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【詩集】Shangri-La

見えない道をたどりながら

作者: 野鶴善明


 ポケットから

 りんごを出してかじってみた

 誰もいない河原

 ひんやりと風が吹く

 川向こうにそびえる塔

 残りわずかな夕陽を照り返して


 光を失った川は

 滔々と

 黒々と

 急ぐわけでもなく流れる

 青鷺あおさぎ

 浅瀬の窪みに脚を入れたまま

 背筋を伸ばしてじっとたたずむ


  手に入れた夢の数を

  指折り数え

  失った愛の数を

  指折り数えてみる

  人生は

  思いがけないことばかり

  自分の意思で

  歩いているつもりだけど

  ほんとうのところは

  なにかに導かれて

  目に見えない道を

  歩いているのだろう


  この先どこまで行けるのか

  とにかく行けるところまで

  行ってみよう

  つまずきながらでも

  歩けるところまで

  歩いてみようと思う

  進んでさえいれば

  どこかへたどり着くはずだから


 青鷺が飛び立つ

 紅く熟れた残照が消え

 夜の匂いが風にまじる

 言葉にならない言葉が

 心のうちに湧き上がるから

 想いにならない想いが

 身体を突き上げるから

 かじりかけのりんごを

 力一杯

 放り投げた


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