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この地に渡る風 外伝  作者: 成田チカ
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外伝2 「イサと陸」 終章

 …嬉しかったよ

 最後の最後にやっと、お前が俺の名を呼んでくれた

 お前に会えてよかった

 愛していた、イサ…


 イサは名を呼ばれたような気がして後ろを振り向いた。そこには大きな池の中に瓦礫の山が広がるだけだったが、イサはその瓦礫の合間に見覚えのある王冠を見つけた。質素な、飾り気の無いその王冠は、紛れも無く「王冠の間」に鎮座されていた鳳凰の王冠だ。だが、鳳凰亡き後、聖なる力を微かに宿しただけに留まっている。

「何か、見つけたのですか?」

 (くが)の声が背中の方から聞こえたが、イサは振り向かずに答えた。

「うん…。エスタの、本物の王冠…」

「本物…? ああ、それは鳳凰の冠ですね…?」

 陸はイサの肩に手を置くと、そっと自分の方へと引き寄せた。二人はしばらくの間、ただ黙って王冠を見つめていた。

 やがて、イサがポツリと呟いた。

「一緒に…埋めてもいいかな? これ」

 陸はイサの寂し気な横顔を見つめながら頷いた。

「ええ。そうなさい」

「うん」

 イサは瓦礫の山を転々としながら、少し水が浅くなっている場所を見つけると手で土を掘り、冠をその中へと埋めた。

 たった一晩で、エスタ王宮のあった場所は大きな水溜りと瓦礫の山と化した。三日が過ぎた今も、鳳凰も、エスタ王も、ウィレムも見つかってはいない。イサはウィレムに生き延びていて欲しいと願う。いつか、ひょっこりと現れて、いつものように「お前の茶が飲みたい」と言うのではないかと思う。だが、それと同時に心のどこかで、彼にはもう二度と会えないということがわかっている。彼はどうしてあの時、あの場所に留まることを選んだのだろうか。何故…?

「ウィレムに嫁いでたのがお姉様じゃなくて私だったら…。そうしたら、何かが変わっていたのかな?」

 ポツリと呟いたイサの言葉に、陸が優しく答えた。

「変わったかもしれませんし、変わらなかったかもしれません。それは、誰にもわからないことです。いいですか? 過去を悔やんでも、それは明日へと繋がりませんよ? イサ」

 陸の言葉に一瞬ハッとして顔を上げたイサは、陸の言った言葉を静かに数回反復すると、しっかりとした面持ちで陸に向き直った。

「うん…。そうだね」

 イサは立ち上がると、陸を真っ直ぐに見つめた。その瞳は少し赤かった。

「本当のこと、言うとね? 私、ウィレムに惹かれていたのかもしれない。だから、あの人の側にいるのが時々怖かったんだと思う」

 陸はフッと柔らかく微笑むと、頷いた。

「そうでしょうね」

「えっ? 知ってたのっ? 何で?」

「私はあなたの庇護龍ですよ? あなたのことは、何でもお見通しです」

 陸が得意気にそう言うと、イサが膨れっ面になった。

「陸のスケベ!」

「なっ…!」

 陸が咄嗟にイサの腕を掴んで抱き寄せた。陸の腕の中で、イサが必死にもがいた。

「は~な~し~て~よぉ!」

「だめです」

「どうして?」

「あなたは放って置くと他の男に惹かれるわ、私の目の前で口づけするわで、手に負えませんから」

「あ、あれは…、その…」

 イサが口籠もって俯きながら少し大人しくしていると、陸の大きな手がイサの頬を包んだ。その手に導かれるようにイサが顔を上げると、そこには陸の顔がすぐ目の前にあった。陸の瞳は、笑っていない。

「私が、腹を立てていなかったと思っていますか?」

「…ごめんなさい」

 しおらしく謝るイサだったが、陸は余程怒りが溜まっていたのだろう。珍しく、怒りをあらわにしている。

「私は、気が気じゃなかったんですよ?」

「だから、ごめんってば」

「どうしてあなたはそんなに無防備なんですか」

「誰にでもってわけじゃないから!」

「私以外はダメです!」

 顔を真っ赤にしながら言い切った陸を見ながら、イサが堪えきれずに笑い始めた。

「プッ。あはは、あはははは」

「な、何が可笑しいんですか!」

「だ、だってぇ~」

 イサは少し笑いを抑えると、微笑みながら陸の頬を両手で包んだ。

「陸ってば、意外と可愛いんだもの」

「か…! え?」

 イサの唇が陸の唇に軽く触れた。顔が離れると、イサは微笑みながら陸に言う。

「もう、迷うことなんか何も無いから。あなただけだから」

「…本当ですね?」

「うん、本当…。ずっと側にいてね、陸」

 陸はフッと優しく微笑んだ。

「もちろんです。お忘れですか? 私はあなたの庇護龍でもあるんですよ?」


 混乱していたエスターナの街も、次第に何とか落ち着きを見せてきた。

 王宮にいた人々のほとんどが何とか逃げ延び、その中には王族も何人か含まれてはいたが、彼らは見事な瓦礫の山と化した王宮を、ただ呆然と眺めているだけだった。

 エスタ王家の隠し財宝は、全て瓦礫と水の底へと沈んだ。誰かがいずれは掘り返すかも知れないが、イサと陸はそれらの存在を誰にも話す気は無い。

 あの晩王宮を襲った「砂漠の守人」は、あの混乱の中で大勢の王宮の人間の救出に当たったことが幸いして、英雄のような扱いを受けていたが、プリシラに言わせると「英雄ぶってる場合ではありませんわ。今しっかりと基盤を作っておかないと、騒ぎが一段楽した後にどうせまた混乱が起きますもの。今のうちにエスタの進むべき方向をしっかりと示しておく必要があるのですわ!」ということで、彼女は仲間達と忙しそうに街中を駆け回っている。

 イサは王宮跡からの帰り道に忙しそうに早足で街中を横切っていくプリシラと彼女の仲間達に遭遇した。

「あ、プリシラ!」

 プリシラはイサの声に振り返ると、微笑みながらイサたちの方へと駆け寄ってきた。

「イサ! 申し訳ございませんわね。あなた方に怪我人のお世話をお願いしたままで」

 イサ達はエスターナに残り、あの晩に負傷した人々の手当てを率先して行なっていた。

「いいのよ、それくらい。そっちはどうなの?」

「大分、落ち着きましたわね。商人達はともかくとして、貴族連中を説得するのには時間が掛かりましたけれど。あら、『元』貴族でしたわね。おほほほほ!」

 高笑いをするプリシラに対して、イサは呆れたように溜息を吐いた。

「あんたも、いい性格してるわよねぇ…」

「あら、当然ですわ。でも正直な話、こんなに色々とやることがあるなんて思いませんでしたわ。国を治めるということを、存外に軽く考え過ぎていたのですわね、私達。でも、やりがいがあるから楽しいですわ」

 そう言うプリシラは王宮で暮らしていた頃よりいくらか痩せてしまってはいたが、瞳は生き生きと輝いている。それは、プリシラと今一緒にいる彼女の仲間達も同じことだ。

「あなた達なら、きっと乗り越えていけると思うわ」

 イサがそう言って微笑むと、プリシラは「当然ですわ!」と言って微笑んだ。

「そう言えば、もうそろそろヤマトへ発たれるのでしょう?」

 プリシラの問に、イサと陸は同時に頷いた。

「ええ。お姉様の容態も落ち着いてきたし。そろそろ帰らないと私の父も心配するから」

「そうですわね。寂しくなりますわ」

 少ししゅんとした様子のプリシラの背後から、プリシラの仲間が彼女を呼ぶ声が聞こえた。

「あ、私、行きませんと。また後で!」

 プリシラはそう言うと、イサを離れ、仲間と共に去っていった。

「彼らはきっと、この国を本来あるべき姿にすることができるでしょうね」

 プリシラと仲間達の後姿を眺めながら陸がそう言うと、イサが頷いた。

「うん。鳳凰はいなくなっちゃったけど、私は彼らの加護を、この地にまだ感じることができるわ。きっと、彼らが正しい道を歩む限り、鳳凰が守ってくれると思うの」

 イサと陸は何かを感じ取るように、しばらくじっと空を見上げていた。穏やかな空気が流れ、その中を二羽の小鳥が楽しそうに飛んで行った。

 陸は微笑みながらイサに言った。

「さ、行きますか。随分と遅くなってしまった。カヤ様がお待ちでしょう」

「うん…」


 二人はエスターナの市街地から少し離れた所にある小さな家に辿り着いた。そこはジークの持ち家で、カヤは塔からキリに運ばれて王宮を脱出した後、合流したジークによってここに運び込まれていた。

 イサが扉を軽く叩くと、キリが扉を開けた。

「あ、キリ。来てたの?」

「ええ。焔と一緒に少し様子を伺いに。そちらは、お二人で出掛けていらっしゃったのですか?」

「うん。王宮跡を見てきた」

「……」

 イサと陸が王宮から脱出した後、取り乱した状態だったイサの面倒を看てくれたのがキリだった。落ち着きを取り戻してから、イサはキリと焔に事の始終を全て話した。それ以来、キリはイサを静かに見守ってくれている。

「お別れ、してきたの」

 キリは少し躊躇いながら尋ねた。

「…ウィレム様と、ですか?」

「うん」

 キリは何も言わずに、そっとイサを抱き締めた。それと同時に、イサの目から涙がこぼれ始めた。あれ程泣いたのに涙は枯れることがないのかなと、イサは泣きながらぼんやりと考えた。


 カヤは寝室に横たわり、その横でジークが本を読んで聴かせていた。ジークの穏やかな声が、泉の水のように部屋の中を満たしている。切りのいいところまで読み終えたジークの声が途切れると、イサがカヤの手を取りながら声を掛けた。

「御気分はいかがですか? カヤお姉様」

 イサの問い掛けに、カヤが穏やかに微笑みながら答える。

「今日は気分がとてもいいの。多分、もうすぐ動いても大丈夫だと思うわ」

 イサはカヤに向かって頷くと、彼女の額に触れて熱を測った。脱出した直後に少し高熱が出ていたが、今ではすっかり良くなっているようだ。それでも、まだ顔色が少し悪い。

「やはり、お姉様は陸路で戻られた方がいいんじゃ…?」

 イサの言葉に、カヤがはっきりと首を横に振った。

「私なら大丈夫よ。それに、陸路だと時間が掛かり過ぎるわ? 休憩の回数を少し多めにしていただければ、私も一緒に龍に乗って帰れます」

 カヤは妊婦を龍に乗せるのを懸念したが、カヤは一刻でも早くヤマトに戻りたいと言う。イサが困ったような顔をすると、ジークが苦笑しながら言った。

「私も何度か説得を試みたのですが…。お役に立てず、申し訳ありません」

 ジークの言葉に、カヤは少し身体を起こしながら言った。

「あら。クウヤの言うこともわかりますけれど、私は大丈夫ですもの」

 クウヤというのは、ジークの本名だ。

 クウヤは肩を竦めると、「何か飲み物でも持ってきます」と言って席を離れ、陸もそれに続いた。小さな部屋に二人きりになると、イサはクウヤが座っていた椅子に腰掛け、カヤの横たわる寝台の横の窓から外を眺めた。

「イサ。ごめんね?」

 不意にカヤが口にした台詞に、イサが困惑した様子で聞き返した。

「な、何を謝ってるの?」

 カヤは天井を眺めたまま答えた。

「私のために、怖い思いを沢山させてしまったわよね? 殿下のことも、王のことも。私がもっと、強ければ…」

 イサは黙って首を横に振ると、カヤに言った。

「お姉様。過去を悔やんでも、それは明日へと繋がらないわ。―って、これは陸の受け売りなんだけどね」

 少し照れながらそう言うイサを見て、カヤは羨ましそうに微笑んだ。

「あなたと陸は、しっかりと繋がっているようね。安心したわ」

 イサはカヤの言葉に頷くと微笑んだ。

「うん。彼だけが私と繋がっているの。だから、私はもう大丈夫。お姉様も、もう二度とジー…っと、クウヤを離しちゃダメよ?」

「…今度は、大丈夫かしら?」

 不安気に尋ねるカヤの手を取りながら、イサはニッコリと微笑んだ。

「大丈夫よ。だって、また巡り会えたじゃない」

「そうね」

 微笑みあう姉妹の様子を扉の向こうから垣間見ながら、陸とクウヤはお互いに微笑んでいた。

「これからが大変ですね」

 陸がクウヤの肩を軽く叩くと、クウヤがニヤッと笑った。

「お互い様ですよ」

「ああ、それは違いない」

 陸は小さな溜息を吐きながら言った。

「特に私の姫君は、ちょっと目を離すとどこかに飛んで行きかねないですからね」


 一行がヤマトへの帰路に着く日がやって来た。

 イサ達を見送るために、プリシラと彼女の仲間達がエスターナの入口に集まった。

「皆様、お元気で。旅の御無事をお祈り申し上げますわ」

 プリシラがそう言って頭を下げると、彼女の後ろに控えていた砂漠の守人達が一斉に敬礼をした。

「みなさんも、頑張ってね! エスタに変わらぬ鳳凰の御加護がありますように」

「ありがとう、イサ。また、会えるといいのだけれど」

 プリシラの言葉に、イサは意外だという顔をして答えた。

「あら、会えなくなるわけじゃないと思うわ? あなたがこの国を引っ張っていく力の一つになるというのなら、いずれはヤマトとの付き合いも出てくるでしょう?」

 イサの言葉に未来の自分達の姿を想像して、プリシラは瞳を輝かせた。

「ええ。そうね! そうしたら私、エスタの代表としてヤマトを訪れることもできるのだわ! 素敵!」

「その時は、私の友人としておもてなしするわ」

「友人…」

 イサとプリシラはお互いを見詰め合った。ほんの短い間でも、時間を共有した大事な友。二人はどちらからともなく抱き合うと、お互いの耳元で言った。

「また、会いましょう!」

「また会おうね!」

 イサとキリが地龍に変身した陸の背に、カヤとクウヤが火龍に変身した焔の背へとそれぞれその身を落ち着けると、二龍はゆっくりと空へと舞い上がり、徐々に加速をしながらエスターナの上空を後にし、一路ヤマトへと向かった。


**************


 初夏の光が眩しいある日。

「やはり、あなたにはいつも勝てませんのぉ」

 高齢の割には張りのある声でババ様がそう呼びかけると、こちらを背にして立っていた陸が振り向いた。

「ああ、お前か、トキ」

 陸の足元には、小さな墓標が建っていた。

「ここがババ様のお母様のお墓なの?」

 ババ様の後を付いてきたアヤが尋ねると、ババ様が微笑みながら答えた。

「ああ、そうじゃよ」

 小さな墓標の周りには、何やら緑色の葉が生い茂っている。

「何? この草…。百合?」

 訝しげに辺りを観察するアヤに、ババ様が笑いながら答えた。

「ああ。山百合じゃよ。ヤマトの北の方の山に生えとったのを、このお方が根こそぎ、ここに植えなさったものでな」

 ババ様の言葉に真っ赤になりながら、陸が弁解する。

「ね、根こそぎとは何です! 聞こえが悪いではありませんか!」

 ババ様は飄々とした態度で言う。

「おや? 違ったかの?」

「少しです!」

「50株は『少し』とは言わんぞえ。カッカッカッ」

「ご、ごじゅう…。陸、そんなに持ってきちゃったの…?」

 呆れた様子で言うアヤに、口籠もりながら陸が答えた。

「つ、妻が好きな花だったので…」

 照れている陸に微笑みながら、ババ様は墓前に色とりどりの花を供えた。

「アヤのお陰で、また花が供えられるようになったからのお…。ありがたいことじゃ」

「私も感謝していますよ、アヤ様。あなたのお陰で、私もこうしてまた、彼女の命日に墓前に参ることが出来る」

 二人から思いがけず感謝の言葉を掛けられ、アヤは照れながら山百合の葉を見た。まだ時期が早いのか、花は咲いていない。

「これ、いつ咲くのかしら」

 アヤの問に、陸が答えた。

「秋になると満開になりますよ。咲いたら教えて差し上げますよ」

 山百合の葉を眺めながら、ババ様が笑いながら言った。

「それにしても、この花も母様の如く、しぶとい花じゃのぉ…。あれだけ不毛の時期が続いたにも関わらず、もうこんなに葉を茂らせておる」

「ババ様、今いいこと言ったように聞こえたけど、『しぶとい』って…」

「母様は女の身で術式省の長となり、後に紫影の長としても手腕を振るったお方じゃで」

 得意気に自慢するババ様を見ながら、アヤは呆れたように溜息を吐いた。

「つまり、ババ様と同じなのね」

「ワシは母様の後を引き継いだだけじゃて」

「へえ~」

 面白そうに言うアヤを見て、ババ様が片眉を吊り上げた。

「アヤ。おぬし、この後術式の修行があることを忘れておるのではなかろうな?」

「あ! ごめんなさい! えーっと、素晴らしい方だったんですね~、ババ様のお母様!」

「カッカッカッ。そうじゃ。よろしい」

 墓標に向かって祈りを捧げると、三人は城へと向かって歩き始めた。

「陸、一つ訊いてもいい?」

 アヤが尋ねると、陸が頷いた。

「ええ。何です?」

「陸は龍で、歳を取らないでしょう? でも、奥様は歳を取っていったでしょう? その…、お互い、辛くなかった?」

 アヤの問に、宙を見上げ、何かを思い出すように陸が答えた。

「辛くは、なかったと思いますよ。私達は毎日楽しく過ごしました。確かに、彼女は歳を重ねて行きましたが、それでも二人で過ごし、思いがけなく子供を授かり、トキが生まれ…。私達は幸せでした。それこそ二百余年経った今でも、色褪せることなく様々なことを思い出せる程に…」

 陸の言葉に微笑んでいたアヤが、ふと頭に引っかかった言葉を陸に尋ねた。

「陸。さっき言ってた『思いがけなく』って…?」

「それはですね。精霊と人の間で子が生まれることは、なかなか無いことなのです。我々は、本来ならば、交わることの無い種族ですから」

「そう、なんだ…」

 そう言ったまま黙ってしまったアヤを見て、陸は少し慌てて補足した。

「ア、アヤさまは『精霊の娘』でもいらっしゃるわけですから、種族などはお考えになる必要はありませんが」

「うん…」

 歯切れの悪いアヤを見かねて、ババ様が横から口を挟んだ。

「アヤ。悩む時は悩めばええ。じゃがの、後で後悔が残らんようには心掛けなされ。過去を悔やんでも、それは明日へと繋がらんからの。そうじゃな? 『父様』」

 陸は「まいったな」と呟きながら微笑んだ。

 アヤは空を見上げながら色々なことに考えを巡らせた。アヤがやらねばならないことは、まだまだ山のように沢山ある。

「そうね。明日に繋げていかなくちゃ…!」

 アヤは城へと向かって小走りに駆け出した。

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