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鎧袖一触


左肩に後遺症などは無く、正常に動く。

桃子猫の耳を更に頼りにして、黙って進む。

先程のことを考えると、

その静寂が余計に緊張に繋がる。

もっと、

世間話でもしながら攻略するつもりだったんだが。


「ストップ」


十字路の前で止まる。

何も聞こえない。

徐々に聞こえてくる。

連続的な音。

足音。

複数人。

右の曲がり角から。


『うわっ!』

『どうした!?』


止まっていた私達に、

先頭の人間のプレイヤーが気づいた。


「「…」」

『『『…』』』


両者押し黙る。

向こうは人とエルフとドワーフの一党。

全員男。

人数ではこちらが不利だ。

加えてしっかりと準備してきたであろう、

金属製の防具。

個人の戦力でも上回られている。

何か交渉の手立てはないか。


『…フン、フン、フン』


一党の人間が屈伸した。


「フン、フン、フン」


桃子猫も屈伸で返した。

全員が安堵の息を漏らす。


『あんた達と戦わなくてよかった』


ドワーフが言った。


「どういうことですか?」

『あんた達は有名なんだ、色々と』

「はあ」


いまいち要領を得ない。

有名人になった覚えも、

そのような扱いを受けたこともこれ以前はなかった。


『俺たちは真っ直ぐ行く。

俺たちの後ろには何も無かったよ』

「あ、私たちの後ろにも上へ向かう階段以外、

何もありませんでした」

『そうか、ありがとう』

「こちらこそ」


一党は宣言した道を行った。

同じ道を行って競合し、

むざむざ敵対するようなことはしたくない。

右に行っても仕方がない。

正面へ行く。



延々と似たような石室の迷路を歩いた後、

階段に出会う。

下へと続く階段。

十字路を正面へ行った先には、それしかなかった。

一党の行った方向に何かあるのだろう。

もはや引き返す意味もないので、降りる。



階段の半ばに水晶の中継地点。

桃子猫を一瞥するが、

既に手を引いて降りる階段に足をかけている。

休憩の必要さえない余裕っぷりである。


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