暗闇の三日月
虱潰しに暗闇からの出口を探すため、
また左手伝いに歩く。
長いこと歩いたが、脱出の兆しすら見えない。
「…待っテ」
止まる。
「一周シタ」
「…」
そんな気はしていた。
ただそれは、階層一つの距離には及ばない。
階段のある空間は、他にもあるはず。
「今度は壁を越え叩きながら歩きましょう、
左側がダメだったら右側も」
「ン」
盾が一定間隔でリズムを刻む。
私には音の違いが分からない。
ただ着いていくだけ。
「ストップ」
止まる。
『コツ』
『コン』
『コツ』
『コン』
壁の音を聴き比べているのだろうか。
『コンコン』
「ココ怪しい」
「ほう」
音の出処に触る。
「ここですか?」
「ウン」
壁に違和感がないか丹念に触る。
罠か何かだとしても、発動しなければいい。
というか何かしらあってくれないと、
このまま野垂れ死ぬだけだ。
「お」
少し触っただけで押せる箇所がある。
その他には異常なし。
「ここにスイッチがあります」
「ウン」
「押していいですか?」
「いいよ」
『がこ』
石の擦れる音。
音だけでわかる、
仕掛けが動いて目の前の壁が通路になる様子。
すぐには襲われない。
「…行きましょうか」
「ウン」
通路を歩く。
先に光は見えない。
ただ黙って桃子猫の後をついて行く。
前を行くだけなのに、左手伝いに歩いてしまう。
『ポス』
前の桃子猫とぶつかる。
「何か…?」
「アル…宝箱」
またか。
「今度は慎重に行きましょう」
「ン」
ひとまず安全な足元から、
叩いたり触ったりして安全圏を広げていく。
何も…ない。
宝箱の前にたどり着いた。
「開けます」
「ウン」
蝶番が軋みながら、口を開ける。
何が入っているか分からないが、手を突っ込む。
噛まれたりはしない。
そして空を掴む。
底の方にあるのか?。
ある。
冷たい…金属?。
三日月のように弧を描いている。
刺々しくはない、触っても大丈夫。
木材の棒が接続されている、これが柄だろう。
持ち上げる。
「これ…何に見えます?」
「ソノ…洞窟で使うヤツ」
「そうでしょうね」
そうであって欲しくなかった。
ツルハシ。




