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あとがき・テーマ解説
あとがき・テーマ解説
──「誰かを大切にする」ということを、もう一度考える物語
この物語『君が笑ってくれるなら』は、恋愛のようでいて、恋愛だけではない「つながり」のあり方を描こうとした作品です。
主人公・相原誠とヒロイン・白石結、ふたりに共通するのは、「他者との関係のなかで、自分を見失ってきた」という痛みです。
誠は、人の期待に応えようとしてばかりで、自分の本音を置き去りにしてきました。
結は、過去の恋愛で心をすり減らし、自分の感情に蓋をして生きてきました。
ふたりは「偶然の出会い」を通して、やがて心の奥に踏み込むようになります。
でも、それは一気に距離が縮まるような劇的なものではありません。
むしろ、衝突し、すれ違い、傷つく過程があるからこそ、お互いに“自分自身と向き合う”時間が生まれるのです。