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オナラをするおばあさんの話⓹(完結)

モウゥ~ッ


子どもたちのいない牧場に牛の声が響きます。

どうやらもう一度乳を搾ってくれと言っているようです。ニワトリたちもコッコ、コッコと忙しそうです。まだまだ卵を産むのかも知れません。おばあさんは、甘えてくる牛のオッパイをぎゅうっと掴みました。


すると、何ということでしょう‼


さっきあれだけ出したのに、みるみるミルクが溢れ出て、牧場全体が白く染まっていくではありませんか。まるでスキー場です。そして、そのゲレンデに踏ん張るニワトリが二羽。


コロン、コロン、コロン……


と次から次に卵が産み落とされていきます。


何ということでしょう‼


ミルクと卵の甘い香りに包まれた牧場はまるでプリンです。その上に、日の沈む前から降っていた雪が生クリームのようにかぶさり、とても美味しそうなスイーツが出来上がりました。

あまりに美味しそうなので、おばあさんは、ほんの少し舐めてみました。

思った通りの味です。おばあさんの満足した顔に、牛とニワトリも嬉しそうです。おばあさんは、もう一度、牛とニワトリを撫でてハグしました。


歩き疲れてお腹いっぱいになったおばあさんは眠くなってしまいました。でも、雪は降り続いています。このまま眠ったら大変なことになります。おばあさんはそれでもいいと思っていました。やせ細った牛もおばあさんに寄り添います。二羽のニワトリだけがバタバタしています。

そのうちに、ニワトリのバタバタが、大きな羽ばたきへと変わりました。



すると、何ということでしょう‼


二羽のニワトリの身体が宙に浮き、羽が翼と呼べるほど大きく雪を跳ねのけています。舞い上がった二羽のニワトリは、それぞれおばあさんと牛を脚で掴むと、さらに上昇しました。そして、大きく羽ばたいて進みました。行先はもちろん汚染のない世界です。


牧場に子どもたちが戻ってきました。おじさんたちもいっしょです。プリンの香りにつられたのでしょうか? ちょうど夕飯前ですから、頑固なおじさんたちもお腹が空いていたのかも知れません。

子どもたちは生クリームだらけになりながら、プリンの中に顔を埋めています。おじさんたちも美味しそうに食べています。

「ミルキィだなぁ」おじさんが言いました。

「だって、おばあさんの特製プリンだもん」子どもたちが応えます。


やがておばあさんの牧場だった土地は、万年雪の食べられるスキー場として世界中からたくさんの観光客が訪れるようになりました。

成長した子どもたちは、スキー場の経営や牧場主になったり、養鶏場を営んだりしているそうです。(了)


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