を考えて、牽制攻撃でもそれなりに魔力は込めてあったので、直撃したツヴァイの一眼巨兵の胸や手足が大きく陥没している。胸の傷も残念ながら魔道エンジンまでは達していないようだ。
闇属性魔法は、基本的には相手のエネルギーを奪う魔法だ。魔力や、それが変換された光や熱などのエネルギーを相殺する。ただし、その性質上、光がある所では常にその光エネルギーと相殺されてしまい威力が落ちる。逆に今のような暗い状況ではそんなに威力は落ちない。エネルギーではなく物質に当たると、その分子結合力を奪って崩壊させる効果がある。このため大気中でも通過した部分にある気体の分子を崩しながら飛ぶので多少威力は落ちるが、これは微々たるもの。同様に地中から撃つと土の分子を崩しながら地上に出るので、以前にヒカリが使ったように地下からの奇襲にも最適だ。他の魔法だと土を崩すだけでエネルギーをかなり消費してしまうのだ。もっとも、そうした結合力の弱い分子には効果的でも、結合力の強い金属などに対しては威力が落ちる。このため、理論的にはかなり強力なはずなのに、生身の人類の魔力で使うと大して威力が出ず、不遇の属性だったのだ。ところがAGの膨大な魔力量を使って撃つと、この通りミスリウムの分子結合さえ破壊できる。
「久しぶりだね、ノイエ・シュバルツ・ゲシュペンストの諸君」
こっちに気を引こうと挑発気味に声をかけた…んだが、よく考えたらコレ、某宇宙戦艦の「総統」のセリフじゃん。ルードヴィッヒが総統とか言い出したんで引っ張られたかな。
「ノゾミ殿か。あれだけの大魔法を使って、もう出撃できるとは。連射光線」
「ウチの充魔機は集魔効率がよくてね。それにブレバティは魔道エンジンも優秀なんだよ。ドラゴン・ブレード!」
会話しながらも魔法を撃ってくるが、アインが来ていると分かっていたので耐光防壁は展開済みだ。そのまま左腕で受け、逃げてきた機体とすれ違いながらドラゴン・ブレードを抜いて、アインに斬りかかる。
「させん!」
「くらえっ!」
案の定、ドライがカバーに入り、それと同時にツヴァイも斬りかかってくるが…
「「「連射光線」」」
真上から放たれた光魔法がノイエ・シュバルツ・ゲシュペンストの3機を貫く。瞬間移動で直上に転移してきたロプロスとペガサス2機が、それこそ相手のお株を奪うように見事に統制のとれた3機編隊で翼をひるがえして急降下しながら魔法を撃ってきたのだ。さらに…
「「「雷撃」」」
地上からは、同じく瞬間移動で現れたドラグーン3機による雷魔法の対空迎撃だ。そして…
「トライデント・ミサイル!」
とどめに、正面に転移したカイが投擲したトライデントがドライの盾を貫通する。
「無念! 引くぞ、瞬間移動」
「「瞬間移動」」
満身創痍になった黒い3機が転移して消える。
「さて、そこの所属不明機、貴殿は十カ国連邦の領空を侵犯している。敵意がない場合は、すみやかに停止して所属と目的を明らかにされたし」
ライトブルーの機体に呼びかけると、すぐに停止して答えてきた。
「敵対の意志はありません。わたしは北コロンナ合州国陸軍第701特務連隊所属、アニー・エリック中尉です。貴国への政治亡命と軍事援助を希望します。それから、我が軍の魔道艦の受け入れもお願いしたいのですが」
女性パイロットだったのか。まあ、ほぼ予想していた答えの範囲内だな。だが、「エリック」だと?
「了解した。私は十カ国連邦ヤマト皇国ヘルム私領軍所属正騎士、ノゾミ・ヘルムだ。当方の責任者に連絡するので、とりあえず着陸して待機して頂きたい。ところで、『エリック』ということは、大統領の親族か?」
「了解しました。それから、わたしはトーマス・エリック大統領の娘です」
うお、何と娘か!? 予想以上に大物だ。ちょっと言葉遣いが横柄だったな。丁寧にしよう。
「それは失礼しました。相応の待遇をご用意いたしますので、しばらくお待ちください」
「今の私は一介の士官に過ぎません。過度の待遇は不要です」
非礼を詫びたところ、あまり気にするなと言われたが、そうもいかんよなあ。
「ロプロスとペガサスは上空警戒、ポセイドンとドラグーンは地上で護衛を頼む」
護衛指示を出して、青い機体とポセイドンと一緒に地上に降り立ちながら、拡声を切ってマーサさんに連絡をとる。
「未確認機の所属と目的を確認。北コロンナ合衆国所属のアニー・エリック中尉。大統領令嬢だそうです。目的は政治亡命と軍事支援および魔道軍艦の受け入れ。とりあえず受け入れるかどうか司令に確認をお願いします」
「大統領令嬢!? 了解しました」
さすがにマーサさんも驚いたようだが、すぐに冷静さを取り戻す。そして、通信機から父さんの声が聞こえてきた。
「ある意味予想通りだったが、大統領令嬢とはな。もちろん軍艦も含めて受け入れOKだ。軍事支援については即答できんが、政治亡命については十人委員会から受け入れるように命令が来ているから心配しないよう伝えろ」
「了解、連れて帰るよ」
父さんに答えてから、再び拡声をかけてアニー中尉に伝える。
「軍艦も含めての受け入れについて、司令の許可を受けました。イモータル市にご案内いたします。軍事援助については今後の交渉によりますが、政治亡命については十人委員会から受け入れ命令が出ているようですので、ご心配なく」
「ありがとうございます。それでは、魔道艦を呼び寄せます」
彼女も拡声を切って連絡したようだ。すると、すぐに大規模な転移反応を感じる。上空を見ると、巨大な艦影が見えた…のだが!?
予想していたシルエットとは異なる、葉巻型の細長い艦体に、小さな司令塔。その横にはご丁寧にも昇降舵がついている。艦尾には十文字の方向舵と昇降舵。色は濃紺の海洋迷彩色。司令塔の前後に半球型のふくらみがあるのが気になるが、それ以外はどこをどう見ても潜水艦なのだ。それが宙に浮いている。
「我が合州国海軍の最新鋭魔道潜水艦『シーサーペント』です」
少し自慢気に言うアニー中尉の声を聞きながら、僕は思わず口の中でつぶやいていた。
「魔道戦艦はまだ分かるけど、これが空を飛ぶのって何か違うんじゃね?」
次回予告
政治亡命してきたアニーたちに協力することになったノゾミたちヘルム私領軍。その最初の任務は、北コロンナから移送されるアニーの父、トーマス・エリック大統領の救出作戦だった。
「しまった、謀られたか!?」
暗号解読の結果から奇襲をしかけたはずが、待っていたのはリヒトとヒカリが率いる精鋭部隊だった。果たして、救出作戦を成功することはできるのか!?
次回、神鋼魔像ブレバティ第14話「大統領救出作戦」
「これって何か違うんじゃね!?」
エンディングテーマソング「転生者たち」
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来週も、また見てくださいね!




