予定外の光明
「はぁ…」
少し身構えたが、杞憂だった。
「エト、ゲームでもジブンの顔と似てるし、
外でも周りの目ナンテ気にしてなくて…スゴイと思う!」
「あ、ありがとうございます」
総評が無頼漢みたいだが、
そういう目で見られていたのだろうか。
意識していた訳では無いが。
「まあつまり、今の桃子猫さんが、
昔の桃子猫さんに近いってことですか」
「ウ、ウン…ハァ」
何か、後悔したかのように、
桃子猫は目を両の手で覆った。
「桃子猫さん、体調はどうですか?」
「エ?なんともナイ」
「そうですか…なら私は先に外で待ってますね」
「ウン」
『ギュ』
手を握られる。
温かい。
先立つ身として、段取りを考えよう。
街に出るかダンジョン前に出るかで変わる。
街に出たら、クエストで金を増やして、
MPを回復するアイテムを買う。
ダンジョン前なら、
街に帰る道中でモンスターを狩りつつ、
クエストの討伐証を先取る。
ツルハシを売るでもいいな。
誰が買うかは知らないが。
『がこ』
「…」
「…」
「今…」
「ウン…」
石が擦れる音。
だが桃子猫も私も、微動だにしていない。
『ゴゴゴゴゴ…』
ここが揺れている。
そして音だけでもわかる、天井に穴ができる様子。
徐々にそこから光が漏れだす。
『…!』
そして声も。
『ホントに開いた!ホントに開いた!
うわぁすげえワクワクする!』
『何がいるか分からないんですから、静かにしなさい』
聞いたことのある声。




