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第2話 -6day

【事件発生6日前】8月25日(月)



 夏休みも残り一週間をきり、学生たちにとって慌ただしい日々が始まろうとしている。夏休みの課題。まだ、終わらせていない人が大勢いることだろう。最終日に慌てて友達や家族に泣きながら手伝うを乞う姿が目に浮かぶ。


「お兄。なにぼーとしてんの?」


 目に浮かぶ人物こそここにいる我が妹だ。つかさは毎年課題を最終日まで終わらせた試しがない。早くから取り掛かってればいいものを遊ぶことばかりで全然やらない。それで結局最後は両親と俺が手伝う羽目になるのが毎年の恒例。

 毎年泣きながら頼むくらいなら、少しは反省をしてほしいが、俺がいくら言ったところで“はいはい”と流される。おそらく今年もなのだろう。こいつが勉強してる姿を見たことがない。


「おまえの心配をしてんだよ。」


「私の心配?別に心配されるようなことないけど?」


「自覚がないなら、別にいいよ。ほら、お2人さんはもう来てるぞ。」


 待ち合わせの場所には2人の少女がいた。もちろんその少女たちは浅倉舞ちゃんと佐倉綾ちゃんだ。会うのは前回の買い物に付き合って以来だ。にしても・・2人ともかなり目立ってるな。舞ちゃんと綾ちゃんは美少女と言っても過言ではない。2人とも発育が良くスタイルが抜群に良い。なのでかなりモテるらしい。告白された回数はすでに2人で100を超えてるとか。たまに俺が2人と知り合いだと知った奴が紹介してくれと頼みに来たりする。如何に2人がすごいのかと再確認した。


「お待たせ!ごめん待った?」


「ううん。私たちも今来たとこ。」


 デートのお決まりを終わらせ俺たちは歩き出した。そう言えばまだ今日の目的を聞いてないな。付き合えって言われただけでどこに行くのかも目的もなにも聞いていなかった。


「なぁ今日はなにを買いに行くんだ?」


「え?別になにも買わないけど。」


 な、なんだと・・・なにも買わない。おいおい、それじゃあ何しに来たんだよ。わざわざ、和樹たちの誘いを断って来たのに。

 昨日の夜。つかさが出て行った後、俺は亮介に電話をした。内容は明日・・つまり今日行けなくなったと。亮介は“別にいいよ”と言ってくれたが、問題は和樹だ。今日もやろうとしていたエンドレスは別に4人でないとできないというわけじゃないが、これが和樹の良いところと言うか悪いところと言うか、4人でないと楽しくないと言うのだ。約束したのに急に来れなくなったということになれば小さい子供のように拗ねる。まぁ、そこは亮介がうまくフォローしてくれるだろう。


「で、なにも買わないってどういうことだ?」


「所謂、ウインドウショッピングっていうやつですよ。お兄ちゃん。」


「・・・それって俺もいなきゃダメか?」


 ウインドウショッピングに付き合えってそれってすごく退屈なんですけど。特に買いたい物がなくただ見て回るって当人たちはいいかもしれないが、付き添う側は苦痛でしかない。しかも1ヶ所に掛かる時間がやたらと長い。


「ダメです。今日は1日ちゃんと付き合ってもらいます♡」


「はい・・・」



〇〇〇



「ん?あれって・・・」


 店を4軒ほど回った頃ちょうどお昼になったので俺たちは近くのカフェに入った。そして、つかさたちが食後のデザートを食べている時俺はふと街頭ビジョンが目に入る。内容はミラーワールドについてみたいだ。



『8月31日。ミラーワールド中央サーバーにて夏休み最後の大イベントを開催します。詳細はファンタズムのホームページを――』



 へぇ~イベントか。和樹あたりが行こうと言いだそうだな。ミラーワールドではときどきこういったイベント事が催される。でも、中央サーバーでっては初めてだな。ミラーワールドには国ごとに1つサーバーがある。しかし、ファンタズムの本社があるここ日本にはもう一つ中央サーバーというものがある。ここは主にビジネス用みたいなところがあるから、普通の人はまず行かない。そんなところでイベントとは・・・


「お兄?どうしたの。」


「ん?ああ、なんか31日に中央サーバーでイベントがあるみたいでな。」


「中央サーバーでですか?珍しいですね。」


「うん。企業向けの展示会とかなら、やることもあるけど、一般向けは珍しい。」


「そんな話はもういいでしょ。そろそろ行くわよ。」


 我が妹はこの手の話題に興味が無い。つかさはミラーワールドには行かない。なんでも怖いらしい。現在でもダイバーを使用することに抵抗がある人は少なくない。今のところ事故らしい事故が起こってないからと言ってそれで安心とは100%言い切れないからな。だから、本当は俺がダイバーを使うこともつかさは反対している。


「それで今度はどこに行くんだ?」


「う~ん?どうしよっか?」


「その辺をゆっくりと見て周ろうよ。」


「そうだね。そうしよう。」


 どうやら、決まったようだ。しかし、適当に歩こうって・・・やること本格的に無くなったのかよ。俺は心の中で呆れてしまった。



〇〇〇



「ふう~疲れた・・・」


 買い物を終え俺は家に帰ってきていた。

 あれからいろいろ周って陽が傾く前に解散になった。そして、俺は夕食まで部屋でPCの前に座っていた。


「えっと・・ファンタズム社のHPはっと・・・」


 昼間、街頭ビジョンで見たミラーワールドの中央サーバーでのイベントのことを調べていた。内容を見てみるが、意味不明だった。街頭ビジョンで詳細はHPでと言っていたくせに詳しいこは全く乗ってなかった。分かるのは日時・場所くらいだ。日にちが迫った今なにをやるのか秘密ということはかなりレアなイベントなのか?



 俺がそんなことを思っているのと同時刻。ファントム社本社ではちょっとした騒ぎになっていた。




【ファントム社本社・専務室・】



「これは一体どういうことですか?」


「えっと・・そのどういうことかといいますと・・・」


 ファントム社専務、海堂俊也は目の前にいる部下に尋ねた。しかし、尋ねられた部下は返答に困っていた。


「中央サーバーでのイベント・・私は先ほど知ったのですが。」


「それは・・・企画第一課の方で進められているものですので、私にどうと聞かれましても・・・」


 ミラーワールド内でのイベントの類はすべて総務部企画第一課で管理されている。しかし、今回の中央サーバーでのイベントが上に報告されていなかった。


「企画課長の話ではちゃんと企画書は提出したと言っています。専務のところに来ていないとするとその間でなにかあったと推測はできますが・・・」


「なにか、ですか・・・」


 海堂は顎に手を添えて外を見た。自分で言うのもなんだが、私は大勢の社員に恨まれている。私こと海堂俊也はまだ28歳とかなり若い身でファントム社の専務となった。もちろん、やましいことなど一切ない。だが、こんな若造がと私を認めていない人はいる。今回の件も私を困らせるつもりで誰かがやったという可能性はある。しかし――


「まぁ、いいでしょう。」


 この手の事は初めてではない。それに社に被害が出るものは一切ないのでいちいち気にするときりがない。

 海堂は今回の事を気にしないことにした。


次回『-5day』

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