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参加資格のステータス


冒険者ギルド。

イベントならここだろうと思って来たら、

案の定の行列。


「イベントにご参加の方は、

こちらで申請をお願いしまーす」


最後尾にいる受付らしき人物が言う。

大概の人間が個人スペースとなる

二階に案内されるので、列はよく進んだ。

入った人間はすぐには出てきていないので、

また長い話をされるのだろう。


「どうぞ」

「あ、はい」


受付と共に二階に上がる。

今更だが、一人一人に受付が付くとなると、

一体裏には何人詰めているのだろう。


「こちらです」


登録をした時と同じ部屋に通される。


「お掛けください」

「はい」

「これからイベント、

深淵からの呼び声についてご説明いたします」

「うん」


長くなりそうだ。


「まず概要を説明いたします。

イベント、深淵からの呼び声は

期間限定のダンジョンに潜り、

探索をしながら最奥にいるボスを倒して

帰還するPVPVEイベントです」


ボスの情報は初めて聞いた。


「ダンジョンには数多くのトラップや宝箱があり、

冒険者は常にリスクとリターンに迫られます。

ダンジョン内で死んでしまった場合、

拾った物はすべて無くなって出口に戻されます。

ダンジョンから地上に戻る手段は三種類あり、

先程申し上げた死亡時に加えボスを討伐した時に

戻される強制送還。

ダンジョンのチェックポイントに設置された装置で

戻る任意送還です」

「なるほど」

「ダンジョンは入る度にその形状を変えるので、

決まった攻略法や

マッピングはあまり意味をなさないでしょう。

またダンジョンに入ると

ランダムな地点にスポーンします。

同時に入った複数組のプレイヤーと

開始直後の戦闘を避けるためです」


妥当な判断だ。


「最後に、本イベントへの参加資格を確認するため、

ステータスを拝見いたします。

ご覧になりますか?」

「あ、はい」


見て損は無いだろう。

ウィンドウが出る。


『HP:20 MP:43 攻撃力:62 防御力:75 賢さ:30 素早さ:49 運:54』

「おぉん…」


なんとも微妙なステータス。

比較すると異様に低いHP。

打たれ弱すぎる。

突出していないMP。

魔法を使っている身としてこれは痛い。

妙に高い攻撃力。

現状腐ることはないにしても、

もうちょっと魔法方面に譲って欲しかった。

一番高い防御力だが、

HPを先に見てしまうとタンク職には向かない。

桃子猫とも被る。

低い賢さ。

どちらかと言うと魔法面での火力を

カバーしたかったが、もう遅いだろう。

最近までほとんど生活用にしか火球を使わず、

決定的な攻撃はナイフに頼っていたからか?。

平均よりやや高い素早さ。

桃子猫と組手をしている時、

自分の速さをそこまで実感したことがないので

突出して速いわけではないのだろう。

やや高い運。

今までの巡り合わせは、

幸運の賜物だったのだろうか。

総合的に見ると、

立ち位置は後衛で変わらないだろう。

弓を扱い出したのは結果的に大正解だったようで、

魔法はまあ、使っていけば補強されていくだろう。


「査定が終了いたしました」


苦悶している間に終わった。

「あなたのステータスはイベント参加に値します。

こちらが街からダンジョンへの道のりを示す

地図でございます」


折りたたまれた紙を差し出される。

開くと、見た事のあるロケーションを線で結んで

大雑把に書き込まれている。

精巧な地図なら、

参加必須になってしまうからだろう。


「これにて説明を終了致します。

ご武運をお祈りしています」

「どうも」


地図を持って席を立ち、部屋から出る。

階段を降りた所で、喧騒が舞い戻る。

桃子猫は…まだ居ない。

来るまで待つか。


「ン」


背中に感触。


「桃子猫さん」


探し終わった直後に階下にやってきたようで、

その場から動かなかった私にぶつけさせてしまった。


「ダンジョン行けル?」

「行けるそうです」

「やったネ」


手を揉まれる。


「ステータスどんな感ジ?」

「なんか…全体的に中途半端って感じですね、

桃子猫さんは?」

「賢さとMPと運以外100イッテタ」

「ほー!」


桃子猫のプレイスタイルには一貫性があったため、

要所のステータスが伸びたのだろう。

あとは常に前線に立ち続けていたからか。


「行く前に、街で少し準備しましょうか」

「ウン」


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