しあわせをさとりて
先日の活動報告で言っていた東方Projectの古明地さとり短編SSです。
感想5件とか言ってたけど、期待されてると思ったら我慢できなかった。後悔はしていていない。むしろ、公開してる。
初めまして、今回のメインキャラである『小五ロリ』こと古明地さとりです。
「・・・って誰ですか人の書類にこんなの書いた人は表に出なさい。ふぅ・・・とりあえず一段落ですね。」
ここ地霊殿の主である私はいつも通りに自室で仕事をしていました。
「それにしても最近は仕事が心なしか増えた気が・・・おそらく気のせいだと思いたいのだけれども・・・」
私がこう思うのも無理は無いのです。つい先日ペットであるお空が山に住み着いた神から八咫烏の力を得た事で間欠泉と一緒に怨霊があふれ出したときに地上と一悶着あったからである。
全面的にこちらが悪いので言い返そうにも出来ないのが辛いところですね・・・私の監督不行届が原因でもあるのですが・・・
「それにしても、あの子にはもう少し考えてから行動して欲しいですね・・・まぁ、それがお空らしいから構わないんですけど・・・」
基本的に放任主義なのであまり気にしてはいないのですよ。小さい事は気にしないのが吉です。何事も大きい方がいいなんていうのは大きな間違いなんですよ!!私は別に好きでこんな大きs・・・こほん、少し取り乱してしまいました。
とりあえず一段落ついたので少し休むついでに本でも読もうと考え、んーっ、と背伸びをしながら椅子から立ち上がり読む本を物色していると昔よく読んでいた本があったので手に取ってみた。
「ふふ・・・昔はよく読み返して練習したものです。この本の内容は大分使えましたね。これがあるから今の私があるといっても過言ではないかも知れませんね。」
その私の愛読書でもある『心理的に追い詰める有効的な言葉責め100の方法』を戻そうと棚に目を落とすと・・・
「あら、これは・・・」
ふと、背表紙に何も書かれていない少し煤けた感じの古い装丁の本があった。
見覚えがあったので手に取り表紙を見ると・・・
「くすっ・・・そういえばあの日からずっと放ったらかしでしたね。」
そこには『diary ~3rdeye's mamory~』と書いてあった。・・・え?あれ?私diaryの横にこんなこと書いてましたっけ?明らかにdiaryだけでいいですよね?・・・危うく黒歴史になるところでした・・・後でなんとかしましょう。
「ま、まぁ・・・読むついでに久しぶりに書いてみるのもいいですね。」
もとい中身を確認しないと後で地雷を踏むことになりますからね・・・私はその日記を机に置き、色々あって喉が渇いていたので飲み物を取りにキッチンに向かいました。
「あ、お姉ちゃん。どしたの?」
キッチンに入ろうとしたらこいしが止めてきたので話を聞くとどうやらキッチンが荒れているらしく入ってはいけないそうです。
「紅茶が欲しいんだけど・・・」
「うん、分かった。ちょっと待っててね?」
と言って淹れてきてくれたので、ありがとうとお礼を言って自室に戻ることにした。
戻ろうとしたときにこいしが少し口の端を上げて笑った気がしましたが気のせいですかね?
*
今淹れてもらった紅茶を机に置き日記を開いてみる。うん流石は私の書いた文字きれいに書けてますね。ってそうじゃなくて早く中身の確認をしないと・・・
意を決して日記|《黒歴史》を開いてみました
ぱらっ・・・
〇月△日
心機一転という事で今日から日記を書いてみよう。
地底でも相変わらずの嫌われ者だった私達は紆余曲折を経てここ地霊殿にやって来た。
街から離れているので物好きな妖怪でも来ない限りは心を読むことがないので安心して生活できるので良かったが、ここに来る途中で妖怪達が「やっと厄介払い出来る」「早く行ってしまえ」「幼女ハァハァ・・・」などと、心の中で気に食わない事をのたまっていたのでトラウマ+αでもして見せしめにしてやろうかと思いましたが、安住の地が出来たという事で不問にしてやる事にした。
明日からは地霊殿の主としての仕事をしっかりと覚えていかなければならないので今日はこのぐらいにしておこう。
「そういえば、こんな頃もありましたね・・・」
「・・・あの頃はお空やお燐も居なかったので地獄跡の管理や書類仕事やらで目が回りそうな毎日でしたね・・・それにしても私って昔はこんなにアグレッシブでしたっけ?あとでこいし達に聞いてみましょう。」
ぱらっ・・・
▲月□日
仕事帰りに地獄跡を歩いていると一匹の野良猫と一羽の烏が寄ってきたのでどうしたのかと心を読んでみるとどうやらお腹が空いていたようなので、家に連れ帰って餌をあげてみると喜んで食べていた。
あ~・・・ペットって癒されますね~妖怪とか人と違って嫌な目で見てきたりしないし、心を読んでも気持ちを分かってくれるからということで好かれるし、何より可愛いのがいいです。可愛いは正義!
ここに住むかどうか聞いてみると「気に入ったから住む」と言ってきたので飼うことにしました。
名前を付けてあげると喜んでくれた。どうやら気に入ったみたいですね。明日からの励みになりそうですね。
「確かこのときに拾ったのがお燐とお空でしたね。あの頃はこんなに立派になるなんて思ってもいませんでした。・・・お空はちょっと胸部装甲も立派ですけど・・・ねたましい・・・」
ぱらっ・・・
☆月×日
今日もペットを拾いました。まぁ動物ですから食事の量も知れているので、一匹や二匹増えても問題ないですね。
心のオアシスは大切ですからね。やってる仕事も仕事ですし。猫、可愛いよ猫。
この子にも名前を考えなくてはいけないですね。
「あの子も可愛かったな~さて、続き続き。」
ぱらっ・・・
□月○日
また今日もペットを拾いました。まぁ動物ですから食事の量も知れているので、一匹や二匹増えても問題ないですね。
心のオアシスは大切ですからね。やってる仕事も仕事ですし。犬、可愛いよ犬。
また名前を考えなくてはいけないですね。
「・・・あれ?嫌な予感が・・・」
ぱらっ・・・
○月×日
またまた今日もペットを拾いましたそれも三匹。猫がいっぱいです。ま、まぁ動物ですから食事の量も知れているので、二匹や三匹増えても問題ないですよね?
心のオアシスは大切ですからね。やってる仕事も仕事ですし。猫、可愛いよ猫。
またまた名前を考えなくてはいけないですね。
「・・・この感じだとまさか・・・」
ぱらっ・・・
▽月□日
またまたまた今日もペットを拾いましたそれも今度は六匹。内訳は猫四匹に鳥一羽に犬1匹・・・ま、まぁ・・・ど、動物ですから?食事の量も知れているので、五匹や六匹増えても問題ないですよね?ね?
こ、心のオアシスは大切ですからね。やってる仕事も仕事ですし。猫も犬も鳥も全部可愛いよ。
いっぱい名前を考えなくてはいけないですね。
「・・・うわ~・・・」
ぱらっ・・・
×月○日
またまたまたまた今日もペットを拾いましたそれも今度は大台の十二匹。カルガモの一家を連想してしまうのはしょうがない筈です・・・ま、まぁ・・・ど、動物ですから?しょ、食事の量も少ししんどくなってきましたが、動物ですから増えても問題ないですよね!?ね!?
こ、心のオアシスは大切ですからね。そろそろ満杯の気がしますが・・・やってる仕事も仕事ですし。ペット、可愛いよペット。
またまた名前を考えなくてはいけないですね。
「・・・・・・」
ぱらっ・・・
▲月□日
またまたまたまたまた今日もペットを拾いました。こn
ぱらっ・・・
☆月○日
またまたまたまたまた今日もペt
ぱらっ・・・
◆月□日
またまたまたまたまたm
ぱらっ・・・
□月△日
またまたまt
ぱらっ・・・
○月■日
にゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー
ぱたん・・・
「・・・・・・」
よーし、落ち着け私。これはきっとアレなのですね。多分ちょっと鬱が入ってただけなのでしょう。うん、そういう事にしましょう。
ちょ、ちょっと、この辺は飛ばしましょうか・・・黒歴史的なものがあると困りますがもっとやばいものも見つかりそうですからね・・・
ぱらぱらぱらぱら・・・
□月×日
ペットが間違いなく増えてきました。とてもたくさん増えましたが中でも一羽の烏と一匹の猫は他のペットよりも賢いようです。それに他の子たちもこいしと遊んだりしている。
これで少しでもこいしが昔のように戻ってくれれば良いのですが・・・気にしても始まりませんね。
あと、最近よくこの二人が「さとりさまの力になりたい」と心の中でよく思うようになりました。まったく健気で可愛い子達ですね。
さて、じゃあこう思ってくれるこの子達のためにも明日からはもっともっと頑張らなくてはいけませんね。
「懐かしいものですね・・・もう何年前になるのでしょう・・・」
ぱらぱら・・・
物思いにふけりながらページをめくっていると・・・
「う・・・これは・・・」
☆月△日
今日はとても嬉しい事がありました。何とお空とお燐が人型になれるようになりました!!
それだけでも嬉しいのですが、あの子達はかねてより考えていた様に私の仕事を手伝ってくれると言うのです。
流石の私もこれには喜びを抑え切れなくなって二人に抱き付いて泣いてしまいました。
二人も私と抱き合いながら泣いていました。二人もやっぱり嬉しいんですね。
でも、二人に抱き付いてる時に「可愛い」とか「さとりさま柔らかい」とか思われていたのがすごく恥ずかしかったのは秘密です。
「・・・今思い出しても恥ずかしいですね・・・あの頃の自分に何故抱き付いたのか聞きたいくらいです・・・」
この翌日から二人は地獄跡の管理をしてくれる様になりました。
最初は失敗をしたりして大変でしたけど教えていく内に、徐々に二人だけでも失敗せずに出来るようになったので私も自分の時間を少しずつ取れるようになったんですよね。
あとお燐、胸を見ながら揉みたいなどと思わないで欲しいですね。あの子の思考はたまにお空よりすごいのが難点です。
ぱたん・・・
「地霊殿に来てから・・・こんなにいろんな出来事があったんですね・・・ほとんどがペット関連なのはどうかと思いますけど・・・」
・・・今思えば私はこいしだけでなく、お空やお燐それに他のペットたちがいるから此処まで頑張れたんじゃないのかと思いますね。
「こいしを守るために地霊殿に来て、お空やお燐を守るために今まで以上に怨霊や地獄跡をしっかりと管理したり・・・私はちゃんとあの子達を守れてきたのでしょうか?」
きっとお空やお燐は「大丈夫です」と言ってきそうだけど・・・こいしはどうなんだろうか?
あの子は過去にさんざん迫害されたせいで目を閉じてしまった・・・でも、最近は地上の魔女や巫女と話したりして色々な物に興味を持つようになり少しずつ昔のように戻りつつあるように感じますが・・・
「結局のところ・・・私はこいしに何もしてあげられなかったんですね・・・こいしが昔のように戻りつつあるのは地上との交流が大きな要因であり、私はそれに全く関わっていないのですから・・・」
・・・あの子は本当に幸せなんだろうか?私はこいしに幸せになってもらうためにこれまで頑張ってきたけどあの子は幸せになれたのでしょうか?でも私にそれを調べる方法はないのですね・・・私の能力もあの子には意味がないですからね・・・
「・・・あなたは今、しあわせですか?・・・こいs「呼んだ?」ひゃあっ?!って、こいし?もう!いつもあれほど驚かさないでって言ってるでしょう?」
まったくこいしには困ったものです・・・いつもいきなり現れるんですから・・・
「あははっ。ごめんごめん、で何?」
「それは、その・・・」
「ん?なになに~おねえちゃん?」
ここはやっぱり尋ねるべきでしょうね、今まで出来なかったことを今から始めてみるのも悪くないかもしれません。
例え、それが原因で私が・・・こいしに嫌われても・・・
「・・・こいし、今あなたは幸せ?」
「・・・なんでそんなこと聞くの?」
「昔書いてた日記を見つけて読み返しているうちに思ったんです。で、どうなんですか?」
お願いこいし・・・「幸せだよ」といつもみたいな笑顔で言ってちょうだい・・・
「ん~・・・ちょっとついて来てくれるかな?」
「え?何故ですか?」
「ちょっと、ここじゃ言いにくいんだよね~。」
こいしにも事情か何かがあるのでしょう・・・
「・・・わかりました、行きましょうか。」
「うん!じゃあちゃんとついてきてね?」
でも・・・何故、今ここで言ってくれないのでしょうか?ここには私たち以外に誰もいないというのに・・・
*
「さっ、着いたよ。おねえちゃん。」
「え?ここは・・・」
こいしがつれてきた場所・・・そこは・・・
「居間じゃないですか?」
「うん、そうだよ~。」
え?いや、ここなら私の部屋の方が良いような・・・そう考えている内にいきなり部屋の電気が真っ暗になった。
「おや?なんでしょう・・・停電でしょうか?お空ったら、また・・・」
「ちがうよ、おねえちゃん。」
どうやらこいしは何かを知っているようですが、一体なんなんでしょう?そう思っているといきなりドアが開いたのでそちらを見ると・・・
「「さとり様、お誕生日おめでとうございま~す!!」」
「おねえちゃん、お誕生日おめでと~~!!」
「え?え?これは・・・一体・・・」
訳が分からず辺りを見てみると、ふとカレンダーが目に留まりました。そして・・・
「あ・・・そういえば今日は・・・私の誕生日でしたね・・・」
「いまごろ思い出したの?おねえちゃんも抜けてるよね~自分の誕生日忘れちゃうなんて。」
「う・・・悪かったですね・・・」
「今日一日かけて頑張って作ったんですよ~。ねっお空?」
「うにゅ。そうそう、さとり様に喜んでもらうために頑張って力を合わせて作ったんですよ~」
二人が持ってきたケーキを見た後に二人をよく見ると体のいたるところにクリームがついていた。
「もしかして今日キッチンに入らせなかったのは・・・」
「たぶんおねえちゃんの考えてる通りだと思うよ~」
あの紅茶を淹れにいったときに止めたのはそれが理由だったのですね・・・
「ありがとう、こいし。お空にお燐もありがとう。」
「いえいえどういたしまして。」
「うにゅ。喜んでもらえた。」
「そういえばさっきの返事・・・してなかったよね?」
そうだった・・・まだ大事なことが終ってなかったんですよね・・・
「どうなんですか、こいし・・・」
「ふふっ・・・ちょっとこっち来て。」
こいしに手招きされたので近寄ってみると・・・
チュッ・・・
「ふぇ?!な、なにを・・・」
い、いきなりキスをされました・・・どういうことなんでしょうか・・・まったく訳が分からないです・・・
「ふふっ幸せだよ。すっごく幸せ!!だってお空やお燐、地上の皆といっぱい話が出来るし・・・何よりも大好きなお姉ちゃんがいるから今すごく幸せだよ。」
「私も幸せですよ、さとり様っ!」
「うにゅ、私もです!」
・・・どうやら私が気にする必要はなかったようですね・・・私の大切な人はみんな幸せだったんですから。
「ほらほらおねえちゃん。はやくローソクふきけしてよ~」
「あんまり急かさないで・・・ふ~~っ」
「おめでとうございます、さとり様!」
「おめでとうございます!」
そしてそんな大切で幸せな人達に祝福されている私もきっと幸せなんだと思います。
ありがとう。お燐、お空、地霊殿のペットのみんな・・・そして、こいし。これからもみんなが幸せでいられるといいですね。・・・いいえ、私が絶対にしあわせにしてみますよ。どんなことがあっても・・・
Fin?
「あれ、そういえばお昼は私が作ってたから・・・二人は昼食の後にケーキを作り始めたの?」
「そうですよ~さとり様」
「すっごく大変でした!おいしいですか?」
「たしかにおいしいね~。ね、おねえちゃん。」
「ええ、そうね。ところで二人がお昼からキッチンにいたのなら・・・お昼からは誰が地獄跡の管理をしてたの?」
「「・・・・・・あ。」」
「まさか忘れてた訳じゃないですよね?」
「「えと・・・その・・・」」
「二人とも~?」
「「あははは・・・あは・・」」
ダッ!
「あっ、にげた。」
あ・・・逃げた・・・じゃなくて!
「お空!お燐!待ちなさい!」
「む、無理です~~!」
「うにゅ~~~!」
「あははははははっ!!」
どうやらみんなを幸せにしていこうとするにはすごく頑張らないといけない気がしてきました・・・
ですが・・・このぐらいの苦労でみんなが・・・『家族』が幸せになれるなら・・・頑張れると思います。
皆さんにもそんな風に思える人が・・・いますか?
Fin
P.S. 猫可愛いです。猫。
受けが良かったら次もやるかもしれないけど、きっとそんな日は来ない。